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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「なぁ立場、逆転してみない?」


時期的にもテストが目前で、大変な立場である太郎から放たれた言葉に、ぎゅっと眉根を寄せてやる。


(立場を逆転させるって、いったい!?)


勉強のし過ぎで頭の一部が可笑しくなったのかもと、夕飯を食べてる手を止めるべく、箸をテーブルに置いた。そのまま立ち上がり、向かい側にいる太郎の額に手を当ててやる。


(熱はないな、よし――)


「ちょっ、何のチェックしてんだよ。タケシ先生」

「お前がワケの分からない、日本語を口走ったからだ。心配するに決まってるだろ」


胸の前に腕を組んで太郎を見下ろしてやると、唇を尖らせて文句を言ってくれる。


「ワケの分からない日本語なんて、言ってねぇし。ただちょーっとばかし、息抜きしたいんだってば」


――着ぐるみを着て、子どもたちと散々遊んでるクセに、なにを言ってるのやら。


その言葉に顔を引きつらせると、右手人差し指を立て、偉そうな顔して俺に提案しだす。


「あのさ、タケシ先生が患者になって、俺が医者になるんだ。優しく診てあげるから、やってみようよ」

「(;゜д゜)。oO(ぇ・・・)」


ナニを優しく診る気なんだ、コイツ――


「たまにはさー、患者側の目線から医者を見るっていうのも、大事だと思うんだよね」


そもそもお前は医者じゃないだろ! そんなヤツから、何を学べというのだろうか。


胸の中にモヤモヤを抱えながら席に戻り、夕飯の続きを食べはじめた。


「ねぇ、タケシ先生ってば」

「分ったよ。だったら後片付け頼んだよ。準備してくるから」


残ったご飯をかき込み、リビングから下の病院に移動。クリーニングに出す白衣と、滅菌済みの聴診器を手に戻った。


それらを持ってソファで待機してると、後片付けを終えた太郎がワクワクした顔で傍にやって来る。


「ほら、医者だろうが何だろうが、好きにやれば」


押し付けるようにそれらを手渡し見上げると、喜びながら白衣を着て聴診器を首にかけた。


「ねっ、どう? 医者っぽい?」


白衣を着ただけでみんなが医者っぽくなったら、それこそ詐欺だろ。だけど――


「ま、いいんじゃないの……」


どきまぎしながら俯く俺の前に太郎は跪き、そっと右手を取った。


「周防さん、今日はどうされましたか?」

「えっ!? あ、その……」

「顔がほんのりと赤いですよ。熱があるかもしれません、胸の音を聞いてみましょう」


耳に聴診器をかけて、今すぐに聴くぞとアピールしまくるニセ医者の太郎。


「(*・-`ω´-*)ゞやらなくても……」

「医者のいうこと、ちゃんと聞いてくださいね周防さん」

「(。・-_-。)……分ったよ」


すごく恥ずかしかったけど、仕方なく着ているシャツのボタンを外していった。外しながらチラッと目の前に視線を移すと、物欲しそうな顔をしたニセ医者が、目をランランとさせているではないか!


――アブナイ医者にしか見えない……


渋々前を肌蹴させて太郎にお披露目したら、心臓の辺りに聴診器を当てる。


「うおっ、バクバクした音がハッキリと聴こえる!」

「そうかい、よかったな」

「しかも何気に早くね? 心音」


そりゃそうだろ。目の前にアブナイ医者がいると思ったら、落ち着いていられないからな。


「……心拍数の数だけ、お前への想いが溢れてるってことだよ」


適当な言葉を言ってやると、太郎は突然白衣を脱ぎだした。


「じ、じゃあ、さ。その想いに応えるべく、今ここで更に想いを深め合おうじゃないか、タケシ先生!」

「ハッ!!Σ(ll゜Д゜ノ)ノ」


(どうしてそうなる!?)


白衣は脱いだけど聴診器を耳にかけたまま、何故か襲ってきた太郎になす術がなくて、固まってしまった。てか何のプレィなんだ、これ――


歩目線につづく(・∀・)

恋わずらいの小児科医、ハレンチな駄犬に執着されています

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