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旧校舎の廊下は、どこか湿気を帯びていて、空気が重い。
怜は足音を忍ばせながら階段を上がっていく。
(ピアノが鳴った?……誰が?)
音楽室の前にたどり着いたとき、扉は半開きになっていた。
「悠斗……?」
怜が声をかけると、扉が**ギィィィ……**とゆっくり開いていった。
中に入ると――
誰もいない。
いや、ひとつだけ異常があった。
グランドピアノの上に、1枚の楽譜が置かれていた。
その表紙には、怜の名前がはっきりと書かれている。
「Shinohara Rei」
そしてその下に、赤いペンでこう書き足されていた。
「2年前、彼女はここで姿を消した。」