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「オレと付き合ってくれないか」
突然話があると呼び出された。
渋々カフェに来てみれば、オレが席に座るなりコイツはそう言った。
「…どうした急に」
女に振られすぎて狂ったか?
だとしたらまずいぞ。コイツが壊れると、オレの任務に支障が…
だが、目の前の男は至って真剣な眼差しをオレに向けている。
「…オレには妻がいる」
「いや偽装だろ!?あ、ヨルさんに恋心抱いちゃったのか?ちぇっ…」
「違う、抱いていない」
コイツは自分が何を言っているのかわかってるのか?
〜
「オレに恋……?正気か?」
「だ、だよな…無理なら無理って言ってくれ」
「…そもそも、オレは男なんだが」
「わーってるよそんなこと!」
「なら、なぜ?」
「いやその…お前が好きだから……に、決まって」
と、顔を赤くしてつぶやく。
コイツは男でもいけるのか。どれだけ恋人が欲しいんだ。
違う、それ以前の問題だ。
なぜオレを好いているんだ。
「なんでオレなんだ?」
そう聞くと、フランキーは深くため息をついて語り出した。
「オレが振られた時、一緒にバーで飲んだことあったろ……」
「えっ、あれからずっとか?」
「…ああ、なんか好きだなーってなったけど、そんときは気の所為かって流した」
「まあ、そうだろうな」
「でも…最近寝ても覚めても、お前の事しか考えられないんだ、女性じゃないのにこんな気持ちになったの、初めてでさぁ〜…」
これはマジのやつだ。今、この瞬間、彼に告白されてきた女性の気持ちがわかった気がした。
オレがフランキーの、彼氏?
待て待て、落ち着け黄昏。オレにはヨルさんという相手が…
……と言っても本当の妻ではないしな…
男同士ならばそういう関係になったとて、女心とか考えなくてもいいのか?
オレはフランキーが振られて悲しむ姿を何度も見ている。可哀想だとは思う。
その原因が自分だとすると…
ストレスで、オレの情報を秘密警察に売る等されたらたまったものではない。
フランキーがそんなことをするのか分からないが…
……男同士だともっとわからんぞこれは…!
「おーい?大丈夫か?」
「はっ…すまん、考え事をしていた」
「で…へ、返事は…?」
「返事……少し考えさせてくれ」
「……わかった」
〜
次の日、オレはタバコ屋に寄った。
「フランキー」
「おっ、黄昏さん」
「告白の返事なんだが」
「こ…!くはく……ね、うん」
自分から言った癖に動揺している…
「承諾しよう」
「えっ」
「お前と恋仲になってやる、一応…」
一応、な。
あの後悩みに悩んだ結果だ。
「…まじ?まじで!?やったー!!」
フランキーは身を乗り出し、目を輝かせて言った。
「おい待て、アーニャやヨルさんにはこの事を話していない…というか話せる訳が無いだろ」
「るせーわかってる、オレも男の恋人がいるなんて言わねーよ」
とか言いながら、凄く嬉しそうな顔で…
かわいい奴だ…
ん?
かわいい?コイツが?
…まさかオレがコイツに、そんな感情を抱くとは……どうかしてしまったな……
(後々、ロイドの方がフランキーに沈んでいくのは、勿論本人は知る由もない…)