遅くなりすぎました💦
ほんとにすみません🙇🏻♀️
side元貴
あの後、火照る顔を何とか隠し切り、並んで歩く帰り道。
まだ空が明るくて、爽やかな風が吹いている。
若井「ちょっとこっち行こ。」
突然若井が僕の腕を引っ張って、別の道へ行こうとする。
大森「なんで?そっち遠回りだよ?」
久しぶりの外出で身体ともに疲れていた僕は、不満を前面に押し出し強くアピールするが、若井は気づいていないフリをする。
若井「いいから。行きたいとこがあるの。」
早く帰りたいんだけど。
そんな気持ちのままずるずると引っ張られていく。
道の先に先に見えてきたのは。
大森「…!駄菓子屋さん!?」
若井「せーかい!」
もう何年も存在を忘れていた駄菓子屋さんだった。久しく行っていない。
この距離でもわかる整列した沢山の夢たちを見てテンションがぐん、と跳ね上がる。
大森「あ、でも、お金持ってきてない…」
だめじゃん、これじゃ買えないや…
お金を持ってきていないという事実に気がついて、上がったテンションは一気に急降下。
くそう。
買えないのにこんなとこ連れてきやがって…
無駄に喜んじゃったじゃん。
なんて考えればいくらでもある解決策に気が付かず、少し理不尽な怒りを若井にぶつけようとして、顔を上げると。
ニヤニヤとした若井と目が合う。
なんだよその顔。
若井「そう言うと思って〜」
若井「今日は俺の奢りですっ!」
財布を取りだしながらニヤリと片口角をあげてみせる。
大森「まじ!?いいの!」
そんなことを言って貰えると思ってなかった僕は、また簡単に気分を上げる。
若井「ほら、好きなだけ選んでおいで!」
大森「うんっ!」
若井にもらった千円札を握りしめ、わくわくしながら店内へ。
隠れ家のような店内にひしめき合うラインナップは久しぶりに見るものばかりで、幼心がくすぐられる。
大森「うわー!これ懐かし!」
大森「こんなのあったっけ!?」
なんて1人で騒ぎながら商品を手に取っていく。
あっという間に両手がいっぱいになり、レジへ持っていくと、ザ、駄菓子屋の店主、といった風貌の優しそうなおばちゃんが店の奥から出てくる。
「あらまぁ、いっぱいだねぇ」
大森「駄菓子屋さんとか久しぶりでつい…笑」
「楽しんでもらえたならいいんだよ」
そう言うと、くじを差し出される。
「500円ごとに1回だよ、ほら引きな」
言われるがままに引いて出たのは10等。
「おぉ、いいの引くねぇ」
渡されたのは青りんごの形をした消しゴム。
かわいい…!あとで若井に自慢しよーっと!
「はい、どうぞ。また来てね〜」
大森「はーい!」
お店を出ると、若井の待つ公園へと急いだ。
ベンチにスマホをいじりながら座る若井を見て悪戯心が湧く。
そーっと近づいて後ろへまわる。
ばっ
大森「だーれだ!」
若井の目元を覆い、声色を変えて言う。
若井「わ!びっくりした…元貴?」
大森「んちっ、せーかい。」
案の定すぐバレた。
若井「いっぱい買ったね〜」
大森「うん!若井ありがと!」
若井「いーえ!」
ほんと、若井は優しい。
若井の横に座り、買ったものを物色する。
さてと、どれから食べようか。
定番のスナック菓子もいいし、小さなドーナツやチューイングキャンディもいいな。
迷った末、ラムネを手に取る。
あの、プラスチックのちっちゃな容器にいっぱい入ってるやつね。
ん、おいし!
