コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「なあ、莉瑠__」
「学校では喋りかけないで」
「は?」
東条くんに愛の気持ち…なのか?を伝えられてから、私はよく学校でも東条くんに喋りかけられるようになった
いきなり下の名前で呼び捨てだし
でも、私は喋りかけて欲しくない
好きという気持ちはたしかに嬉しかったけれど、私は好きじゃない、それは事実だ
そして何より__
「クラスの委員長がこんな有名なヤンキーくんと喋ってるってなったら私までやばいやつ、のレッテルを貼られちゃうでしょ」
…ピシャリと言った。
そう、私はそんなイメージをつけられたくないのだ
私は皆に尊敬されてる「委員長」なんだから、東条くんと仲良く喋るだけで私のイメージを壊されたくない
きっと、人の価値観なんてもろいものなんだから
すぐに決めつけられるにきまってる
私は東条くんを睨みつけた
東条くんはそんな私と比べ、ゆったりとした表情を壊さずニヤリと笑う
「何気にしてんだよ」
「…いつ誰に見られてるかわかんないでしょ」
「見られてもよくね?」
「私は良くないの!」
息が、荒くなる
もし、もしこの東条くんと付き合ってる、なんてイメージがわいたら最悪すぎる
もう、あんな目には会いたくない__
「…はいはい、わーったよ」
私の必死な様子を察したのか、東条くんは呆れたように言った
私の体が安堵につつまれる
「ありが__」
「でも」
悪魔の顔が、ニヤリと笑う
「学校じゃなきゃ、いーんだよな?」
…っ
悪魔なのに整った顔立ちをしている東条くんを恨みたい
「あと、東条くん、とかやめろよな。ちゃんと雅人って呼べるよう練習しとけ」
そう言ってニヤリと笑うと、軽やかな足取りで私から離れていった
ああ、私、なんてやつに好かれてしまったんだろう
「天津さん」
綺麗な美声に、思わずドキリと胸が高鳴る
振り返ると、綺麗な顔立ちをした美少女だった
髪はショートカットで、くりくりとした目を輝かせている
誰かは知らないけど、他の学年の子だろうか?
すごく、美少女だ…
東条くんも、こういう子に恋をするべきなのでは?
そんな心の中の思いを胸にしまい、私は笑顔を作った
「どうしたんですか?」
その声に、美少女は嬉しそうな可愛らしい微笑みをだして小さな口を開いた
「あは、やっぱり!天津さんって、噂通りすごく優しそうな人だね!」
__噂
噂で優しい、となっている事にほっとし、私はさらに笑顔を深めた
「あはは、ありがとうございます。でも、えっと…」
「あ、僕3年生なんだ!いきなりきちゃってごめんね?」
たしかに、ここは2年生の教室__って、僕?
その「僕」という強烈ワードに焦りを覚えていると、美少女…美少年なのか?…は、また明るく笑った
「もしかして、僕のこと女の子だと思った?」
…その通りです
コクリとうなずくと、また鈴のような笑いが響く
「あはは、やっぱりかあ…!いつも間違われちゃうんだよね」
「…っ!す、すみません!」
「え?」
美少年…ううん、美少年は、きょとんとした顔になる
私は焦りの表情をうかべて、ごめんなさいと謝った
「勝手に女の子と思ってしまって…!すみません!」
「…えっ?ちょ、ちょっとちょっと!」
そんなに謝ると思ってなかったのか、美少年が焦りの表情をうかべる
「ちょ、もう謝らないで!僕、よく間違われるんだから!」
「で、でも…」
「天津さん」
凛とした、男の子らしい声に思わず胸がドキリと高鳴る
美少年は人懐っこい笑みをうかべて、嬉しそうに笑った
「そんなに謝らなくていいけど、天津さんが初めてだよ」
「え?」
「謝ってくれた人だよ!皆可愛いから女かと思ったー…みたいなこと言って笑い出すんだよね」
その目は、どこか寂しそうな表情を浮かべている
「…な、名前!」
「ん?」
「名前なんですか?」
思わず変な声が飛び出すも、美少年は笑うことなく答えてくれた
「小豆沢理緒、理科の理に一緒の諸だよ」
「…小豆沢、くん」
ぽつりと呟くと、小豆沢くんは少し頬を赤く染めた
「…天津さん……ううん、莉瑠ちゃん!ち急に名前を呼ばれたらドキリとしちゃうじゃんか」
「えっ!?」
急に下の名前で呼ばれた私もドキドキとしていますが
高鳴る心臓を抑えて、私は冷静な表情をたもった
「莉瑠ちゃん」
ビクッ
急に真面目に呼ばれたので、私の体が反応する
小豆沢くんはそんな私をみて愛おしそうに笑い、口を開いた
「ありがとね」
その暖かい笑に、心の底がどきり、となった
「…私は何もしてませんよ」
「いいよ、ありがと」
そう言って笑うと、小豆沢くんは教室から出ていった
……あれ?小豆沢くんがどうして教室に来たのか聞くの忘れた…!
なんで来たんだろ!?
私は絶望の表情を浮かべると、ゆっくり自分の席に戻った
「おい、莉瑠」
帰り道、小豆沢くんとは全く別物の低音ボイスで呼ばれています
私はため息をついてから、東条くんに目を向けた
「…なに」
そんな私をみて、東條くんはだるそうに口を開く
「冷たくね?」
「人から好きなんか言われたらその人に冷たくなるよ」
「え、気にしてんのそれ」
「…気にしてないからあほ」
「お前かわいいなあ」
…さらっと恥ずかしすぎることをいうのはやめてもらっていいですか?
私は赤くなる頬を抑えて、黙り込んだ
東条くんは、真顔になって口を開いた
「…あのさ、今日おまえの教室に小豆沢きた?」
「え?」
「小豆沢理緒」
「…きた……けど」
その言葉に東条くんは舌打ちして、また口を開いた
「お前そいつの相手すんなよ」
「え?…な、なんでよ」
「……後でめんどくさいから」
小さな言葉をだして、東条くんはそれきり何も喋らなかった
小豆沢くんの、何がめんどくさいんだろう
【悲報】まじめすぎ委員長、ヤンキーに激愛されました。