※800人のやつです
※3000字ちょい
※結構謎です
「おにーさーん」
「わっ、……!?」
えっ、ここどこ……!?
目を覚ます、というか気づいたら俺は知らない村……?に来ていた。
目の前に立っているのは、白い着物を着た桃色の瞳と髪の少年。歳こそ十歳くらい違いそうだが、どことなく雰囲気が俺に似てる……?
「ねぇ、ここおれの家なんだけど、お兄さん不法侵入?」
少年が手を差し伸べながら俺に問う。
「いやいやいや……!?!?」
必死に否定する中、俺は少年のある言葉が引っかかった。
『ここおれの家』って言ってたけど、こんなボロい小屋みたいなのが……?
「ボロい小屋で悪かったですね、」
少年がジト目でこちらを見つめてくる。あれ、聞こえてた……?
そして、少年は諦めたようにポツリとこう呟いた。
「生贄なんだから当たり前でしょ」
「え、生贄……?」
思わず訊き返すと、少年は信じられないとばかりに目を見開いた。
「やっぱり村外の人か……」
それから、少年は自身がこの村の生贄として幼い頃からこの小屋に幽閉されていたこと、村の人たちは早く少年に死んで欲しがっていること、そして神に嫁ぐ儀式があるのが今日だということを話した。
そこで俺は、少年が纏っている服が白無垢であることに気づいた。
「お兄さんもこんな村早く出たほうがいいですよ。村の人たちなんて、ほんと……っ気持ち悪い。神なんているわけ無いのに……っ。」
唇を噛みながら小刻みに震える少年。
たとえ生贄だったとしても、齢十数歳の少年だ。死ぬのは怖いに決まっている。
そんな少年を抱きしめようと手を伸ばしたところで顔の真横を小刀が通り過ぎた。
ヒュンッと音がして、一瞬息が詰まる。
「ないくんに触らないで」
凛とした声が響き、小刀を投げてきたであろう人物が姿を表した。
赤い瞳に赤髪の目の前の少年よりも少し幼そうな少年。どことなくりうらに似てる?
え、ていうか今ないくんって……。
「裏卜……!この人は大丈夫だよ。村の人じゃないし」
「りうら!?!?!?」
「……なに、お兄さん」
『ないくん』と呼ばれた少年を守るように前に立つ『裏卜』と呼ばれた少年。
……この軽蔑した視線。りうらだ……。
「……ねぇ、君名前は?」
桃色の髪の少年に名前を問う。
少年は少し俯き、数秒してこう答えた。
「……乾 無人」
「っないくん……!」
やっぱり。
雰囲気が似てるな、とは思ってたけどこの子たちは俺らの先祖みたいなものなのか。
いや、だとしたら俺結構な血筋なのでは……??
でも生贄なんて聞いたこと無いし……。
「大丈夫だよ、裏卜。第一、おれの名前知らなかったでしょ?害は無いよ。」
「でも……っ、……分かったよ。」
「おにーさん、」
「あっ、はい!」
ぐるぐると思考を巡らせていると、裏卜、くんに呼ばれた。
りうらをくん付けで呼ぶのなんて何年ぶりだ……。
「ないくんに何かしたら次はちゃんと刺すから」
「ハイ……」
相変わらず敵意剥き出しな裏卜くん。
それを見て、あははと呑気に笑っている無人くん。
全然笑い事じゃないんですけど……。
なんて考えていたら、どこからか人の声が聞こえてきた。
「あー、もう時間?」
残念そうな声色でそう呟いた無人くんと、どこか悔しそうに顔を曇らせる裏卜くん。
あぁ、生贄としての役目を果たす時間になっちゃったんだなぁ……。
「っ、ねぇ、ないくん……っ!」
「『裏卜も一緒に死ぬ』とか言わないでよ?」
「……っ」
「……おれにそーいう特別な感情があるから監視役から外されたんじやなかったっけ?」
そう茶化すように言った後、
「裏卜は死んじゃだめだよ。おれの分まで生きて。」
そっと裏卜くんに口付けをした無人くん。
……俺、なんでショタ同士のイチャコラ見せつけられてるんだろう。
「居た……っ!乾様……!!」
「裏卜、!またお前だろう、乾様を逃がしたのは……!」
やってきた数人の男女の中のトップみたいな人が、裏卜くんに怒鳴る。
口振りからして、きっと裏卜くんと面識がある人なのだろう。さっき無人くんが言ってた『監視役』だとか。
「今、こうやってないくんが逃げてないんだから大丈夫でしょ。最後の日くらい外に出したっていいんじゃない?爺ちゃん。」
煽るようにそう口にした裏卜くん。相変わらずのクソガキぶりで。
それに反応したトップの人が裏卜くんに手を上げようとした瞬間、遮るように無人くんが口を開いた。
「ほら村長。準備ができているなら、早く儀式に行きましょ?おれに、早く死んで欲しいんでしょう?」
『村長』と呼ばれた人物が、無人くんと裏卜くんとついでに俺を睨む。
俺なにもしてないんですけど……。
「……行きましょう、乾様」
そう言って、村長とその周りの人たちが、無人くんを囲って進み出す。
無人くんは、バイバイと手を振って、寂しそうに笑っていた。
「……っないくん……」
そう小さく吐き捨てた裏卜くんを見ると、悔しそうに唇を噛んでいた。
「………い、……!!」
「な、………くん……!!!」
「ないくん……!!!」
「ん……あれ、りうら……?」
「大丈夫?ないくん」
目が覚めると、視界いっぱいにりうらの整った顔。
あれ、さっきまでのは、夢?
