クレア過去編
「創一、創一?」
「入るよ」
扉の軋む音がする。部屋に入るも創一の姿は見当たらなく、創一が大事にしている帽子だけが床に落ちてあった。
クレア「創一?」
どこ?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あれから数日経った。母さんと父さんに創一が居なくなったって言ったら、ものすごく心配してた。召使いさんたちが今必死に創一を探しているらしいけど、なんせ情報が少ない。創一は僕たちに内緒で家を抜け出す子じゃなかった。誰かが侵入した形跡もなかった。…じゃあ一体何処へ?
クレア「…僕も探さなきゃ」
寂しくて泣いてないといいけど…
バッグに数日は凌げる食料と衣服を詰める。…後、創一の帽子と鳩の人形も持っていこ!
自分の部屋を出ると外で待機していた召使いさんが止めに入る
「どこへ行くんですか?」
クレア「創一を探すの!お兄ちゃんの僕が居なくて創一も…」
「ダメです」
「創一様の捜索は他の者に任せておりますので、クレア様はご自身のお部屋でのんびりと…」
…?どうして?兄の僕が創一を探してあげないと。
うぅん、でも今この状況じゃ外に出れないなぁ。
あ、そうだ。
クレア「うん、分かった。じゃあ辞めるね」
大人しく部屋に戻って扉を閉める。
扉の前にスリッパを丁寧に置いて、窓を開ける。涼しい風が部屋に入ってくる。
本当なら浮遊魔法で降りれたらいいんだけど…僕まだ魔法とか習得できてないから自力で地面に降りないと行けないんだよね
窓を飛び越え屋根の上に降りる。ゆっくりと屋根の上から地面へと近づく
ドスンッ
……いてて、この距離ならあまり痛くはないかなって思ったけど、かなり痛いなぁ。
体勢を直して服に着いた汚れを手で払う。
さてと…ここから門へ行くにはどうしよう。門番が見張っているだろうし。
「リバース……」
「リバース……カンヨ……スルナ……モドレ……」
大丈夫だよ。弟を見つけたらすぐ帰ってくるよ
「…………リバース……」
「……ヒダリ……ソト……デレル……」
クレア「あっち?教えてくれてありがとう!」
邪眼神様に言われた方向に行くと外に出れる古びた扉があった。緊急用の脱出扉なのかな?苔がいっぱいだ。
苔を押し退けて扉をくぐる。
…外は相も変わらず綺麗で、雲ひとつもない青空。昨日は大雨だったのに、今日は雨1滴も降らさなそう。
クレア「創一探しの旅へ、しゅぱ〜っつ!」
それじゃあとりあえず里へ聞きこみ調査をしようかな?
「……リバース……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
クレア「すみません!きのうの夜、黒い髪の毛で青い目の色の男の子見なかったですかー?」
そう目に映る者何人に聞いても知らないと言う答えが帰ってくる。…創一はどうやって家から抜け出したんだろう?僕がやったように緊急用の扉から抜けたのかな?
…創一、元気にしてるといいんだけど。
クレア「ちょっと、休憩しようかな…。」
そこら辺にあったベンチに座って、カバンから水の入った水稲を取り出す
「……リバース……」
なあに?どうしたの、今日はすごい喋りかけてくるね。
「アマリ……ヨクナイ……」
なにが?
「アキラメロ……リバース……アエナイ……」
うーん…邪眼神様は創一ともう二度と会えないと思ってるの……かな。大丈夫だよ。今はいないだけで、すぐ僕がみつけちゃうから
「……チガウ」
「アエナイ」
「アエナイ」
会えない、そうずっと連呼する。邪眼神様は創一の事大好きだから、会えなくて寂しいのかな?
そうだよね…大切な人が急にいなくなったらそうなっちゃうのも無理はないか。
大丈夫だよ。本当に僕がすぐに見つけるから
「……アバンダン……」
「ねェ」
クレア「?」
「おなかすいてない?」
「ああ、急にごめんなさいね。私は…静葉。あそこのパン屋の娘だよ」
静葉「ずっと暗い顔してるよ?」
クレア「あ…っえ…っと」
どうしよう…僕大の人見知りだから話すなんて苦手だよぉ…
クレア「だ、大丈夫です…」
静葉「そっかねえ、キミ1人なの?」
クレア「あー、うん。」
一人…なのかな?邪眼神様いるし…
…邪眼神様?
