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璃音
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#学園
大正
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講義中、久しぶりにサイレンを聞く。
「こちらは市内広報です。ただいま、江戸橋三丁目付近にて、インスタンスダンジョンの発生を確認しております。周辺の探索者様に置かれましては、早急な対応と警戒、探索、踏破のご協力を願います。また、周辺住民の方に置かれましては、警備などへのご協力をお願いいたします。繰り返します、現在江戸橋三丁目付近にて……」
江戸橋三丁目は近所の……というか、ほぼ隣の番地だ。そんなに近くにダンジョンができるケースもあるんだな。とはいえ今は講義中。探索者の義務といっても本業を疎かにしてはいけない。
隣にいる彩花からも「いくの? 」という視線が届くが、首を振っていかない、とジェスチャー。口で形を出して「あ、と、で」と伝えると、納得したのか首を振ってそのまま講義に集中。そういえば今日の彩花の集中力はそれほど高いものじゃないな。いつもなら講義に完全に集中して終わるまでキスするまで元に戻らないんだが、何かあったのだろうか。
「ねえ、インスタンスダンジョンいかないの? 講義中にも関わらずお呼び出しが何回かかかってたけど」
「行く理由が薄い、というのが一番だな。目隠しが必要な魔石はつい先日交換してしまったし、学生の本分は講義のほうだ。その意味では今すぐ駆けつけて……というのはなしにしたい。ダンジョン学部とはいえ講義を放っておいてダンジョンに潜っているという印象をつけたくない。講義が終わってまだダンジョンが発生し続けてたら覗きに行くのはありかな。とりあえず次の授業へは行こう。そのあと終わってなかったら着替えて探索かな」
「そこまで遅れると、あまりおいしいところは残ってなさそう。十層まで歩いてそれで終わりになる、とかはないわよね」
「俺もそういう可能性が高いとは思ってるが、探索者としての義務みたいなもんだからな。もしかしたら近くに誰もいなくてダンジョンからモンスター出っぱなしになってるかもしれないし、それはそれで問題だから動けるうちに動かないといけないのは間違いない」
「じゃあ、ダンジョンへは行くのね。ただし講義のコマが終わってから、ということで」
「明日明後日は休みだし、ちょっと遅くなるのも考えて、彩花は寮に申請出しておくといいぞ。ダンジョンアタックしてくるんで門限までに帰れない可能性があります、と」
「そうね……彼氏の家に泊まるとかじゃ申請は下りないけど、ダンジョンの深くまで入り込んでくる、とかなら許可は下りるかもしれないわね。腐ってもダンジョン学部だし、大学の中にもダンジョンはあることだし、その辺は試しに申請してみて、下りるかどうかを試しておくべき部分でしょうね」
「そういうこと。じゃあ、その辺の申請は下りるかどうかはわからないが、今のうちに試しておいてどのレベルなら宿泊許可が下りるか……という境目を見定めておけば次にダンジョンが出た時も気軽に申請を出せるようになるし、だめならだめでも時間を区切ってきっちり探索できるようにはなるはずだからな」
「そうね、戻ったら寮長にいろいろ聞いてみるわ。そのあたりをちゃんと考えてもらえるようにするのか、それとも一律でだめなのか、そのあたりをしっかり確認しておくことにするね」
彩花には彩花の問題があるからな。寮生では深夜帰還の探索業は許されない、というなら午後十時までに帰宅しなければならないから、その範囲でやるしかない。そのための早朝いちゃつきと朝早くからのお仕事だ。一日十層程度で行き帰りができる範囲で探索するのが関の山だな。そうなると、インスタンスダンジョンでの活躍も限度があるってことになるな。
とりあえず今日は4限まであるんだ、ダンジョンに潜り込めるとして、十層ぐらいまでは確実に誰かが入り込んでいるだろうから、その後で急いで追いついて……十層に到着したところで休憩取って、その後で一気に十層以降へたどり着く、という形にできればいいんだが、あとは彩花が途中で帰還しなきゃいけないかを確かめるだけか。おとなしく講義を終えてその後でどうするか、という点はうまく回ってくれるように願うしかないな。
◇◆◇◆◇◆◇
「幹也、行ってきたわよ。ダンジョン攻略が済み次第、換金してから戻るか、後日換金するかは任せるとして、ダンジョン探索者の義務を果たすためなら仕方ないから特例で許可が下りるそうよ」
4限が終わって、まだダンジョンが閉じてないことを確認するとすぐに撤収し、彩花を寮に向かわせ、そのついでに夕食代わりのゼリー飲料二つと飲み物だけを抱えて、すぐにでも出かけられる準備を整える。
その間に彩花は寮長に可能かどうかの確認、説得ができなくてもそれでいいし、特別扱いをさせてもらう必要はないので、ダンジョン攻略という形で話を聞いてきてくれ、というつもりで言ったんだが、思ったよりもいい感触で帰ってきた様子だ。
「ダンジョン探索者の義務を果たすためには必要だからと、大学ダンジョンができた際にその周りの規約が改善されて、大学ダンジョンがもしもあふれ出したときに対応をさせるために柔軟な対応ができるようになっているのよ。そして大学内ダンジョンだけで限定的に許可が下りるのは自己の大学以外は守るつもりはないのか、という非難を受けないために、インスタンスダンジョン発生時は許可が下りるようにルール整備を行ったらしいわ」
