コメント
0件
「はぁ、本当に醜い…」
「暑ぐるしい」
俺が廊下を通るだけで陰口を言われる。
こんなの、日常茶飯事だ。
デブ ブス バカ、みんな好き勝手言いやがって…
俺だって、こんな姿で生まれたくなかった。
この体型、容姿のせいで失ったものが沢山ある。
はぁ、本当に憂鬱(ゆううつ)だ、
みんな、俺を見る目には「気持ち悪い」って。
俺はうんざりして、”ある場所”に向かう。
そう、ある場所とは、学校の校庭にある、桜の木だ。
ここは、本当に素晴らしい。
桜の花びらが、桜の花びらだけが、俺を見てくれているような気がするんだ。
って、自意識過剰かもだけど。
「わぁー!綺麗ー!」
えっ?!誰かいる…?
声は、俺のいるところの後ろ側、かな。
俺はバレないように声のした方を覗く。
うわ、綺麗、
俺が見たのは、驚くほど綺麗な容姿をしている人。
あんな人うちの学校に居たっけ?
あっ、たしか、転入生が来たとか言ってたのを耳にしたことがある。
……こんな容姿に生まれて、損なんて無い人生なんだろうな。
できるだけ俺を視界に入れて欲しくなくて、俺はその場から離れることにした。
「あ、あのっ!」
俺の耳に届いたのは、綺麗なソプラノ声。
振り返ると、転入生がこちらへ向かってきた。
えぇ、なになになに…