「……リバース……ハナレロ……コイツ……」
どうしたの……?
「ハナレロ」
静葉「キミ名前はなに?」
クレア「ぼ……ぼく?…く、クレア・リバース……」
静葉「へぇ〜……」
「リバース」
「リバース……!!」
静葉「クレアはなんで里に来たの?…クレアってあのリバース家でしょ?」
クレア「ぁ…えっと…実は弟が行方不明で…探してたんだ。」
静葉「そうなんだ!」
静葉「大変だね、私も手伝っていい?」
クレア「ほ、ほんと…!?ありがと」
「オマエ」
「オマエ……ミエテル……」
「……キサマ……」
「……ナゼ」
…邪眼神様?どうしたの、今日は変だよ。
静葉「…さ、行こ!」
クレア「……あ、うん」
立ち上がると同時に、首にぶら下げていた青い星が付いたネックレスが地面に落ちる。
クレア「…あっ」
静葉「大変…これ糸切れてるよ。」
クレア「家に帰ったら母さんに直してもらうから、大丈夫だよ」
そう言って、地面に落ちたネックレスを拾い上げ、バッグの中に入れる。静葉ちゃんが進む方向へと僕も続く
……そういえば邪眼神様の声が聞こえなくなっちゃったような…
里中駆け巡り聞きこみしてみたけど、誰も創一を見てないという。
…もう夕方だ。太陽が沈んでいっている。
昼の休憩以外歩いてばっかりで休んでいなかったから、足が疲れちゃったな…
そんな僕を察したのか、急に僕の手を掴んで木の下に移る
静葉「疲れたでしょ?水飲んで休もう。」
クレア「うん。」
クレア「静葉ちゃんもお水いる?」
静葉「私?私はいいよ。喉乾いてないし、それに君の水筒なんだから。」
クレア「喉乾いたら言ってね」
クレア「……ねえ、僕たち、ってさ…お友達?」
そう言うと、不思議そうに僕の顔を見る。数秒経ったら、ふふっ、と声を静葉ちゃんが出して笑う。
静葉「…うん、友達だよ?」
クレア「……!そっ、そっか!嬉しいな!僕、友達出来たことないから…」
静葉「そうなの?じゃあ私がクレアの初めての友達だね」
クレア「……うん!」
静葉「……ふふ、そっか。…」
…静葉ちゃん、さっきから様子がなんか変だなぁ…昼の時より落ち込んでいるように見えるし、話しかけても何か考え事してるようだったし…どうしちゃったんだろう。静葉ちゃんも疲れてるのかな。
静葉「…少し休めた?日が暮れてるし、今日の所は帰ろうか」
クレア「……僕今日帰らない!」
静葉「駄目だよー。クレアは貴族なんだから狙われるよ?」
クレア「自分の身は自分で守れるよ!」
静葉「……クレア」
静葉「うーん、心配だなあ」
クレア「えー!」
静葉「クレアひとりじゃ心配だし、クレアが帰るまで私クレアと一緒に居るからね!」
クレア「静葉ちゃんの両親が心配するよ!?」
静葉「私はクレアの方が心配なの!」
家に帰るか、帰らないかで口論が続く。…今家に帰っても僕怒られちゃうし、怒られたら長いからいやなんだよねぇ…それに、創一が心配だし、一刻も早く見つけたいから家に帰って僕だけが暖かいベッドで寝るっていうのも嫌だ!
創一を見つけたら、また一緒に寝たいなあ
静葉「はーいはい!考え事してないでかえったかえった!」
クレア「いーやだぁ!」
クレア「…ね、ねえ!じゃあ、今午後4時でしょ?5時になったら帰ろう?」
静葉「……わかった」
クレア「ありがとう、じゃあ探そ!」
静葉「…うん」
立ち上がって、静葉ちゃんに手を伸ばす。僕の手をぎゅっ、て掴んで、僕より前に出て手を引いて進む。僕がエスコートしてあげようと思っていたんだけど…
…それにしてもどこへ向かっているんだろう?
