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第6話:「意識してしまう瞬間」

斗真は自分の部屋の掃除が終わった後も、心の中で複雑な気持ちが渦巻いていた。あの日、えりと接近しすぎて、何かが変わったような気がした。あんなにドキドキするなんて、ありえなかった。


「ばかだな、俺…」と、部屋の隅でつぶやく。あの時、えりの顔が近すぎて、どうしても目を離せなかった。普段はあんなに口をきつくしているえりなのに、あの瞬間だけは、彼女の表情が柔らかく見えたような気がした。


斗真は顔に手を当てる。もしかして、あの日からえりを意識しすぎているのだろうか?いや、それだけじゃない。えりが自分にどう思っているか、少しだけ気になってしまった。


その日、斗真は家に帰ると、またえりと顔を合わせることになった。キッチンで紗希さんたちが夕飯の準備をしている中、えりはリビングのソファに座ってテレビを見ている。斗真はその姿を見て、ふと立ち止まった。


「あいつ、何だか無防備なところあるよな…」と、自分の心の中で呟いた。その無防備さが、なぜか気になって仕方がなかった。


ふと目が合った瞬間、えりが無言で顔をそむけた。斗真は少しだけ胸が高鳴るのを感じて、またしても心の中で苦笑いを浮かべた。いつもは喧嘩ばかりしているのに、どうしてこんなに気になるのだろうか?


「お前、そんな顔してどうした?」斗真は少し強引に話しかけてみた。


「は?別に、何でもないわよ!」えりは顔を真っ赤にして答える。その反応に、斗真は内心で胸が跳ねるような気がしていた。


それから数分後、えりが立ち上がり、キッチンへと向かっていく。斗真は彼女の後ろ姿を見つめてしまう。


「俺、これって…」


その瞬間、えりがキッチンのドアを開けると、斗真はふっと冷静を装う。しかし、心の中ではその動悸が収まらず、少しばかり焦ってしまう。


「ねえ、ちょっと手伝ってくれ。」斗真が無意識に声をかけると、えりはまたしても顔を赤くして振り返った。


「はぁ?また?」と、少し険しい表情を浮かべながらも、えりは台所へ近づいてきた。


「ああ、なんだかんだで、手伝ってくれるだろ?」斗真はニヤリと笑う。だが、心の中ではその笑顔が少し不自然だと感じていた。


「仕方ないわね…。」えりが少し呆れたように答えると、二人は並んでキッチンで作業を始めた。けれども、何かがいつもと違う。


「なんで、こんなに気になるんだろう。」斗真は心の中で答えを見つけられず、ただ自分の手がふと止まるのを感じていた。隣にいるえりの気配に、どうしても意識を向けてしまう。


その時、えりが不意に彼の手を触れた。


「何してるの?手伝えって言っといてそれ?」と、えりが軽く質問する。


その一言で、斗真の心は激しく跳ねた。ドキドキするのが分かった。慌てて手を引こうとしたが、何かがまた少し変わった気がした。

「あーえっとねーw」


その後も、二人は何気ない言葉を交わしながら作業を続けたが、どこかで意識してしまう自分がいた。えりの存在が、こんなにも自分を動揺させるなんて、やっぱりおかしい。だが、もう一度言うべきだろうか。






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