りちょまちver
「ただいまー」
「あっまちこりだぁ〜!!おかえり!!」
ドアを開けた瞬間に腰に抱きつかれて飛び退きそうになる。
「重っ!!何!?ちょ、どいて!!」
「まちこり〜」
「なに、せんせーコイツ何とかして!!」
「せんせーより俺でしょ!!」
「と、おっしゃっておりますので…」
全く助ける気のないせんせーたちにイラつきながらもなんとか自分の席まで戻る。
「ほら!りぃちょ座って!」
「やだーー」
その時に机の上に一粒残っているチョコレートを見つけて全てを察した。
「コイツが当たりかよ…」
「まちこり〜」
「なんだよ酔っ払い」
残りの一つを口に放り込んだ瞬間に悲鳴(?)があがった。
「まちこりが俺のチョコ食べたー!!」
「いやそういう話だったろ!」
「俺も食べたい〜!」
その瞬間首を引き寄せられる
口に広がる柔らかい感覚
それが何か認識する前に口の中に何かが入って来た
「ぅんっ…!ちょ、まっ…んー!!」
慌てて肩を押しても時すでに遅し。
「あま!めっちゃうまいじゃん!」
ペロリと舌を出し嬉しそうに笑う酔っぱらいを睨む。
「な、何してんの…」
顔も身体も火が出そうなほどに熱くなり、パッと周りを見ると驚いた顔、ニヤつく顔、ニヤつく顔、ニヤつく顔
「いや〜りぃちょくんお盛んですなぁ」
「近頃の若い子は見境ないね〜」
「まちこりどう?アイツ上手かった?」
「テクニシャンww」
「まちこ…大丈夫?」
「あぁ〜じゅうはち大好きぃぃー!!」
ガバッと抱きつくと優しく頭を撫でてくれる。
「りぃちょもう近づかないで!」
「なんでー!?めっちゃ美味かったのに!!」
「ありえない!人前で…」
「人前じゃなかったらいいの?」
こて、と首を傾げこちらを見る仕草はここだけ切り取れば可愛い。
「いいわけないでしょ!?誰にでもこういうことするなら本当にやめた方がいいよ!」
「…?そんな訳ないじゃん。まちこりだからだよ?」
「…は?」
いやいやいや、何言ってんだコイツ
アルコールでバカになったとはいえどうした?
「だーかーらー!まちこりだからしたんだよー?」
「え、え、んん?」
「俺まちこり好きだもん」
「…?」
右側で笑いを堪えながら動画を撮っているニキと後でそれ共有してと言っているせんせーとキャメさんに向ける意識は残っていない。
てかいいのかお前
一生この3人に顔上げられないぞ
「まちこりは俺のこと好き?」
これはどう答えるのが正解?
「りぃちょ」
「なぁに?」
「その話はまた今度しよ」
「今度っていつ?」
ああもうこのガキうぜえええ!
「あ、明日!!」
「おっけー!明日ねー!俺覚えたからー!」
コイツのことだからきっと記憶を飛ばして忘れてくれる。
頼んだぞ、アルコールよ
「まちこどうするの?」
流石にもう解散にしようと外に出た時にじゅうはちに聞かれた。
「どうするって…りぃちょのことだよね…」
わざわざ言われなくてもわかってしまうのが辛い。
「うん。まちこはりぃちょのことどう思ってるの?」
「どうって…そりゃあ大事だけど、弟くらいにしか思ってなくて…」
そう言う対象としてみていなかったし、こちらだってそう言う対象としてみられているなんて微塵も思わなかった。
配信やSNS上でそれらしく絡んできてもあくまでそれは「表」の話。
私は最年少の彼を手のかかる弟としかみていなかった。
「本当にりぃちょのことそうとしか思えないなら断った方がいいよ。多分あっち本気だから」
まちこにちゅーしたのは本当にイライラするけど!!
そう言ってむーっ、とどこか某有名漫画の竹を咥えた少女を思い出させる可愛い唸り声をあげるじゅうはちの顔を見て改めて現実と向き合う。
もし明日の約束を忘れてくれたとして、どうなる?