静葉ちゃんが進む方を僕もついて行ってるだけで、どこへ向かうかは分からない。
…と言うかこれ、里を離れている?段々、里から離れて森に近付いて行ってる。森に創一居そうかなあ?…うーん、好奇心旺盛の創一なら有り得る?
今何時だろう。ちょっと時間が経った。今は4時半くらいかな?森に入ったら霧で囲まれて、暗くて周りがよく見えない。静葉ちゃん直感で進んでる?
クレア「ねえ、静葉ちゃん?」
話しかけても無視。何も返事が帰ってこない。
クレア「じょーよーちゃっ」
クレア「いたっ!」
急に立ち止まったから、静葉ちゃんの背中にぶつかっちゃった。どうしたんだろう?虫でも居たのかなあ?
クレア「静葉ちゃん?」
静葉「……クレア」
静葉「ごめん」
クレア「ん?迷っちゃった?大丈夫だよ!」
くるっと振り返って、僕の方に無言で手を伸ばす。…?僕の顔になにかついてる?
…静葉ちゃんの手は震えていた。
クレア「静葉ちゃん?」
静葉「……」
静葉「もう帰った方がいい」
僕の方に伸ばしていた手を下ろして、背中を向ける。……静葉ちゃんじゃない。脳がそう伝える。
静葉「弟を探しているんでしょ。」
静葉「…多分もう会えないよ」
クレア「……え?」
静ヨウ「オマエの守護神が言っていたように、もうオマエの弟には会えない」
クレア「……どうしたの?」
ジョウヨウ「ごメん。本トう」
ジョウヨウ?「ヅ身はァ”つ愚ナヴ積ゥ”モ理ダ」
静葉ちゃんとの声とかけ離れていく。聞き取るのもやっとな程低い声。…体が震えて、足が動かない。
ジョウヨウ?「ザァ行ヶ。」
ジョウヨウ?「ォ”似に身ィ”ヅヵ琉前ニ…」
クレア「ぁ…ッ」
…静葉ちゃんの姿が、顔が、ドロドロに溶けてる……。
がくっ、と足の力が抜けて地面に座り込む。冷や汗が頬に伝うのが分かる。自分の荒い息も聞こえる。バクバクとなるうるさい心臓の音も
クレア「……ぅぅっ」
震える足を動かして、なるべく静葉ちゃんから離れる。後ろを振り返る勇気も無い。今振り返った時にはもう静葉ちゃんの原型など無い、そう直感が言っている。…最後に、なにか聞こえた
「マ”多ヮタ死は”誤ッ”タ千ダ愚ォ”ジ出し魔ッダ用ダ…“霊那。”」
はっきり聞き取れたのは誰かの名前。それ以外は低くて聞こえずらかった。
転けても、転けても転けても転けても転けても、静葉ちゃんから遠ざかる為に何度も立ち上がって走り続ける。もうここが何処なのかは分からない。暗くて霧まみれの森の中。一体どれ程時間が経ったのだろう。一体どれだけの時間走ったのだろう。転けて擦りむいた足の傷が痛い。脇腹が痛い。呼吸がしずらい。怖い。
創一、創一…そういちっ
縺ゅ≠縲∝庄蜩諠ウ縺ェ蟄蝉セ帙h
クレア「っぅ…!?」
何、今の声は?どこからしたの?
…あれ
クレア「……森を、抜けている…?」
さっきまで森に居たはずなのに、いつの間にか森をぬけていた。…目の前には、赤い鳥居。その先にはなにか建物らしきものが立っている。
クレア「……??」
周りを見渡しても、霧ばかりで何も見えない。…霧が晴れるまで、建物の中に居させてもらおうかな…もしかしたら、創一が居るかもしれないしね…!
