彼女の実績は街の人たちも認めるほどだった。
積極的に取り組み街のあらゆる発展に貢献した。
そんな彼女は新たな実験体の観測者。
「初めまして、私はクロートー」
「これから君はここで暮らしてもらう」
「突然の事だが頼んだよ」
観測体ことフィーロは、一定時間暴走することが多々ある。
「絵は好き?私は好きだ。表現するのっていいよね」
私が支えになってやらないと。
「はぁ、レポートは面倒だ。全行埋めろとか言われても……って君には関係ないないね…ごめん」
彼女はヴァンパイア。研究員達には内緒にしている。
サンルナ人の中で優れていて、ヒカクシをせずに生活している。
だが、何があるか分からないため、常に所持している。
「一夜漬けでレポート完成して…ふぁ〜っ、それで、今日提出するんだ」
「じゃあ、この色、何に見える?…ふ〜ん、なるほど」
いくつか質問をした結果、色彩感覚が猫に近いと分かった。
「ハッピーバースデー、おめでとう、今日は君が生まれた記念日だ。ふふ〜ん、持ってきたんだよ〜。これっ!」
「え、、、これが何かって?これはクマのぬいぐるみ。ふわふわしているだろう?ほら触ってごらん」
「これが君のお友達、みたいな?」
今日はフィーロが生まれてここに来た記念日。
「や、あ、、、うわぁ〜これテープではっ付けたの?」
「まぁね、こんな真っ白な部屋、何もないなんて寂しい。良いと思うよ」
「これは…何かな?」
「わ、私!?嬉しいね。ありがとう」
真っ白な壁に貼ってあった。画用紙にはそれぞれクレヨンで描いた絵。
フィーロが自分で全部貼ったみたいだ。
「明日は一日だけ違う人が君のところに来る」
「安心して、怖い事はないよ」
『おはよーあんたがクロートーに頼まれた観測体ねー』
『…っ痛いわねッ!何すんのよ!怪物!』
『暴走状態。本当だったのね』
『失敗作だから処分した方が良いと多数の意見があったのにも関わらず…まったく…変わってるわ』
『あんたは私達と同類じゃない。そのことぐらい分からない?』
彼女は主に植物
「昨日はどうだったかな?」
「…えっ…。いやっ、そんな、君も私達も同じさ。仲間外れなんて事はない。絶対」
私がねだって言った事だ。最後まで責務を果たさなければ。
「…うん、前あげた鏡だね」
「いや、見た目が違っても一緒、ね?」
翌日、油断していた私は、
「本当にすみません!」
【街の奴らに言いつけるぞ、あの天才観測員がこんな失態を侵した、とな】
「そ、それだけは!どうかご勘弁を願いたいです」
【捕まえてこい!即急にな。後、軍隊の手配を】
〈了解致しました。研究長様〉
フィーロは部屋に居なかったのだ。私の不注意だ。あの子は何をしでかすか分からない。襲う…
いいや、そんなことをする子だとは思わない、思いたくない!
「はぁはぁ…い、いたっ、」
「…えっ…そんな、ことない!言ったじゃないか、違っても同じだと!」
「怪物なんかじゃっ!」
〈見つけたぞ!捕えろッ!〉
「ま、待ってくれぇッ!!!!」
「……そんなっ…」
【村中に大きな被害を生んだ。よってこの化け物を殺処分とする】
【お前の管理がいけないんだぞ】
【クロートーが責任者だ、解雇処分とする。他の職を探すんだな】
【だが、こんな事件を起こした共犯を雇ってもらえるところなんてどこもないだろうがなっ】
「ッ……」
全て私のせいだ…。私が頑張っていれば……。
【ふふっ…これは、まだ試したことがなかったな…。化け物にぶつけたらどんなことになるか】
【撃てッ!!!!!!!!!】
バンッ!
【なッ…何だと…正気か!クロートー】
「ゆる…して、やっ」
私はその場に倒れ込んでしまった。
【…まぁ、今となっては部外者だ。そんな奴が居なくなったとて、何不自由な事はない】
【森に捨てておけ】
「ん…」
目覚めた、草原の地で。
辺りは木だらけ、森だろうか。
それに暗い、夜になって、一体何日ここに居たのか、はたまた…私は…。
記憶がない、ここに居てもしょうがないと思った自分は重々しく立ち上がり、ゆっくりと森の中を歩き回った。
「あら、貴方は、噂になっている研究者さんかしら」
「私の事を知っている者か?」
「ここらじゃ有名よ、まさか本人が知らないとはねぇ」
「生憎、私は、私の事を知らない。誰だか分からないのだ」
「そんな…記憶障害?そんな事もあるのね」
「気がついたらここに…」
「ついてきなさい」
彼女はメアリードと言う。彼女はこの森にある一軒家に暮らしていて、一人暮らしである。
床を踏み込むとギシリと軋む板の音。薄らとだけ光る電球、仄暗い部屋。
水は雨水か近くの川。雨漏りもするらしい、多分雨水はそのことを言っているのだろう。
「少々古臭いけど、ゆっくりしていって」
彼女は優しかった。最近あった事、果物、野菜を育て始めたこととか、色々聞かせてもらった。
そして、最後に私はどうやらサンルナ人と言うヴァンパイアの種族で、研究員をしていた物凄く有名人だったらしい。それまでの記憶はないが。
彼女は私が研究所でしてきた事を細かく聞きたかったらしく、非常に残念そうだった。
「なんか、貴方、暗く見えるわ。もっと明るくいきましょうよ」
「明るく…すまないが、これで精一杯…」
時折、彼女の明るさに振り回される事がある。それが非常にうんざりしている。
私は、何事にもゆっくりとマイペースにいきたい性格なのかも。
「ヴァイオリン…メアリードが弾くのか?」
「あぁ…残念ながら私は弾けないのピアノなら弾けるのだけれど…弾ける人呼んで聴いてみたいものだわ」
「才能があるのは素晴らしいな」
「貴方も以前はあったのよ」
非常に惜しむ。無くす前の自分に是非とも会ってみたいものだ。
「それじゃあ、行ってくるぞ〜!」
「きちんと地図持ったかしら?迷わないでちょうだいね」
「あぁ、勿論じゃ、わしを何じゃと思っとるんじゃ」
「……っふふ」
「あぁ?どうした」
「いやっ、こうしてみると変わったと思って、ね」
「変わった…?何がか分からんが」
「行ってらっしゃい、掃除はするのよ?広いから…」
「おう、ちゃんとするぞ!じゃあなっ!」
「たまに遊びに行くからね」
「おぉ、それは嬉しいぞ」
「良かったらそちらからも来てほしいわ。それと進捗あったら電話で」
「分かったぞ」
そういえば…ふふっ、あんな事があったわね〜懐かしい。
どうして記憶がないのかは知らないけれど。
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