彼の私に対する気持ちは変わらない。
いや、変わるかもな。りぃちょだもんな
そう思った瞬間に何故か胸がもやもやする。
この正体は何だろう
なんて、少女漫画のように悩めるわけがない。すでにこの気持ちの正体は知ってしまっていた。
「まーちーこーりー!」
送ろうか?と言うなんだかんだ優しい男性陣の誘いを断り歩いていると突然背中に温かい何かがぶつかる。
「おわっ!!り、ぃちょ!どうしたの!?」
「えへぇ、まちこりスマホ見てよ」
言われた通り開くと7時から始めた飲み会の時間はあっという間に過ぎ、既にてっぺんを回っていた。
「今ってさっき言ってた明日、でしょ?」
「明日っていうのはせめて朝の9時からでしょ!?」
「あーまちこりが逃げてるー」
「生きるための逃げはありです!!」
どこぞの農業マンガの校長の言葉をありがたく拝借する。
「まちこりうるさぁい…頭痛い…」
コイツ勝手に人について来て、抗議したらうるさいだと?喧嘩売ってんのかよ
一瞬固まりかけた拳を落ち着かせる。
確かに近所迷惑にはなりたくない。
「仕方ないなぁ…」
なんだかんだ最年少には甘い。
「おじゃましまぁーす」
「されまーす」
よたよたと靴を脱いで1番近い部屋に入る。
「あっ!そこの部屋…」
慌てて玄関の鍵を閉めその部屋を開けるが時すでに遅し。もうベッドに寝転んでいた。
「ふかふかだぁ〜」
「りぃちょ、どいて!うわっ、酒くさ!」
この匂いがベッドに付いてほしくないので必死に奴を引っ張るが体格差ゆえにどうにもならない。
「まちこりーチョコある?」
「チョコ…?」
「なんかね、この前テレビでチョコ食べると二日酔いに効果あるって聞いたんだよねー」
チョコ食べたいーと騒ぐ相手に疲れ冷蔵庫を開け、お望みのものを俺持っていく。
「はい」
「ありがとぉ〜」
2個いっぺんに口に放り込む相手に太れ!さもなくば肌荒れしろ!と念をかけていると何やら視線を感じる。
「まちこり食べないの?」
「私は遠慮しとく」
「え〜食べようよ!」
「はぁ?」
チョコを持ってこさせたあげくこちらまで食べろとは何だコイツは。
「んじゃいいや」
早々と諦めるのが珍しくそちらを見るのと同時に首の後ろに手を回される。
甘い、
じゃない!私のバカバカバカ!何でまたやられてんの!?
「りぃ、ちょ、ぅむっ…ん、ふぅっ…」
唇の間から舌が差し込まれ小さいチョコレートのかけらがこちらの口に渡る。
「は、なして!」
突き放せば何事もなかったかのようにけろりと笑う。
「なんかめっちゃ甘くなった!もっかいやろ!」
「いやいやいや!やんない!!」
「なんで?人前じゃなきゃいいって言ったじゃん」
「言ってないわ!!」
「まちこりも良かったでしょ?」
「ど、ど、どっちが!!?」
慌てて聞いてしまい大反省する。
「どっちって…チョコ美味しかったでしょ?って意味だったんだけど…何と間違えたの?」
「なに、なにって…」
「あー、もしかして、」
感じちゃった?
低音の声にぞくりと肌が粟立つ。
「俺そんなつもりなかったんだけどなぁ…」
「ところで、まちこりは俺が好きってことでいい?」
「は?」
「だって、何にもない相手にちゅーされても感じないでしょ?」
答えはすでに出ている。でも、直接言いたくない。ここでいったら負けた気がする。
「好きだったら…どうする?」
「喜ぶけど?」
「それだけじゃ足りない」
「なにが欲しいの?」
「甘いもの」
そう言うと私の意図を理解してくれた。
「仕方ないなぁ。じゃあ、わがままなお姉さんにさっきの続きしてあげる」
りちょまち初でした。めっちゃ書きやすかった
ついでにちゃんとちゅー書いたのも初でした
結構むずかった…
R18書ける人本当に尊敬します
コメント
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このお話最高でした。 りぃちょくんにお酒と悪ノリをかけて、それをまちこちゃんに吹っかけたら最高だってことが分かりました。神です。