久々に食べる味に興奮しながら、次のお菓子を取るために袋に手を突っ込んだそのとき。
あることを思いだした僕はポケットから出したものを若井の目の前に突き出す。
大森「あ、そーいえば!若井見て!」
僕の手に握られているのはくじで貰った青りんごの消しゴム。
大森「じゃーん!いいでしょー!」
若井「かわいい!なにそれ!」
きらきらと目を輝かせる若井にざっくりと説明する。
500円で1回くじが引けたこと。
それで10等が当たってこの消しゴムが貰えたこと。それが可愛くて嬉しいということ。
若井は自分の事のように喜んでくれて、僕はとっても満悦。
その嬉しい気持ちの興奮を抑えるため、 あれこれ食べてるうちに妙案を思いつく。
僕が取り出したのはどれかひとつが超すっぱいガム。
大森「若井これ食べてみて!」
ひとつを手に取り、有無を言わさず若井の口に放り込む。
若井「ん、ってすっぱ…!」
きゅっ、と顔を顰める若井。
大森「あははは!」
その顔が面白くて、笑いが溢れる。
すかさず、写真にも収める。
大森「さすがだね、3分の1を当てるなんて」
パッケージを見せると、だと思った、とでも言いたげに呆れ顔を見せる。
笑いすぎて出た涙を拭いながら、無事なことが確定したガムを口にする。
大森「これ待ち受けにしよーっと笑」
撮った写真を見てまた笑いが込み上げる。
はぁー、これは待ち受けどころか宝物だわ。
画面から顔を上げると若井がむぅ…という声が聞こえてきそうなほど、不満げな顔をして僕のことを見つめていた。
なにその顔、かわいい…
…かわいい?同性の若井が?
いやいや、ありえない。
一瞬意味のわからない感情が出てきて少し混乱するが、慌てて頭から追いやり、お菓子の入った袋を掴んで立ち上がる。
大森「っ、そろそろ帰ろ!」
辺りはもう暗くなっていて、お日様が裏切って去っていくのを感じる。
空気が少し肌寒くなってきて、軽く身震いしていると、若井から質問が飛んでくる。
若井「どう?久しぶりの学校楽しかった?」
大森「うんっ!めっちゃ楽しかった!」
久しぶりの学校もいいかもしれない、と思えた1日だった。
まぁ、主に若井のおかげだけど。
若井「それはよかった!じゃあこれk」
大森「でも疲れたから暫くは行かない。」
少し喜んだような若井の言葉を遮り、僕はきっぱりと言い放つ。
楽しかったけど、ね。
若井が黙ったのを感じ、振り返ると悲哀に満ちた表情をしていた。
僕がいないとそんなに寂しいの?
嬉しいけど期待には応えられないというむず痒い気持ち。
…駄菓子屋さん、連れてってくれたし。
あ、これ理由にできるじゃん。
歩くスピードを緩め、意識的に横に並ぶ。
大森「まぁ、別に?たまになら行ってやってもいいけど。」
若井と過ごせて、良かったし。
そう言えはしたものの、体温がじわじわと上昇していくのを感じる。
さすがに今、目は合わせらんないな…
絶対顔赤くなってるし…///
ふわっと空気が揺らぎ、若井が動いたことを認識する間もなくいきなりまた輝く笑顔が目の前に現れて、ぱちっと目を合わせてきて。
若井「その日を楽しみに待っとくわ!」
などと元気に言う。
っだからこいつは…///
気がついたらもう自分の家が見えてきていて、僕を送ってくれたことに気がつく。
こういうところがモテるんだろうなー…
なんだか手馴れていることに少しモヤりながらも、お別れの挨拶をする。
若井「それじゃ、ばいばい!」
大森「ん、ばいばい。」
僕は若井の背中が見えなくなるまで手を振り続けた。
家に入るとご飯も食べずに自分の部屋へ行き、ベッドに飛び込む。
大森「はぁ、疲れたぁ…」
大の字に寝転がり、1日を振り返る。
意外と楽しかった授業。初めて入った涼しい風吹く屋上。久しぶりに行った駄菓子屋さん。
良い1日だった、と締めようとするけれど。
あの輝く笑顔がどうしても頭から離れない。
なんで、
自分の中では理由なんてとっくに分かりきっているのに、必死に気付かないフリをして気持ちを誤魔化そうとする。
頭の中を空っぽにしようと努力するけど、浮かんでくるのは若井の良いところばかり。
優しいとこ、かっこいいとこ、可愛いとこ。
面白いとこ、ちょっと意地悪なとこ。
次々と溢れて止まらない。
…あぁ、僕は。若井が好きなんだ。
この想いは報われないとわかっているのに。
好きになっちゃったんだ。
あぁ、認めたくないな、、
でも、もう遅い。
自分の気持ちを知ってしまった。
…この気持ちが若井にバレたら嫌われるかもしれない。どうにかして隠し切らないと…
そうして僕はまた本音を心の奥底に深く、深く押し込む。
じゃあねばいばい、僕の初恋。
なんか気にいらないから
全話部分的に書き直す…🥺
コメント
2件
ちょとちょとちょと!!さいくぅーーじゃないの!!!これで納得いかんのまじ!?もう最高傑作だろ!