お辞儀をして、鳥居をくぐり抜ける。よく見えなかった建物は、どこが神秘的で、神々しさを感じさせる雰囲気を出していた。
クレア「……お邪魔します。」
扉を開けると、中は案外綺麗だった。定期的に誰かに掃除されているのか、ホコリも蜘蛛の糸もひとつも無かった。
クレア「……綺麗」
歩きながら中を見ていると、壁には誰かの写真が飾られていた。…赤い髪で、悪魔の翼が生えてる人…白くて長い髪の女性…薄い紫色の髪で鬼の角が生えた女の子…
クレア「大人数の人と住んでいるのかな…?」
クレア「!」
よく見れば、下に名前が書いてある。この白と赤色が混ざった髪の人は…
クレア「……”ラルクア・スアインズ”…」
クレア「…見た目は神様みたいだし、天界に住んでいるお方なのかな?」
クレア「あ!あの人ケイオス様だ!魔王様の写真も飾られてるんだ…」
いったい誰が飾られて、誰が飾られないんだろう。王様?…いや薄い紫色の髪の子は王様って感じはしないし…
クレア「ん…?」
一つだけ、ぽつんと扉が設置されてる。
クレア「なんだろう?」
周りに比べて随分古そう。ドアノブに手をかけて、扉を開けると軋む音が響く。
部屋の中に入ってみると、さっきまでのとは大違いで、蜘蛛の巣があって、ホコリだらけの部屋。
その部屋の中央にある机の上に紙が置いてある。
クレア「なんだろう、これ。」
…かなりホコリが被ってある紙。ホコリを手で払って、紙に書かれている内容を見る。
クレア「……なに…これ」
持っていた紙を地面に落とす。吐き気がおしよせてくる。耳鳴りがする 誰かの声が聞こえる
…見てしま……った?
隕九◆縺ョ縺具シ�
クレア「っ!?」
背後から声がしたのに振り返ると誰も居ない。クレア「……創一…は、創一はここにはいない」
クレア「……戻ろう」
落とした紙を机の上に置いて、部屋を出ようと後ろを振り向いた。…その瞬間光が目の前を包んで、目の前が見えなくなる。
目をつぶって、光が無くなるのを待つ。
クレア「……なくなった?」
目を開けて周りを見渡すとそこは古びた部屋じゃなく、外だった。……なんで?
クレア「ここ、どこ…」
何かが近づく音が聞こえる。人間じゃない。足音じゃない。……いや、違う。これッ
バッ、と後ろを振り返る。
クレア「___ぁ」
ドンッという大きい音がなり、トラックに当たる。言葉では言い表せない程、痛々しい骨が折れる音が聞こえる。トラックはクレアを轢き過ぎた。
かひゅ、ひゅっ、という涙声混じりの小さな呼吸音が聞こえる
クレア「っぅ、ッ…」
痛い、痛い。痛い。体が動かない。今の僕はどうなっているのだろう。血の匂いがする。額から血が流れる。指は動かない、顔もうごかせない、うでも…目は開かない。潰れた。下半身の感覚がない…ああ、ああぁ”ぁ”…鼻を劈くような鉄の匂い。だんだんと小さくなる鼓動の音。創一にまだあっていない。せめて、せめて創一に会わせて、創一の顔が見たい、創一に会いたい、創一…創一!!
クレア「……そ”…ぃ……ち」
いやだ、いやだよ…創一に会いたいよ、母さんと父さん似合いたい、召使いさんたちに会いたい…、静葉ちゃんに会いたい…!やっと初めてできた友達なのに、もうお別れ?静葉ちゃんともっとお話したかった、遊びたかった。創一を混じえて、1緒に3人で仲良く遊んで、なの、に…なのに創一にも、静葉ちゃんにも皆にも会えないで人生を終えるの…!?
鼓動が、不安を煽る。徐々に小さくなっていく。…ああ、もうこれで終わりなんだ。…こうなるのなら、もっと創一と遊んだりお喋りしたかったなぁ…
驕ク縺ー繧後◆繧薙□
縺雁燕縺ッ
クレア「……選……ばれた…」
逶ョ隕壹a繧玖�′蠅励∴縺ヲ謌代�螫峨@縺�
譎よ悄縺ォ縺雁燕縺ョ蠑溘b縺昴■繧峨∈陦後¥縺�繧阪≧
豕」縺上↑縲∝ソ�★謌代′縺雁燕縺ョ蠑溘b驢偵∪縺吶�
クレア「……そ、いち…も」
…だめだよ、、創一は…こっちに来ちゃ…
縺翫�繧医≧縲√け繝ャ繧「�・繝ェ繝舌�繧ケ
「…これは……酷い」
ボロボロとなった少年の死体の前に現れる。肩まで伸びた黒い髪、赤い瞳。片手には鎌を持っている。
「成仏しきれてないだろうなぁ…どこにいるんだろう、探さなきゃ。」
「…あ、あの子かな。」
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……?ここは、何処だろう……?
