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コン、コン、コン

!?

なんで、なんで?

なんでこの時間に、ノック音がするの?

皆寝てるはずなのに!

混乱する。

何時もなら寝ている時間だ。

「入っていーい?」

1つ隣の、寝ていることを確認した彼の声がした。

混乱を隠せない。

なんで?なんで?

きんとき、寝たんじゃないの?

部屋、暗かったじゃん!

あ、ダメって、言わなきゃ

「だっ、だめっ!」

「なんでー?」

駄目なものは駄目なんだ。なんて声に出せる訳もなく。

理由探しに必死になった。

けど、時間切れだったんだ。

「失礼しまーす」

「!?」

慌てて赤い腕を後ろに隠す。

怖い笑みを浮かべた彼が入ってきた。と思ったのに

「しつれーしまー!」

「失礼しまぁ~す」

「しつれーい」

「きりやん五月蝿い。失礼します。」

ぞろぞろと、残りの4人が入ってきた。

なんで?え?

みんな寝てなかった?

あれ?

適当に座るね〜、と、各々クッションやベッドの上に座った。

Br「あれぇ?nakamuく〜ん、何隠してるのかなー?」

急展開に呆気を取られ、抵抗が出来なかった。

「っ…」

皆に見せないでよ…

手当もしていない、まだ血も止まりきっていない腕を公にされる。

皆の方を見るのが気まずく、ふいと顔を机の、誰もいない方へ背けた。

Kn「わーぁ…」

Kr「聞いてはいたけど…酷いな…」

Shk「血えぐ」

Sm「濡れタオル持ってくるわ」

やめてよ…まじまじ見ないでよ…

「痛っ!?」

!?

何が起こったの!?

驚いて腕を、赤の彼に持たれている左腕の方を見遣る。

そこには、水玉が薄く伸ばされた、赤が広がった腕と、指先を赤くして己の腕に添える青の彼が居た。

「っえ…?きんとき…どうしたの…?」

恐る恐る聞く。何故なら、彼の顔は、入ってきた時の怖い笑みではなく、真剣な、怒気を含んだ険しい顔だったからだ。

怒られる…

嫌だ…

嫌われたくない…!

Kn「ねぇnakamu」

ビクッ

急に声を掛けられ、ビクリと身体が反応する。逃げようと思い手を引っ込めようとしても、2人によって強く握られ、離してはくれなかった

Kn「ねぇ」

あ…これ…

反応しなかったら、怒られるやつ…

スマイル戻ってきてるし…

皆の目線が怖い…

ポロッ、と恐怖が頬を伝う。其れは、止めようも無く、混乱の様に痛くもなく、皆の困惑を呼んだ。

Kn「泣きたいのはこっちなんだけど?」

え…?

意味が分からなかった。怖い思いをしたのはこっちなのだ、何故、君は…きんときは泣きたいの?理解ができなかった。皆も賛同したように頷いている。

赤の君は辛そうに顔を顰めた。

緑の君は苦しそうに慈愛に満ちた様な目で腕を見た。

紫の君は濡れたタオルを持ちながら、只々タオルを強く握り締めていた。

黄色の君は泣きそうに顔を顰めながら、怒りを含んだような目でこちらを見た。

髪で隠れて見えなかった青の彼の目元がキラリと光ったような気がした。

「ごめん…なさい」

謝っておいたら…

Kr「聞きたいのはさ、nakamuの謝罪じゃないんだよ」

黄色の彼が口を開いた。正座の上に置いた拳を強く握り、震えながら、涙を交えた声で、怒りを堪えた声で、落ち着いたように口を開いた。

Shk「なんッ…でッ…!俺らをッ…頼ってくれなかった…ッだよッ!」

なんで…なんでシャケが泣くの?

涙を零しながら、後悔と自責に駆られたような声で叫んだ彼は、辛そうに、唯只管に苦しそうにこちらを見た。

パッと腕から握られている感覚が無くなった。

其方を見ると、赤い彼が顔に手を当て、涙を拭っていた。其処に紫の彼が濡れたタオルを持って、腕を拭き、赤を拭っていった。そんな彼の顔は、普段無表情を貼り付けた様なのに、ぐしゃりと歪み、涙を堪えていた。

Br「相ッ…談…するっ…てぇッ…いっ…たッ…じゃぁんっ…かぁっ…」

嗚咽を零しながら、途切れ途切れに言った。一生懸命絞り出したような声で、何時もの様な泣き顔とは違う、苦しみを流した顔で。

申し訳なさと気まずさ、そして恐怖と混乱から、ふいと目線だけ部屋の角に逸らした。唯、皆が泣いているこの状況が理解出来なかったんだ。自分だけの、俺だけの問題じゃあないか、と不思議で仕方なかった。

