その後のことも知らず。 私は彼に飲み・・・・・・こまれ・・・・・・。
私は冷や汗をかいていた。
「ゆ、ゆめ……?」
息が荒く――ゼェゼェという私の荒い呼吸だけが部屋に残る。
危うく呼吸困難になりかけた。
「にしても、どこからが夢……」
「夢じゃ……ないよ……」
声の方を見ると不気味な少年だった。
すごく申し訳なさそうな顔をして私を見つめている。
「はぁ、ごめんね」
そう言って私はこれをそっと抱きしめる。
今までにないくらい暖かな手で……。
この子は私が××してあげなきゃ生きていけないから――。
歪んだ醜い哀。
「ごめんね。」
謝るけど彼は表情をピクリともかえない。
無感情で無関心なそんな澄んだ顔を常に自分自身に貼り付けているようにも見える。
そんなことは分からない。
ていうか私の両親は、
「ねぇ?僕以外のこと考えてるの?」
その一言だけで私は一気に彼に引き込まれる。
抱きしめているのにも関わらずそんなことを彼は口にした。
「そんなことないよ。君のことしか考えてない。」
私がそう言うけれど彼は険しい顔のまま。
私はそれに気づかない。
その険しい顔が彼が唯一表情が変わる瞬間だった。
外も薄暗くなったころ、
この世界にノイズ音が走る……
「ねぇ、ほんとに僕を愛してくれるんだよね」
いきなり口を開いたと思えば彼は少し俯いて私に解いた。
それと同時に私の脳裏に何かが走った。
彼が私の目の前にいる限り……彼には逆らうことが出来ない、
「もちろん愛すよ」
冷や汗をかきながら私はそう言った。
薄暗い部屋で私は彼を抱いたまま夕暮れを待った。
時間の流れが早く感じているようで、あっという間に日が沈んだ。
沈んだにもかかわらず、リビングから両親の声がしない。
「ねぇ、君はどこから来たの」
私は無意識に口を開いて彼に解いた。
けれど彼は、何も言わずただひたすらに窓の外を抱かれながら眺めている。
私は一息つき彼を引き剥がす。
私が動いても彼はビクともしない。
呼吸もしていないのではないかと思ってしまうほど静かで、深い暗闇のような彼の目に吸い込まれそうになった。
私は彼を一旦家へ帰そうとした。はずだった。
「そろそろ家に帰らなきゃ行けないんじゃない?」
そういった、と思っていた私。
けれど本当に口に出した言葉は、
「まだ、私のそばにいてくれるよね」
そんな一言だった。
口は確かに、彼に解いた。
そう動いた。私の口元を無理やり曲げるように、声だけは、私の声だけは、そばにいて欲しい。
そう、放ってしまっていた。
「もちろん。君のそばにいたいよ。」
彼は眼鏡越しに初めて優しい目をして見せた。
彼の澄んだ瞳に引き込まれそうになってしまった。
けれど、何かが違う。今までとは決定的に違うところがあるはずなのに…私は分からない。
「君は、私のなんなんだろうね。」
静かに一言落とし、私は彼に飲み込まれた。
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