テラーノベル
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ちょっと死ネタありです!!!
読み切り?みたいなやつを
描いてみたかったので描きました。
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まだ、終わりを知らなかった頃
その世界で、いるまとなつは
――幼なじみだった。
同じ町、同じ学校、同じ帰り道。
小さい頃からずっと一緒で、気づけば隣に
いるのが当たり前になっていた。
「なつ、今日も遅いな」
放課後の教室。
窓から差し込む夕方の光の中で、
いるまは自分の席に座ったまま、
なつの机の方を見る。
「ちょっと待ってて。先生に呼ばれてるだけだから」
そう言って、なつは軽く手を振った。
その仕草が、いるまは昔から好きだった。
特別な意味なんて、まだ何もない。
ただ――
こいつがいる日常が、当たり前で。
それがずっと続くんだと、
疑いもしなかった。
やがて、廊下から足音がして、
なつが戻ってくる。
「おまたせ。帰ろ」
「遅すぎ」
「そんな待ってなかったでしょ」
二人並んで教室を出て、
いつもの帰り道を 歩く。
コンビニに寄って、
どうでもいい話をして、笑って。
「なつ、今日のテストどうだった?」
「んー……聞かないで」
「やっぱり?」
「いるまは?」
「まあまあ」
「ずる」
他愛もない会話。
それなのに、なぜか胸の奥があったかい。
夕焼けの中を歩きながら、
いるまは何気なく思う。
……この時間、ずっと続けばいいのに。
なつは、そんなことも知らずに、
空を見上げて言った。
「ねえ、俺たちさ。大人になっても、
こんな感じなんだろうね」
「……多分」
「多分ってなに」
「変わる理由、ないだろ」
「たしかに」
なつは笑った。
その笑顔を見て、いるまの胸が少しだけ、
きゅっと締まる。
守りたい。
失いたくない。
ずっと、ここにあってほしい。
でもその感情が、
“失うかもしれない”前提のものだなんて、
この時のいるまは、まだ知らなかった。
その世界は、とても穏やかで、静かで、
壊れる気配なんてなかった。
一緒に笑って、
一緒に帰って、
一緒に未来の話をして。
それが、ずっと続くと思っていた。
ある日の帰り道。
なつが、少し照れくさそうに言った。
「なあ、いるま。来週さ、
休みの日あるじゃん」
「あるな」
「……一緒に出かけない?」
一瞬だけ、心臓が跳ねた。
「……いいけど。どこ行く?」
「考えてない」
「は?」
「これから考える」
なつは笑う。
「こういうの、なんか……いいじゃん」
「……そうだな」
そのときのいるまは、ただ思った。
ああ。
俺は、こいつと一緒にいる未来が、
好きなんだ。
この世界は、まだ――
何も、壊れていなかった。
まだ、
誰も、
いなくなっていなかった。
そして、当たり前は音もなく壊れた。
それは、
本当に――前触れのない日だった。
朝、いつも通りに学校へ行って、
いつも通りに授業を受けて、
いつも通りになつと昼を食べて。
「今日、帰りコンビニ寄る?」
「当たり前」
「新作のアイス出てるらしい」
「え!まじ?!」
そんな、どうでもいい話をしていた。
その日が、最後になるなんて。
そんなこと、考えもしなかった。
ー
放課後。
なつは、少しだけ困った顔で言った。
「今日さ、俺、ちょっと用事あって
先帰る」
「珍しいな」
「すぐ終わると思うんだけど」
「じゃあ、また明日な」
「うん。また明日」
なつは、軽く手を振って、
校門の方へ走っていった。
それが――
最後に見た、なつの背中だった。
ー
その日の夜。
なつから、連絡は来なかった。
「……寝てんのか?」
スマホを見ながら、いるまは少しだけ
首をかしげる。
まあ、用事が長引いたんだろう。
そう思って、そのまま眠った。
次の日の朝。
教室に、なつはいなかった。
「……休み?」
クラスメイトに聞いても、
誰も知らないと言う。
一時間目、二時間目。
それでも、なつは来なかった。
胸の奥に、嫌な予感が広がっていく。
ー
昼前。
担任が、いつもより重い顔で
教室に入ってきた。
「……少し、話があります」
その声で、教室の空気が変わった。
「昨日の夕方……同じクラスの、
いとまくんが……」
そこから先の言葉は、
いるまの耳に、うまく入ってこなかった。
事故。
救急搬送。
助からなかった。
断片的な言葉だけが、