Kn「ねぇ、nakamu。」

ビクッ

急に声を掛けられ、驚きが体を伝う。また怒られると思って覚悟したが、青の彼から発された声は先程の怒り充ち満ちた様な声ではなく、優しく、割れ物でも扱うような、それでもって涙を含んだ声だった。怖かった。声が出せなかった。

Kn「俺らさ、辛かったら話聞くよって言ったよねぇ。nakamuのこと助けるよって言ったよねぇ。俺ら、そんなに頼りなかったかな、話せないくらい信用されてなかったかなぁ。」

そんな事言わないでよ…

まるで…

俺が悪いみたいじゃん…

Sm「なぁ」

どう言い訳をしようと迷っていたら、紫の彼が言葉を発した。言葉が発された瞬間に彼の目からは堪えていたであろう涙が溢れ出したその姿は、普段の彼からは想像がつかなかった。

Sm「俺らはさ…?nakamuのことがさ…、大切だから、ッ言ってんの…、怒ってる訳じゃ、ない、から、さ?責めてる…訳、じゃな、いから、さ…、な?」

物静かに頬を伝う涙を拭う訳でも無く、いつも寡黙な彼からは想像出来ないような、途切れ途切れで、詰まって、ゆっくりな声で、まるで幼い子に物事を伝えるように話した。

そんな…じゃあ…

どうすればいいんだよ…

「わかッ…ないよッ…」

みんながみんな泣いている、さも地獄かのような空間はしんと静まり返っている。普段から面倒見のいい、ままと呼ばれることもあるような黄色い彼がずぶずぶに濡れた空間を割った。

Kr「nakamu、首を振るだけでいい、答えてくんない?大丈夫、答えで俺らが怒ることは絶対ないから」

質問…?か

Kr「リスカとかしてんのは、辛いから?」

…フルフル

辛くない、辛い時もあるけど、今日のように、快楽を求めてやる事もあるから、癖に、中毒になっているんだと自分の中では思う。

Kr「癖になってんだ?」

!!…コクン

気付かれた、黄色の彼には心がお見通しなのだろうかと疑うほどに、的確に考えていたことを見透かされていた。

Kr「じゃあ…」

…?

Kr「しばらく部屋誰かと一緒にしようか」

!?!?

唐突に予想だにしなかったことを言われ、涙に濡れた目を見開き黄色の彼の方を見る。

「なん…で?」

なんで?なんで急に…

イヤ、…

Kr「これ以上nakamuに傷ついて欲しくないから」

「…は?」

!?

自分でも驚いた、自分の為に黄色の彼が考えてくれた案を聞いて、出てきた声は、言葉は、とても短く、恐ろしく低く、怒気を含んだ声だったからだ。

Br「なか…む?」

あ、れ?

じわ…ポロポロ

「あ、あ、れ?おれ、?え?あ、おれ、わるいこ、?あぇ?」

頭が回らない、捨てられる、怒られる、マイナスで呆れるくらい現実を通り越した杞憂に脳を支配される。

Sm「nakamu、落ち着け。」

さすさすと背を撫でてくれるその手に心地良さを覚え、落ち着きを取り戻して行った。

Sm「nakamuは部屋、誰とがいいんだ?」

そう近くで話し掛けられ、体を預けさせてくれる。その声に、存在にものすごい心地良さを覚え、紫の彼がいい、それ以外は頭から無くなっていた。

「すま、スマイルがいい…」

Sm「ん、そうか」

ナデナデ

細い声をも拾い上げ、受け入れてくれる。紫の彼は優しいのだ。

Kr「ん、了解、じゃあ今日は…まぁお前らnakamuのベッドで寝ろ」

Sm「ーー!?」

何か言っている。けど安堵安心から来る睡魔には勝てず微睡み、眠りについた。

━━━━━━━━━━━━━━━

「あ、nakamu寝た」

Kr「え、まじ?」

Kn「安心したのかもね」

Br「良かったぁ〜」

Shk「あんだけ暴走してたもんな」

個性豊かな返事を返す彼等。安堵しながら包帯を使い手当をしていく赤の彼は、割れ物を触るように大切に水の彼の腕を扱った。水の彼自体は俺の腕の中に収まっているのだが、と思いながら。水の彼は小さいから、腕の中にすっぽりと収まる。赤の彼が手当を終わらしたことを認識し、ベッドへ静かに沈める。

Kn「部屋移動どうする?」

Kr「あー、今やるか?」

Shk「スマイルはどうするよ」

Br「本人だもんねぇ〜」

「移動は、とりあえず必要なものだけの移動でいい。もしものことがないようにベッドは一緒でいいよ」

Kr「了解〜」

Shk「やりますか〜」

Br「やっちゃうよ〜ん」

するりと水の彼の頭を撫でると心地よさそうに頬を緩ませる。

お前は気づいてないだろうけどな、お前は愛されているんだぞ。

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コメント

1

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楽しみにして作品を見たらあまりにも自分の状況すぎて胸が抉られた…

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