目を開けようにも、開けれないし…どこ?暗くて分からない…怖い…
「あ、起きた…かな」
クレア「だ、だれ?」
「ぼ、ぼく?えー…と」
おどおどしてる?なんでだろう…と言うか僕は生きているの?じゃあここは病院?相手はお医者さん?
「ぼ…僕はね、エリオ・イムセティだよ…名前知ったからって刺さないでね…」
クレア「さ、刺さないよ…?」
エリオ「そ、そう……良かった…あのね、君は…死んだんだ」
クレア「し、死んだ……?」
エリオ「君はね……その、この世に未練が残って成仏しきれなくて…悪霊になっちゃったんだ…」
クレア「…そんな、」
僕、死んじゃったの?そんなわけない、だって僕はなんで今意識がある、会話出来る、生きてる…よね?だけど…ここはどこなの?
クレア「ここ何処なの?」
エリオ「…ぁっ、え、うぅ…」
クレア「?」
エリオ「うっ…うぅっ」
え、泣いてる?なん、なんで?!僕なにかしちゃった!?
クレア「ご、ごめんなさい、?」
エリオ「うぅ〜〜ッ…」
とんとん、とエリオの肩を誰かの手が叩く。エリオが後ろを振り向くと薄い青髪の男が立っていた。
エリオ「あっああっ、めじぇどぉ…」
メジェドという男性に縋り泣いて背中を呆れながらも優しく擦る。
メジェド「よお、君名前なんだ?」
クレア「…クレア」
メジェド「そうか!俺はメジェド。すまんなー、こいつ悪霊の相手だけはほんっっとう無理らしくて」
メジェド「俺と行こうか」
クレア「…どこに?」
メジェド「冥界を統べる神様の所だよ」
そう言い、僕のことを抱き上げてどこかへ行く。冥界を統べる神様?……あ、閻魔…様?じゃあこの人たちは死神?…確か、聞いた。顔をベールで隠して誰もその顔を見たことがないって。……閻魔様の顔を見た者は死んじゃう、って…
クレア「ねえ、閻魔様の顔みたら死んじゃうってほんと?」
メジェド「んな噂ねーよ。…とはいえ俺も閻魔様の顔は見た事ねぇからわからないが」
クレア「…そ、そうなんだ。。」
クレア「…ねえ、なんであの人悪霊の相手苦手なの?……というか僕悪霊なの…?」
メジェド「ああ、うん。お前悪霊だよー?」
クレア「…僕生きてる」
メジェド「ああ、あは…お前もかあ?前の子はあっさり認めたのにな」
メジェド「…んー、エリオが悪霊の相手苦手なのは……」
メジェド「…過去に、ちょっとな?」
……過去になにがあったんだろう?うーん…悪霊に驚かされたとか?違うよね。死神が悪霊に驚かされた程度でああなるとは思えないし…
何があったんだろう
メジェド「ほーら、ついた。いいか?無礼な行動をするんじゃないぞ?」
メジェド「失礼しますねー」
ドアノブに手をかけ扉の軋む音と同時に開ける。古くて今にも崩れそうな部屋、玉座だけが置いてある。玉座に座っているのは冥府を総べる神、グレート・ザ・ヤマリーパー
メジェド「此奴がグレート様が言ってるとぅるー…なんちゃらって奴と関わった子です。」
グレート「…そうか」
淡い紫色の髪を束ねて、顔を白いベールで隠した者。顔が隠されていることから表情が読み取ることが出来ず、不気味な雰囲気を漂わせている。
グレート「では、少し質問しよう。」
玉座から立ち上がり、クレアに近づく。メジェドがクレアを下ろし、閻魔様の方へ体を向かせる。
グレート「紙を見たのか?」
クレア「えっ……う、紙?」
クレア「…み、見た。」
はあ、とため息をついて少し考え込むような素振りをして、もう一度クレアに向き合う。
