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ナック・ラムリ
ルカスの指示が出されすぐに主を追いかけた。
だが攫ったやつらは馬鹿ではなくダミーをいくつか作っていた。これを見て計画的に犯行だと認識する。荷車で通ったような跡や歩いた足跡、本物か見分けがほとんどつかない。とりあえず二人で手分けしつつ探す。これは骨が折れそうだが主様が助かるのなら手間は惜しまない。いつもは言い争いばかりの二人が静かに走り出した。
しばらくして、探し始めたのが昼過ぎだったのにもうあたりは暗い。他の執事が来るために目印を付けつつ先へ進むがまだ主の場所へは辿り着けなかった。
ラムリ「、、ナック、こっちの跡も違った」
ナック「そうですか、今日中に見つけたかったですが、厄介ですね」
広い森に二人、視界が悪く跡を見つけにくくもなってきた。だからといって帰る訳にも行かない。焦りが出てくる。もしかした、もう主様は、、不安を駆り立てる。
とりあえず執事が来る前に場所は特定しておかなければ、っ
二人は寝ずにその日は探し続けた。
そして日が昇り始めるかと言う時、一つの小さな城を見つけたのだった。
ナック「、人の気配がありますね。ここで間違いないでしょう」
ラムリ「こんなところにッ、 突入は
できないんだよね、大丈夫かな主様 」
ラムリが木の上から城を見渡す。心配でならない。でも勝手に突入して助けられないより増援を待つ方が得策だ。分かっているが、前に進みたい。体が無意識に前に出る。
助けに走りたい、っ
ナック(ラムリは落ち着きませんね、まぁこんな状況ですからね。ルカスさん達を待ちましょう)
3時間後
8時頃執事達が集まった。
ルカス「二人ともよく探してくれたね」
二人とも寝不足だろうと言われたが助けに行かないわけがない。大丈夫と伝える。
ルカスも返事を、分かってて聞いたようなものだ。ベリアンから二人へすぐに作戦が伝えられる。武器を持ち城へ入ろうとした時だった。
聴き慣れた警報音。天使だ。城から聞こえたため警報機があること知る。周りを警戒したが 気配はない。と言うことは近くに天使はいない。どこか違うところで出現したのだろう。パレスに残っている執事に任せようということになり 先を急ぐ。
ラト「主様の声が聞こえます。あと何か違う音が聞こえてきますね」
ラトが言うのならそうなのだろう。それぞれ定位置に走って向かう。ラトが下から聞こえたと言ったため地下室を探す。
カーペットをずらすと現れた。思いのほか早く見つかってよかったと安心しつつ地下室に入る。
主side
もう目を開けているのかもわからない。相変わらず馬鹿みたいな力で打たれてつつ殴られる。ずっと暗いため朝か夜かも分からない。
声を抑えると足の杭を動かしてくる。
痛みで叫んでも私の声が響くだけ。さっき天使の警報が鳴ったのに詠唱すらできない。痛みでうまく空気すら吸えず声が出ないからだ。
男「もう、流石に死にかけか?」
男「まだ2日も経ってねぇし早いだろ、?
簡単に殺したくないからな」
話しながらも手は止まらず打たれる。
手にも血が通わず感覚がない。だが鎖の音はするため腕が付いていることが分かる。
私このまま殺されるのかな、、っ
嫌だなぁ、みんなと居たかったな。
私が居なくなったらどうするんだろう。力の解放は、、、新しい人が来るのかな?
ここで死ぬぐらいなら最後にみんなに何か恩を返したい。今天使がいることが分かっているため、息を吸うことよりも声を出す事を優先し、詠唱を始めた。
主「、っき、ったれゃ、みのッ」
息が続かない。最後まで言い終わらないといけないのに。どうせこいつらには鞭の音で聞こえていないはず。こんなに詠唱が長いと感じたのは初めてだ。酸欠で頭が働かない。
それでもやり続けなければ、、っ
彼らは天使と生身で戦っているはずだからッ
そんな時だった。男達が急に手を止める。
なにか音がしたのだろうか。すぐに足音が聞こえ出した。
「主様ッッ!!」
勢いよく執事達が降りてくる。だがその時耳が聞こえづらくなっていて私にはあまり聞こえなかった。なんなら幻聴と思ったぐらいだ。
執事達の顔が引き攣っている。これだけ叩かれていたらまぁ、そんな顔にもなるかと思う。
鉄格子が壊され、男を制圧していく。
ボスキが手の鎖を切ってくれ吊るしてあったものがなくなり体を支えきれず前に倒れ込む。それをしっかりベリアンが受け止めてくれた。
ベリアン「、なんて、酷い事を、」
私の顔を覗き込んで涙を流している。
ぽたぽたと雫が顔に降り注いだ。私はもう涙も枯れてしまいうまく泣けなかった。
その時。ベリアンは主の口が少しだけ動いているのを確認した。耳を近づけてみればうわ言のように力無く執事達への詠唱をしていた。きっと主にもさっきの天使の警報音が聞こえていたのだろう。こんなになってでも私たちを想ってくださっている。なんと健気な方だろう。支えている自分の手にぐっと力が入る。他の執事達は男をすぐに拘束し、主に駆け寄ってきた。ベリアンはそっと声をかけた。
ベリアン「主様、、っ大丈夫ですよ、 天使はもういませんからね、みんな無事です。ですからもう休んでください」
安心したのか、静かに主の目が閉じてゆく。力も抜け、支えている腕に体重がかけられた。
ルカス「早く主様を馬車へ、っここで応急処置しなければ命が危ないッ」
ハウレス「ベリアンさん達は行ってください!