「うん、……大丈夫だよ」
「もう、心配した……。会議の後、作業してくるって言って、一向に帰ってこないと思ったら寝落ちしてるんだもん……。」
「ご、ごめん……?」
どうせ寝不足でしょ、と呆れるりうら。
おかしいな。昨日はちゃんと寝たはずなんだけど……。
「取り敢えず、ありがとうりうら。もう帰っていいよ?」
「ううん、まだ心配だからここに居る」
「あ、そう……?」
本当に大丈夫なんだけどな……、なんて思いながらベッドに腰掛けたりうらの顔を見つめる。
うーん、やっぱイケメン……。じゃなくて。
裏卜くんと似てるよな……、やっぱり。
あの2人は俺らの祖先……???
「うーん……」
「……あの、りうらの顔に何か付いてる?」
「あっ、ごめん……!」
りうらの顔をまじまじと見つめていたら怪訝な顔をされてしまったので、咄嗟に謝る。
……夢のこと、話してみよっかな。
2人が祖先だという予想があってるなら、りうらも何か知ってるかもしれないし。
「っ、あの、りうら。……夢の話なんだけどね」
びっくりした。
ないくんが急に村の、前世の話をしてきたから。
もしかして、前世の記憶を思い出したのかと思ったけど、口調から察するにそんなことはなさそうだった。
まぁ、あんなつらいことは思い出してほしくないし。
「……って感じなんだけど、りうら何か知ってることある?」
「……ううん、知らない」
一瞬、前世のことを言おうか迷ったけど、言うのはやめた。もう今は生贄の風習はないし、言ったことでないくんが前世の記憶を取り戻したら苦しくなるだけだから。
メリットがあるなら、前世でりうらのことが好きだったことを思い出してくれるくらい。
「にしても面白い夢みたね。流石ないくん。」
「なにそれw 夢だから続きなんてないのになんか気になっちゃうんだよね〜……」
続きねぇ……。思い出したくもない。
ないくんが生贄として神に嫁いでいった後、村の人たちは宴だ祭りだって喜んだ。これで数年はこの村は安泰だ、って。
人が一人死んだって言うのに、誰も悲しい表情をしない。
ないくんがこの世から居なくなったのに、みんなは笑ってる。
ああ、人の命なんてそんなものなんだって、笑ってる人たちが気持ち悪くて、気持ち悪くて。
ドス黒い感情が、胸の中で渦巻いた。
手当たり次第に小刀を投げて、死ぬ人は死んで、辺りは血塗れになった。
こんなことないくんが望んでるわけないって分かってたのに、傷付けないわけにはいかなかった。
なんでこんな奴らじゃなくて、ないくんが死ななくちゃいけないの。
神なんて存在する訳もないのに。馬鹿馬鹿しい。
そう思わずにはいられなかった。
……ないくんの白無垢姿。隣で見れたら良かったのにな。
なんて思いながら、自身の胸に小刀を刺した。
ああ、思い出しただけでイライラする。
村の奴ら全員殺したほうが良かったかな。
まぁ、今世はないくんと同じになれたし、少しは許してあげようかな、なんて。
ないくんがうんうん唸りながら、前世のことについて考えている。
今世は絶対にりうらより早く死なせないから。
「ところでないくん。りうら、ないくんのこと好きなんだけど」
「…………え゛ッ!?!?」
※参考にした漫画があるんですけど……、分かりますかね……
コメント
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初コメ失礼します!! これ参考にしたのぜったい地縛少年花子くんですよね?!17巻あたり……? めっっちゃさいこうです!
花子くんですか?!すみれちゃんの回ですよね?!(違ったらごめんなさい)小説書くの上手すぎて本当尊敬です😭
こういう物語めっちゃ好き!!!