「はぁ、本当に醜い…」
「暑ぐるしい」
俺が廊下を通るだけで陰口を言われる。
こんなの、日常茶飯事だ。
デブ ブス バカ、みんな好き勝手言いやがって…
俺だって、こんな姿で生まれたくなかった。
この体型、容姿のせいで失ったものが沢山ある。
はぁ、本当に憂鬱(ゆううつ)だ、
みんな、俺を見る目には「気持ち悪い」って。
俺はうんざりして、”ある場所”に向かう。
そう、ある場所とは、学校の校庭にある、桜の木だ。
ここは、本当に素晴らしい。
桜の花びらが、桜の花びらだけが、俺を見てくれているような気がするんだ。
って、自意識過剰かもだけど。
「わぁー!綺麗ー!」
えっ?!誰かいる…?
声は、俺のいるところの後ろ側、かな。
俺はバレないように声のした方を覗く。
うわ、綺麗、
俺が見たのは、驚くほど綺麗な容姿をしている人。
あんな人うちの学校に居たっけ?
あっ、たしか、転入生が来たとか言ってたのを耳にしたことがある。
……こんな容姿に生まれて、損なんて無い人生なんだろうな。
できるだけ俺を視界に入れて欲しくなくて、俺はその場から離れることにした。
「あ、あのっ!」
俺の耳に届いたのは、綺麗なソプラノ声。
振り返ると、転入生がこちらへ向かってきた。
えぇ、なになになに…
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