頭の中をぐちゃぐちゃにする。
「……え?」
気づいたら、立ち上がっていた。
「……は?」
誰かが、いるまの名前を呼んでいた
気がする。
でも、それよりも先に、
口が勝手に動いた。
「……嘘だろ」
病院の白い廊下は、やけに長く感じた。
息が苦しい。
足が重い。
心臓の音が、うるさい。
案内された部屋の前で、立ち止まる。
開けたら、全部変わる気がした。
でも、開けないわけにはいかなかった。
なつは、そこにいた。
静かに、眠っているみたいに。
「……なつ?」
返事は、ない。
「……ふざけんなよ」
声が、震える。
「今日……アイス、買うって言っただろ……」
肩に触れる。
冷たい。
その瞬間、
“もう戻ってこない”って、
嫌でも分かった。
ー
帰り道。
一人で歩く、いつもの道。
コンビニの前を通り過ぎて、
無意識に、二人分のアイスが並んでいる
棚を見てしまう。
ああ。
もう、二つは要らないんだ。
そう思った瞬間、
初めて、涙が落ちた。
それからの世界は、色が抜けたみたい
だった。
隣の席は、ずっと空いたまま。
帰り道も、一人。
話しかける相手も、いない。
なんで。
どうして。
俺だけ、残ってるんだ。
ある夜。
いるまは、なつの机の引き出しに
入っていた、メモを見つけた。
「来週、いるまと出かける場所、
ここにしようと思う」
行き先の名前が、書いてあった。
……まだ、何も始まってすらなかったのに。
紙を握りしめて、
いるまは、初めて声を上げて泣いた。
そして、その夜。
夢の中で――
いるまは、見たことのない景色を見た。
知らない空。
知らない街。
知らない自分。
でも、胸の奥には、はっきり残っていた。
「……、守れなかった……」
目が覚めたとき、いるまは、
なぜそんな言葉を思い浮かべたのか、
分からなかった。
ただ――
とても、とても、
懐かしくて、
とても、とても、
苦しい気持ちだけが残っていた。
「おやすみ、なつ……」
首にロープを掛けて
そう呟いて、目を閉じた。
胸の奥が、ひどく痛かった。
息をするのも苦しくて、
世界全部が重たくて。
もう一度、会えたらいいのに。
そう思っただけだった。
次に目を開けた時、
そこにあったのは――
見慣れた、自分の部屋の天井だった。
「……は?」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
カーテンの隙間から朝の光。
目覚まし時計の音。
スマホの通知。
制服に着替えて、顔を洗って、
何も考えないようにして家を出る。
……どうせ、今日もいない。
そう思いながら、校門をくぐって、
教室に入って――そこに。
いた。
なつが、いつもの席に座って、
友達と話していた。
「………………」
一瞬、世界が止まった。
「……な、つ……?」
声が、情けないくらい震えた。
なつが振り返る。
「ん? いるま? どうしたの、
そんな顔して」
その声。
その表情。
生きてる。
ちゃんと、そこにいる。
次の瞬間、いるまは考えるより先に
動いていた。
教室中の視線も、クラスメイトの
ざわめきも、全部無視して。
「……っ!」
なつを、強く抱きしめた。
「え、ちょ、ちょっと!? いるま!? 何!?」
「……っ、……う……」
声が出なくて、喉が詰まって、
ただ、必死にしがみつく。
涙が、勝手に溢れてきた。
「ちょ、みんな見てるって……!」
「……よかった……」
小さく、震える声で、
やっとそれだけ言えた。
「……ほんとに……よかった……」
なつは、完全に混乱した顔で、
でも、そっと背中に手を回した。
「……なんか分かんないけど…
…落ち着いて?」
「……離れないで……」
「は?」
「……なんでもない……」
周りがひそひそ騒ぎ始めて、
ようやく、いるまは少しだけ我に返って、
なつから離れた。
「……ごめん」
「いや……うん……びっくりした」
なつは、まだ少し不思議そうな顔で、
首をかしげる。
「なんか……すごい夢でも見た?」
「……そんな、感じ」
でも、胸の奥は、
まだぐちゃぐちゃだった。
夢じゃない。
それだけは雄一の救いだった。
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書いててよくわかんなくなっちゃった……
とりま📢🍍結婚してくれ💍
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