「つまり、問題なくダンジョンには行けるし換金してから戻るのでも構わないってことか。じゃあ、さっそくインスタンスダンジョンへは行けるな」
「ただ、大学内ダンジョンに通ってるのがばれたら講義以外での外出禁止命令が出るから、そこはちゃんと守ってねってきつめに言われてきた。とりあえずそこのインスタンスダンジョンへ行くまでは問題なくいけるんで、とっとと行きましょう」
全身自前の装備に着替えおわった俺と彩花は、歩いていける距離だったダンジョンまで行く。ぶっちゃけ大学の番地の隣なので自転車でうろうろして駐輪場に困るぐらいなら最初から乗っていかなければいいのだ。
五分ほど歩いてダンジョン入り口までたどり着き、誰もいないことを確認しそのまま中に入り込む。
すると、ダンジョンの入り口には異変というより、人工的な設置物があった。冷蔵庫やテレビ、掃除機、洗濯機など粗大ごみの山が積み込まれていた。
どうやら、誰も見てない間にこっそり捨てに来た業者がいるようだ。無断侵入もそうだが、ダンジョン内へのゴミの投棄は固く禁じられているはず。それにもかかわらず目の前にはしっかりと山が出来上がってしまっているわけだが……
「ひどいわね。いくらダンジョンと一緒に消滅するからってよくもまあこんなに……しかも、結構な量があるわよ」
四トントラックめいっぱいに積み込んできたようなイメージだな。よほど手慣れた作業だったのだろう。とりあえずダンジョンが破壊されればダンジョン内に残った、人が介在していない物質に関しては消えてしまうので、誰かが持ち帰ろうとしない限りはそのままダンジョンとともに消滅してしまうはずだ。
「まあ、ここで声を上げても実際に捨てる瞬間を見ていたわけじゃないからな。文句を言ったり罪に問える相手が目の前にいるならまだ通報のしようがあるんだろうが、そういうわけでもないから今のところは残念ながら放置しておくしかないな」
「むぅ……ごみ処理としては効率的なんでしょうけど、なんか釈然としないわ」
「違反は違反だからな。それはちゃんと認識しておけば、とりあえず今のところは問題なしとしておくしかないさ。まさかこれを外に運び出して、そのまま放置するわけにもいかんだろうし」
「それもそうね……物理的に不可能ではないけど、結局ごみ処理が行われないのは問題よね。この場合はどうすればいいんでしょうね? 」
「帰り際に大学ダンジョンのほうへ報告に行って、ごみが不法投棄されていました……と伝えるのが確実だな。証拠は……よし、撮れた。これをもって後で大学ダンジョンへ行くことにしよう」
不法投棄の現場は押さえたのであとは素早く行動するのみだ。十層まで一気に潜りこんで、いったん戻って状況判断、そのあと十層以降も行けるなら行く、ということにしよう。
ダンジョンが開いてからかなりの時間が経っている。今更このあたりをうろうろしたところで、モンスターはほとんど残っていないだろうし、実際スライムの一匹もお目にかけられないし、聞き耳を立ててもモンスターの気配はない。このまま行動してしまっても問題はないだろう。
「さあ、アルパインスタイルでダンジョンに潜る。今までにはないダンジョンの攻略速度で、次の階層への道を開くのを最優先にして、どんどん降りていくぞ。おそらくモンスターもいないだろうから、どんどん足音がする方向へ向かっていこう。もしかしたら中途半端に潜りだしたか、俺たちと同じタイミングで潜り始めた探索者サークルの一団なんかがいるかもしれない。足音をたどれるならそっちへしっかり案内してもらおう」
「なんか、ずるいわね。他人の進捗を盗むみたいであまりいい気にはなれないわね」
彩花が両腕を組んで腕を寄せて、警戒するようなポーズをする。
「なに、今まではインスタンスダンジョンができてすぐに潜っていたからそう感じるだけだ。俺たちより遅く入ったパーティーはきっと同じことを考えているだろうし、そうやってお互いのやることをスイッチしながらダンジョン探索をしていく……ってこれ、二コマ前のダンジョン学の講義でやってただろう」
「そういえばそうだったわ」
「まあ、急いで奥まで行けることには違いないんだし。おとなしくダンジョンの潜り方に従って、素早いダンジョンの攻略が望まれるわね。十層で一回外に出てコンビニで休憩するとしても、そのあともう一度潜りなおしてまだ踏破されてなかったら引き続き……よね。午前中の2限目に放送が来てたから……あと16時間ぐらいは猶予はあるってことになるわね」
「そうだな焦る必要はない、ゆっくり、無駄なく、素早くいこうぜ、難しい話だけどな」
コメント
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うわああ第263話読み終えたよ〜!!😭💕 幹也と彩花、講義中にダンジョン発生しても「学生の本分は講義」って冷静なの渋すぎる🔥 しかも彩花の門限問題とかリアルな学園生活と探索者のバランスがめっちゃ伝わってきてエモい…!! で、ダンジョンに入ったら粗大ごみの山!?!?「ダンジョンと一緒に消えるから」って不法投棄する業者、頭悪すぎるし釈然としない気持ちめっちゃわかる…。でも証拠撮って大学に報告する幹也、社会人としての対応力高すぎて好き💯 二人のテンポ良い掛け合いも相変わらず安定の面白さで、次どうなるか気になりすぎるよ〜!!続き待ってます📖✨