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もう全部…やり終えた。
やりたかったことは全部やったと思う。
推しの大型ライブに行った。
友達と旅行に行った。
好きだった人に告白もした。
自傷行為もした。
これで全部だったと思う。
雨に濡れたやりたいことリストをみて。
最後の一つ以外に×がついたことを確認する。
少ないと思う。
別に犯罪がやりたかったわけじゃない。
お酒だとか、窃盗だとか、殺人だとかをやりたいと思えない。
結果的に私が一番やりたかったことは、リストに入ってることくらい。
後は最終的に人生を終わらせるということ。
ライブは楽しかった。
過去一番、その人を推しててよかったなと思えた。
旅行も楽しかった。
普段あんまり見ない友達の些細な行動で笑いあった。
告白は怖かった。
付き合えなかったけど、好きな人に好きって言えてすっきりした。
自傷行為も、怖かった。
痛かったけど、心の苦しみよりかはマシだった。
結果的にどれもいい思い出になった。
でも気持ちが変わることはなかった。
だから終わらせる。
これ以上自分も大切な人も傷つけるわけにはいかない。
何も持たずに家から出る。
アパートの屋上。
冷たい風が私を苦しめる。
さぁ、飛ぼう。
止めるものは何もない。
残りたい理由もない。
やりたいことリストの最後。
それに×をつけるため。
って、そうなったら自分は書けないか。
まぁいいや。
そのころには意識なんてないし。
今までの軌跡だって消えるし。
苦しいと思う感情、意識さえも無くなる。
目を瞑る。
次は人間なんかに産まれないように。
そう願って、私は静かに落ちた…。
痛い。
どうして?
私は死んだ。
その筈。
目を開く。
白い天井。
柔らかいベッド。
あーぁ。
気付いた。
私は。
死ぬことにすら失敗したんだ。
身体は動かせない。
動かしたら痛い。
見渡す。
誰かいる。
何かを祈ってる?
その人は両手を合わせて目を瞑っていた。
「あ…」
殆ど声が出ない。
それでもその人には届いた。
「起きた…?」
近寄ってくる。
誰かは…わからなかった。
私の手を握る。
暖かい。
冷たかった心に響くような。
そんな感覚。
初めてだった。
幸せを感じた。
この人は。
この人なら本当に私のことを救ってくれそう。
私の本当に会いたかった人…?
なのに。
折角出会えたのに。
意識が薄くなる。
これは…死の迎えなのか。
それともただの眠気なのか。
もうわからない。
でも、もし。
もしこれが死じゃないのなら。
これからは幸せに生きることができる気がする。
だから、死じゃないことを願いたい。
今までそんなことは願わなかった。
ずっとずっといつ死ねるんだろうってことばっかりだったのに。
ちゃんと生きたいって思えるようになってる。
いいなぁ。
いいなぁ、生きる理由があるなんて。
それをいつも感じてる人は幸せなんだろうな。
暗闇に包まれていく。
さようならか。
よろしくか。
わからないけど。
感謝の言葉はどっちになっても同じな気がする。
出会ってくれて。
ありがとう。