俺らでこいつらは対処しますッ」
フェネス「外を警戒しているロノとバスティンを馬車の護衛にしよう、っ」
フルーレ「俺が伝えてきます!」
状況を見て迅速に各々が動く。連携はさすがというものだ。
ベリアンは主を抱えてミヤジ、ルカスと共に馬車へ走る。 馬車へ乗るとすぐに二人で止血や体の状態をみる。
ミヤジ「ルカス、足が酷すぎる。ここでこれを抜くことはできないな」
ルカス「あぁ、これは無理矢理刺したんだ、
もしかしたら後遺症になってしまうかもしれないね。痣も多すぎる、、」
主な状態は最悪だった。一番は足だが鞭の跡や殴られたところ、どこから手をつけようかと考えつつできるだけの処置をする。
ルカス「ベリアン、急いでパレスに帰って欲しいが出来るだけ馬車を揺らさずに頼むよ」
馬車を操縦するベリアンに小窓から伝える。
わかりましたと言われすぐに応急処置をする。
バンッッ
扉を力一杯開け、主を治療室に運ぶ。パレスに残っていた執事達は天使狩りが終わったのか、
玄関の階段付近で待っていた。主が帰ってきた時、出迎えでもしたかったのだろう。主の帰宅を心待ちにしていたのだ。だが主を見た瞬間頭を抱える。信じられないと言う顔をしている者もいる。
ベリアンは執事達に状況を伝えるため治療室から出た。任せましたよ、とルカスとミヤジな伝え主の頭を撫でで退室した。
ミヤジ「本当ならベリアンもここに居たいだろうに、すごいね」
ルカス「任されたからには、絶対に救ってみせるよ」
いつもは笑って優しいルカスが真剣だ。
二人で包帯やら薬やらをつけ、点滴をつけた。
傷の数が多すぎて大変だ。だが確実に一つずつ治療していく。二人で治療するのは久しぶりだが、不自由もなく息もあっている。
流石は年長組だ。そして最後に足の治療だ。
ルカス「これはしっかり貫通しているね、抜かないとだけど、痛み止めを使っても痛いだろう。」
ミヤジ「だが早くしなければ、化膿してもっと激痛になるはずだ、」
主には出来るだけ負担をかけたくない。だがこの怪我は抜く以外避けては通れない。これだけの怪我をした主にまた苦痛を味わわせてしまう。でもやるしかない。迷っていると主の体が少し動いた。起きてしまったのだろう。
ルカス「主様、、起きられましたか?」
ゆっくり目を開けてきょろきょろと目を動かしている。
主「ここは、?ごめんルカス、聞こえづらいかも」
ルカスも話しかけて反応がおかしかった為、足の前に主の耳を見た。すると、左耳の鼓膜が綺麗に破れていた。鞭で叩かれた時にだろうか。右は大丈夫そうだった為ゆっくりと主に話しかけた。
ルカス「主様、今治療の最中なのですが足に貫通しているものを抜かなければならないのです」
ミヤジ「だが、痛み止めでは痛みの全ては消せなさそうなんだよ、耐えれるかい?、」
ミヤジとルカスが言うならこれ以外治療の選択肢は無いのだろう。痛いのは嫌だが、頑張るしか無い。少し考えて答える。
主「いいよ、抜いて。二人なら任せられるよ。、、でも誰か手を握っていてもいい?」
ルカス達は驚いた。本当に強い方だ。拒否されたり逃げ出されたりするかと懸念していたが覚悟をすぐに決められた。感服し了承を得て安心する。
