沙耶香「お母さんは、死んだ」
それに続けてまた沙耶香は語った。
沙耶香
「…アイツのせいで、……アイツのせいでアイツのせいでアイツのせいで!!お母さんは殺された……!!!」
愁
「殺、された?」
沙耶香
「全部騙しだったんだ――全部。全部アイツの企みだった…!人の不幸にとけ込んでは、いい様に扱って。 アイツさえ居なければ今頃、お母さんとお兄ちゃんとも、佳奈ちゃんとも……。楽しく過ごせてたのに……。
なんで。アイツ が……っ!!!」
愁
「お、おい。どういうことだよ沙耶香?
何があったんだ?」
沙耶香
「お母さんはアイツに―――」
???
「おいお前。話が違うよなああああ?お前自分が何してんのか分かってんのか?観客、ドン引きだぞ。」
沙耶香
「……」
愁
「沙耶香、こんな奴どうでもいいから早く話を――!」
突如、貫通するナイフの様な激痛が体に走った。
愁
「うぐあっっ?!」
愁
(クソっ……!この光景どっかでも見たじゃねえかよ…!)
???
「んだてめえ?こんな奴??何様なんだよ?」
沙耶香
「お兄ちゃん!逃げて!!!」
突如、沙耶香の訴えと共に激しい痛みが体中に走った。
うっすら、話声が聞こえるが、
そう距離は遠くないはずなのに、声が遠く感じる。
???
「沙耶香、お前、もしかしてこの場を、俺の能力を利用してソイツと話す機会を設けたのか?」
沙耶香
「………」
???
「なんか言ったらどうだよ???なあ。」
???
「お前のやりたいことは、分かってんだぜ?
やれるもんならやってみろよ。早く。」
沙耶香
「………」
???
「聞いてんのかオラァァァ!!!!!!!」
佳奈
「辞めろ!!!!」
ほんの一瞬だった。誰かの声がしたと思ったら、
何かを持ってる女性があそこに現れて――。
血が、散った。視界が真っ赤に染まって……それで――。
あんなにうるさかった一面が、静寂に包まれた。
???
「あああああああああ!!!!!!」
男の、叫び声が聞こえた。
目を見開く。これは紛れもない事実で、現実。
ただ、呆然と。その泣き呻き暴れる姿を見つめ、あの世へと見送った。