グレート「名前は覚えているか」
クレア「クレア・リバース…」
グレート「年齢は?」
クレア「11…」
グレート「自分が死んだことを理解しているか」
クレア「僕は生きてる!」
グレート「…ふむ、通常の幽霊とは同じだ…精神に異常はない…」
グレート「いいか。クレア」
グレート「貴様は、死んだ」
グレート「意図的に殺された。トゥルースに」
と、トゥルース…?トゥルースって誰?そ、それに僕は死んだの!?じゃあなんで僕は今…?わかんない、わかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんない
グレート「お前は、その歳で重い荷物を背負わせてしまった」
グレート「正気はあるが、一応数日は精神状態を定期的に確認しよう」
グレート「いつアイツみたいに狂うか分からないからな。」
グレート「…それと」
目に指が触れる感覚がする。瞼を指でなぞられる…?なんだかふわふわとした感覚。さっきまで痛かったのに、痛みが消えていくような。
グレート「目を開けてみろ。」
ゆっくりと瞼を開ける。…特に光や人物が見える訳では無い。ボヤけて見える、全てが。目の前に立っている人の特徴すらも掴めない。
グレート「…ああ、その表情じゃぼやけて見ているのだな」
グレート「やはりアイツの呪いは完全に解けるわけでは無いのか…」
グレート「すまないクレア。私が出来るのはここまでのようだ。」
クレア「…え、と…大丈夫、です?」
グレート「メジェド、クレアをいつもの悪霊たちのように施設に送ってくれ」
メジェド「はい、わかりました。さてクレアくん行きまちょうね〜」
クレア「え!え??」
僕をもう一度持ち上げて外に出ようとした瞬間、外側の方から勢いよく扉が開く。…誰かは分からない…けれど、何か変な気配が
「グレート」
「会いたい」
グレート「…」
グレート「失礼しますの一言すら言えないのか」
「会わせてくれ」
「あいつに会いたい」
グレート「…アイツとは、誰だ?」
「…あ、あいつ…お前ならわかるだろ、からかうのやめろ」
グレート「名前を言ってみろ」
「…やめてくれ」
グレート「思い出せぬのか」
「ぁ…あ、ぅ」
「あいつに会わなきゃ…」
「あいつ…あいつ…」
グレート「…もう忘れたほうがいい。その方がお前の為だ」
「……」
力が無くなったのか地面に座り込んで床を見る。長くて黒い髪が地面についている。メジェドが気まづそうにしてそいつから逃げるように部屋を抜ける。
メジェド「…失礼しました」
部屋を出て長い廊下を歩いてるのかな。さっきのは何なんだろう。会話は紡がれなくて、廊下を歩く足音だけが廊下に響く。
クレア「…、ね、」
メジェド「聞くな」
クレア「…え?」
メジェド「あ、うん…すまん。聞かない方がいいよ」
メジェド「あの人はもう廃人なんだよ」
メジェド「記憶力が良くなることもない。グレート様もあの人の扱いには困っている。楽にさせてあげようと思ってるよ」
メジェド「でも祟られるだろうな。」
クレア「…??」
メジェド「エリオと俺を育ててくれたあの人の面影はもうないんだ」
メジェド「あの時のような笑顔で俺らの名前を呼ぶこともなくなった」
メジェド「もう俺たちは忘れられた」
クレア「メジェドさん?」
…メジェドさんの表情は見れない。だけど何となくわかる。くらい…くらい表情してる?