ミヤジとルカスは足の杭を抜くために主の手を握れないため執事を呼ぶことにした。流石に全員は部屋に入りきらない為、数人を呼びにいくことにした。ミヤジが扉を開けると別邸1階組と出会った。他のみんなは食堂にいてベリアンから話を聞いているらしい。3人は主が気になり少し抜けて見にきたらしい。3人なら丁度いいと部屋に入れる。
テディ「あ、主様、こんなの酷すぎすッ」
3人が駆けると主が力無く笑う。ユーハンは声も出せず拳を振るわせている。
主「心配かけちゃったね、」
ハナマル「俺らはなんで部屋に入っていいってなったんだ?」
主の頭を撫でつつ、ルカスに問う。
ミヤジが簡潔に伝える。
主「みんな、お願いね。」
少し震えて手を伸ばす。しっかりと手を握ってもらい安心する。ベッドの上で座る形でユーハンが背中に座り支えてくれる。右手はハナマルでテディは左手、3人に囲まれて安心する。ミヤジから舌を噛んではいけないと布を咥えさせられた。
主「ルカス、そんなに私耐えれないからすぐに終わらせてね、」
ルカス「もちろんです、任せてください。痛いでしょうが暴れないでくださいね」
まぁ、ミヤジがガッチリと足を持っている時点で暴れられないけどね。
見ている方が痛いと言われ視線を足からずらす。
ハナマル「じゃあ俺見ててよ〜主様?」
テディ「ずるいです!俺の方を見てくださいッ」
ユーハン「主様、私ですよ?」
安心させようとみんなが話しかけてくれる。
ルカス「ではいきますよ、」
足の杭が引っ張られる瞬間、全身に激痛が走る。肉を割くような骨を削るような、握っている手に力が入る。
主「〜〜っ、んッ、ぅん、っ、ゔぁ」
口には布がある為声はあまり出せないが顔を顰める。流石に約5人がかりで体を固定してある為びくとも動かない。
テディ「主様もう少しですから!頑張ってくださいッ」
ハナマル「大丈夫だ、ゆっくり息を吸おうな、」
ユーハン「、っ辛いでしょうが、耐えてください、ッ」
背中を摩ってくれたり、声をかけてくれたり痛みで今にも意識が飛びそうだがしっかりと声は聞こえてくる。本当にいい執事達だ。それからどうにか耐えきり、
ルカス「はい、抜けましたよ。よくがんばりましたね。すぐ止血して治療しましょう」
口から布を取られやっと息を吸う。ミヤジとルカスが治療を再開し、汗や目に溜まった涙をハナマルが拭いてくれる。
主「はぁ、っはぁ、生きてきて一番痛いわっ」
ハナマル「よく耐えたな、俺じゃ耐えられなかったぜ」
ユーハン「強い方ですね。流石は主様です」
テディ「痛かったですよね、もうゆっくりしてください」
足の杭も抜けたことで体の違和感もなくなり次第に眠くなる。疲れてたしな、、
そのまま目を閉じた。
ぱちっ
目を開けると治療室で外は真っ暗だ。周りには誰もいない。あれからだいぶ寝てしまったのだろう。体を見ると丁寧に包帯が巻かれている。点滴も外れておりベッドから降りてみる。
主「ッ、足のせいでうまく立てないや、」
右足を庇いつつ扉を開ける。廊下は薄暗く、もうみんな寝てしまったのだろうか。喉も乾いたしと厨房へ行こうとゆっくり歩き出すと、奥からコツコツと音がした。
「主様、起きられたのですね。どこへ行かれるのです?」
にこりと笑いかけてきたのはラトだった。私の足音で気づいたのだろう。
「ラト!ごめんね、起こしちゃったかな、
喉が渇いたからお水を取りに行こうかなって」
ラトが不思議そうこちらを見ている。変なことでも言ったかなと自分の言ったことを振り返る。
ラト「私達はまだ誰も寝ておりませんよ?
