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「……こんな生活続けてたら、マジで死ぬかもしれん……」
シーツの海に突っ伏し、指一本動かす気力もなく理人が掠れた声で呟いた。
「やだなぁ、大袈裟すぎですよ理人さん。それに、死んじゃったら僕が困ります」
隣で身体を休めていた瀬名が、クスリと楽しげに喉を鳴らす。熱を持った指先が、理人の汗ばんだ髪をゆっくりと梳いた。
「お前なぁ……いくら何でもやり過ぎだ! 何回盛り上がりゃ気が済むんだよ、高校生か……っ」
腰の芯に残る重だるい痛みと、思い出すだけで顔から火が出そうな羞恥心。理人は枕に顔を埋めたままぶつぶつと毒づいたが、瀬名はどこ吹く風といった様子で、ただ幸せそうに目を細めている。
「ずっと、名前で呼んでほしいって思ってたんです。呼ばれたら凄く嬉しいだろうな、なんて想像はしてましたけど……まさか、あんな情熱的な告白までついてくるなんて」
「ぁああっ、もう! 思い出すなっ! 忘れろっつっただろ!」
あの瞬間は、極限の状況と熱に浮かされて、つい口走ってしまっただけだ。……そう自分に言い聞かせても、冷静になればなるほど、瀬名の顔をまともに見ることができない。
土曜日の夜にあの店から戻って以来、月曜日の今朝まで、二人はこの部屋から一歩も外に出ていなかった。
一度繋がれば、眠りに落ちるまで求められ、目が覚めればまた熱い波に飲み込まれる。食事とシャワーの最低限の時間以外、二人の身体はほぼ一日中結ばれていた。流石に腰が砕ける寸前だったが、瀬名の渇望は止まることを知らなかった。 この歳になって、まさか十代のような無茶な真似をすることになるとは、夢にも思わなかった。
「『好き』って言われるのと、『愛してる』じゃ、全然破壊力が違いますよ。あぁ……また聞きたいなぁ」
「……二度と言わねぇ」
ニヤけた顔で強請ってくる瀬名を睨みつけると、彼は分かりやすく肩を落とし、大型犬が捨てられたような悲しげな表情を作った。 そんな顔をされるのが、理人は一番弱い。
「あーもう! ……そのうち、気が向いたらだ! 何回も安売りするような言葉じゃねぇだろ」
照れ隠しのぶっきらぼうな物言いに、瀬名の顔がパッと明るく輝いた。 言葉一つでこれほどまでに一喜一憂する男は、単純すぎて、底が知れない。
けれど、そんな彼を「可愛い」と、どうしようもなく愛おしく思ってしまう自分も、相当重症なのだ。
理人は自嘲気味な苦笑を浮かべると、隣の熱を自分の方へと引き寄せた。 そして、今度は逃げるためではなく、愛を確かめるように、そっと優しく唇を重ねた。
END