メジェド「…ああ、情けねー!」
メジェド「あの人も馬鹿なことしたよ!タブーを犯してまで死んだ者を蘇らせるなんてさ!」
メジェド「死んだ人はもう帰ってこない!それは死神であるあの人が1番、いちっばん分かってるくせに」
メジェド「な?クレアもあの人アホだと思うだろ?」
クレア「あ……えと……うん?」
さっきまで足音だけしかなかった廊下も、話が紡がれて和気あいあいとした雰囲気が流れる。施設につくまで、ずっと話をクレアに振り続ける。エリオの事や、エリオの弟、時期に会うであろうともだちの話。
クレア「…メジェドさんやさしいんだね」
メジェド「お?見る目あるなあ!」
クレア「目見えないんだけどね……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ごじつだん
あれから数日。メジェドさんに貰った幽霊がよく付けてるあの3角のやつ…確か天冠って言ったかな?あれ貰った。けれど僕生きてるからすぐ捨てた!けど貰ったものを捨てるのも失礼だからお部屋に飾ってある。メジェドさんが時々僕の様子見に来ては部屋に飾ってる天冠を見て笑ってる。そんなにおかしい?
…それと僕は、ものすごく悩んでる。
皆に仲間はずれにされてる。話しかけても無視されちゃうし、悪口を言われてる気がする。メジェドさんにそんなこと言って心配させたらダメだから言ってないけど…あー、う…創一に会いたい……
「なあ」
クレア「はっはい!?」
「君最近来た子だっけ?俺はゼラニウム・クラウン。君は?」
クレア「え…あ…僕はクレア・リバース…」
ゼラニウム「へえ?あのリバース家の子?」
クレア「あ、うん…そ、そうだよ…」
ゼラニウム「跡継ぎが死ぬなんて君の両親も今焦ってるだろうねえ。あ、弟居るか」
ゼラニウム「ニュースでは度々聞いてたなあ。箱入り息子なんだろ?弟共に愛されて育ってるって。」
クレア「あ…そ、そう!僕、愛されて…」
ゼラニウム「そりゃいいな。俺生前親に売られたんだ」
クレア「そ…そうなの、?」
ゼラニウム「でも拾ってくれた貴族様が居てさあ…って、俺の話はいっか。クレアの話聞かせてくれよ」
クレア「…い、いいんだけど…君人気者でしょ……僕と関わってたら余計なことにならないよ」
ゼラニウム「誰と関わろうが俺の勝手だろ?人気者だからって周りの目を気にしてちゃ生きていけないぞ」
ゼラニウム「それに、俺はあんな奴らよりクレアと友達になりたい。」
クレア「…僕、と……友達?」
ゼラニウム「うん」
クレア「…ぇ……ええ!……そ、そう、なの……でも僕と関わると余計な事ならないし友達になったら君まで虐められてしまうかもしれないよ!?」
ゼラニウム「俺にいじめ?はっ、倍返しにされる覚悟があるやつだけだなそりゃあ」
ゼラニウム「お前をいじめてるやつもコテンパンにしてやろうか」
クレア「うえぇ…ゼラニウムくん、遠くから見てたらとてもかっこよくていい人って感じしたのに…関わってみると意外と怖いの…?」
ゼラニウム「猫かぶってるに決まってるだろ?お前とだけだよ、ここに来て素をぶつけれるの」
ゼラニウム「居心地悪かったからお前が来てくれて俺嬉しいなあ」
クレア「…そ、そうなんだ……そう言われると悪い気しないし…嬉しい、かな……」
ゼラニウム「な!な!友達なろーぜ!」
クレア「…ぼ、僕でよければいいよ?いじられてもしらないよ?」
ゼラニウム「虐められてもいいっつーの。コテンパンにするから」
手を引かれて握手される。……冷たい手。死んでいる人の体みたい。あ、そっか…ここに来た人達は死んだ人の集まり…僕死んでないのに、本当に死んでないのに!