あぁそうだ、主様少し失礼しますね」
ひょいとお姫様抱っこをされる。
驚きと恥ずかしさで降ろしてと言ったがラトが風のようにふわりと走り出した。そして
1階の食堂をガチャリと開けた。
主「ちょっとラト、どうしたn」
食堂には全員がいた。私を見るや否や執事達が駆け寄ってくる。みんな私が目覚めるまで待っていてくれたんだ。久しぶりにちゃんとみんなの顔を見れて安心する。私と話したそうだったが、ルカスが寝ていないとダメだと部屋に戻そうとする。執事達も私もがっかりしてしていとやれやれという顔でベッドに寝ながらなら少しだけ話しても良いと言われ執事達と一緒に部屋に戻る。その間ラトがずっと抱っこしてくれていた。
主「本当に今回はごめんなさい。心配とかかけちゃったよね、私がみんなと離れて行動した結果だから自分を責めないで、私が悪いの」
すぐに自分を責めてしまう人ばかりな為しっかりと伝える。主がキッパリと言っていてしまえばそこまで引きずらないだろう。
ロノ「今度からは離れず行動しましょうね」
バスティン「俺たちもしっかり警護をする」
アモン「よくがんばったすね、うちの主様は強い人っす」
反省しつつみんなに笑顔が見え出した。
執事達には笑っていてほしい。彼らの笑顔が見れて、生きててよかったと実感した。
ラムリ「主様!主様をあんな目に遭わせた奴らは任せてくださいね!」
主「あの人たちはどうするの、、?」
ラト「生きる価値もありませんからね。
倍で返して差し上げますよ」
不敵に笑うラトがいた。いつもは止めるフルーレも今日は止めない。主を傷つけたなら当たり前という空気だ。私を思ってのことだろうけど、なんだか違う気がする。
主「で、出来ればそこまでせずにさ、すぐに憲兵に引き渡してくれない?」
執事達がびっくりする。あいつらに対し自分たちは大切な方を傷つけられて腑が煮え繰り返る感情を覚えていた。しかも一番は被害者である主があれを恨んでいると思っていたからだ。
自分は傷つけられたのに、、いつもは主の言う通りにするが、あんな奴らに慈悲など要らない。優しい彼女の意思は素敵だが自分たちは到底許せない。
ボスキ「それは流石にお人好しがすぎるんじゃねぇの?」
ナック「そうですよ、私たちも許せませんから」
執事達の言い分も分かる。でも、それでもしてほしくはなかった。
ベリアン「どうして、主様はそんな風に考えるのですか、?」
不安そうに私を見つめる目。そんな顔をさせたくなかったのに。
主「みんな、聞いてね。私は彼らにされた事は許してないわ。でもそんな人達に貴方達の時間を使わないでほしいの。もっといい事に使って。悪い人ばかり見ているとそのうち人の全部が醜く見えてしまうわ。」
彼らの周りは彼らを非難する人や馬鹿にする人ばかりいて、いい環境ではない。主がいればいいと言われるが、そんなわけは無い。執事も多いが人との縁はとても大切だ。長生きな彼らは人とは足並みが揃わないかもしれないが、きっと彼らが生きる上で役に立つ日が来る。そして、悪い人ばかりでは無い。私はあの連れ去られた日、避難に遅れた住民のパン屋さんの話をした。悪魔執事に感謝している人がいると。まだまだ知らないだけで沢山いると。
そんな人達を沢山見つけていって欲しいと彼らに伝えた。
ミヤジ「主様、、そんなことを考えていたんだね」
ルカス「私たちに感謝する人をですか、」
ベリアン「、今言われると複雑ですね、」
執事達は皆それぞれの解釈で受け取ったと思う。それでも感謝する人がいると言う事は彼らにとって大きな自信に繋がるはずだ。
優しい人達なんだから尚更だ。
主「フフッ、みんな顔に気持ちが出てきやすいね。怒ってる人も居るけど、分かってくれてるって知ってるから、」
話も終わり、それぞれが挨拶して部屋から出ていく。私も感謝を伝えてみんなを見送る。相変わらず体は痛いし、耳は聞こえづらい。だが、不安はなくなっており、明日からまたここに入れる事に希望を持ち目を閉じた。
それから執事達にお世話される日々が始まったのは別の話、、
完
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読んでいただきありがとうございます!
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コメント
1件
うわああああ第8話読みました…!!!😭💕 もうね、執事たちが主様を必死に探すシーンから胸がギュッてなった…!特にナックとラムリが喧嘩せずに協力してるの、成長感じられてグッときたよ🥺 で、主様の拷問シーンはマジで読んでて痛かった…でもそんな中でも執事たちのための詠唱をしようとする主様、強すぎ&優しすぎてもう泣いた😭💦 ラトがお姫様抱っこで運ぶシーンはキュンときたし、最後の「悪い人ばかり見てると人の全部が醜く見える」っていう主様の言葉、深すぎて考えさせられたよ…! ちょむさんの書くキャラの心情描写がすごく丁寧で、どんどん引き込まれました✨ 次話も楽しみにしてるね!🐾💕