カミキside
やっと手に入れた。僕の…僕だけの役者。まさかあの子が、直々に来てくれるなんて。いつの間にかバレていた電話番号。最初は警戒してたけど、それも杞憂のようだった。今は楽しみで仕方がない。
カミキ)こんにちは。僕の愛しの人
アクア)…アンタがカミキヒカル?
カミキ)そうだよ。初めまして、星野愛久愛海くん
僕がそう言うと、愛久愛海は不服そうな顔をした。
アクア)アクアで良い。本名で呼ばれるのには慣れないし、呼びにくいだろ
カミキ)綺麗な名前だと思うけどね。僕は好きだよ
アクア)……
凄い目で睨まれた。殺意だけで人を殺せるって、この事を言うんだね。
カミキ)そんな怖い顔しないでよ
アクア)っ、誰のせいだと……
カミキ)ほら、こっちおいで
怒りが収まらないアクアに対して、少し意地悪がしたくなった。ぐっと近づき、腰の抱き寄せる。僕たちの周りにいた人々はそれを見て黄色に悲鳴を上げていた。僕もそうだけど、アクアもかなりの美形だ。それに僕とアクアは見た目がそっくりだから、兄弟だと見間違われても不思議じゃない。目を惹くには充分だろう。
アクア)おい、こんな公共な場で何してんだ!
カミキ)抱き寄せただけじゃないか。そんな猫みたいに警戒しないでよ
アクア)気色悪ぃ……
カミキ)つれないなぁ
僕はそう言って、そっとアクアから離れる。
カミキ)まぁ、良いよ。君はもう僕のものだしね
アクア)うるさい。それ以上余計な事を言うな
カミキ)はいはい。さぁ、行こうか
アクアの荷物をいくつか持つと、何故かムッとされた。
【カミキ家】
アクアside
俺は女性でもないのに、何気なくエスコートされてる。まさか、アイだけじゃなくて、他の人も殺してたりしないよな…いや、流石に考えすぎか。
カミキ)いらっしゃい
アクア)…お邪魔します
カミキ)君の部屋は用意してあるから、そこに荷物を置いてきてね
アクア)部屋はどこだ
カミキ)2階の奥の方の部屋だよ
アクア)そうか…分かった
あまり話を聞きたくなくて、そそくさと2階へ上がった。
【元 空き部屋】
アクア)……
荷物を置く。身につけていた帽子やマスクは予め設置してあったベットに放り投げる。
アクア)……
自分の体もそのままベットにダイブする。
アクア)…疲れた
ここまで来てしまった。もう後戻りは出来ない。誰かに助けを求める事もできない。カミキヒカル以外の人と言葉を交わす事はもう2度とない。
アクア)ルビー、ミヤコさん……
家族としての温もりをくれた人。
アクア)有馬、あかね……
俺を引っ張ってくれて、支えてくれた人。
アクア)監督……
俺に役者としての道を歩ませてくれた人。
アクア)…アイ
俺とさりなちゃんの人生を彩らせてくれた人。
他にも、俺の人生にはたくさんの人に支えられ、守られてきた。
アクア)寂しくなるな……
ふとそう呟くと、ドアの方からノックが聞こえた。どうやら感傷に浸る時間は終わりのようだ。重い体を無理やり起こし、ドアを開ける。
カミキ)あれ、鍵かけてなかったんだ
アクア)鍵?
カミキ)うん。取り付けてあったんだけど、アクアには要らなかった?
アクア)いる
カミキ)そっか
アクア)それより、何の用だ
カミキ)中々降りて来ないから、忘れたのかと思って
アクア)なにを…んぅ!?
カミキ)んっ、はぁっ……
アクア)ぁ…やぁ……は、なせ………!
カミキ)んふふ、ちょっとキスしたくなってね
アクア)ふ、ざけんな……!
カミキ)あまり暴れないで欲しいな。アクアの大切な人を殺す事もできるんだよ?
アクア)っ!
カミキ)どの子も最高に輝いていて綺麗だけど、やっぱり1番最初にするなら……
アクア)黙れ
カミキ)……
アクア)言う通りにするから、誰も殺さないでくれ…!
カミキ)…ふふ、良い子だね
アクア)最高の役者になるから、誰も見るな。俺だけを見てくれ
カミキ)僕がアクアを殺す事になるけど、良いの?
アクア)構わない。その代わり、アンタも道連れにする
カミキ)そう…楽しみにしてるよ
アクア)あの時の言葉をもう一度聞くけど、『俺を育てる気はない?』
カミキ)もちろんあるよ。僕好みの役者にしてみせる
高揚した表情でそういうカミキは、もう一度俺に深いキスをした。
終わり
コメント
11件
よし、この人の作品一気見する
続きを出して欲しい、
最高か?