ゼラニウム「…ふ、お前なんか不満げな顔してるぞ」
ゼラニウム「おれはしんでないのに!って言いたそーな顔。」
クレア「え、なんで分かったの!?」
ゼラニウム「はは!なんでだろうな!」
クレア「ちょっと、濁さないでよ!?」
ゼラニウム「濁してねーよ!」
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解説
みこー「こんにちは、みこーです」
フェレ「フェレだ」
みこー「さて、初めての過去編の主役はシェア・ザ・セイム・フェイスカトラリーにお住まいのクレア・リバースさんでした〜!」
みこー「ここからゆるっと小説の中に挟まれた小ネタ等クレアさんの設定を解説していきますね!」
みこー「まず設定から!」
名前:クレア・リバース
年齢:生前年齢は11歳
誕生日:5月10日
好きな食べ物:うどん(特に蒼崎家が作ってくれたうどん)
苦手な食べ物:茹でた人参
種族:悪霊(生前は魔族)
職業:怪盗
家族編成:父 母 弟
詳細:しんじつを知ってしまった為目覚めてしまった者。特に精神の異常はないと言われているが、たまにおかしな発言や行動をしていたり色々と不安。邪念が浄化したと思われて施設からは出して貰えたが、その後速攻怪盗をやって宝石を盗ったりなどしている(ちゃんとその後宝石の主のところに行きお金を渡して購入している)目は見えないとされていたが、片方の目はゼラニウムと目を交換したから片方の目だけ見れるらしい。基本的に片方の目は包帯で隠し、目玉が着いた帽子や髪飾りで周りの状態を確認している。戦闘力はそこそこ、低の死神とはやり合えるくらいの強さではあるらしい。悪霊トリオの中”では”まとも役ではある。わたメルは姪らしく、たまにわたメルに遊びに行ってはわたメルのうどんを食べている。自分は生きてるとまだほんの少し思っているので天冠はつけてない。
容姿⬇️
みこー「これは裏社会が直々に描いた物らしいのですが…」
みこー「まだフェレが描いた方がマシな方ですね。」
フェレ「それ俺の事も貶しているだろ」
みこー「さて容姿の解説行きましょうか」
フェレ「無視するな」
みこー「包帯をしている方は裏表激しいクラウンと交換した目の方ですね。片方の目は目は開くこと出来ますが視力が悪いため見えません。そのため帽子が目の役割を果たしております。」
みこー「帽子の目にも自我があります。このクソ人外目玉野郎に服従はしているらしいですが。」
みこー「帽子の目が周りを見渡し敵が近くにいるか近くにいないかをテレパシーでクソ人外目玉野郎に送っております。左の髪の毛についている2個の目玉は視力を表しております。」
みこー「目玉が2つあれば遠くにいる人物をも確認してしまうほどらしいです。ひとつだった場合視力が悪くなる〜とかではありませんが人並みになりますね」
みこー「顔や頭に包帯などあるのは呪いによって完治ができず痛々しい傷が残っているから隠しております。」
みこー「ちなみに帽子は創一さんの帽子でして、閻魔に魔改造してもらいあの気色悪い帽子にました。」
みこー「破ったりなどして破壊しても別に帽子は元に戻るのでいいんですが、戻すまでの時間がかなりあるんで基本的に手荒な扱いはしておりませんね」
みこー「そして創一さんが大事にしている鶏の人形に命を吹き込み喋れるようにしてましたね。カタコトですが」
みこー「帽子をとったり壊したりすると普通に温厚なクソ人外目玉野郎もキレるので辞めましょうね。最悪の場合呪殺されると思いますよ」
みこー「そうそう、あのクソ人外」
フェレ「そろそろ名前で呼んでやれ。」
みこー「人外に名前で呼ぶ価値などありません」
フェレ「みこー…」
みこー「(っ’^‘c)」
みこー「クレアは通常は温厚です。基本な事は笑って見過ごしてくれるし、喜怒哀楽の中でも楽しかないでしょうね。」
みこー「ただキレたら以外に静かですね。関係ぶった切られるだけです」
みこー「その方がいいと思いますけどね。ねちっこく説教されたらたまったもんじゃありませんし」
みこー「ちなみに創一さんとは死んでから再開しましたよ」
みこー「ここの真実はいつか明かしたいところです」
みこー「ちなみに関係図はこんな感じですね」
みこー「お仲間がたくさんで愉快ですね」
みこー「ちなみに口うるさい死霊とシェアハウスしているらしいですよ」
みこー「フェレ、次どんな人の人生みたいです?」
フェレ「誰でも」
みこー「決めて欲しかったんですが…」
みこー「まあ決めとくとしましょう。さて、次回お会いしましょう」
みこー「さようなら〜!」
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽
コメント
2件
クレアの過去ってこんななのかぁ!!!すき!!!!!!!!!好きすぎてやばい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(尊死)