教会を出てから
なけなしの金で剣を買い
丈夫な服を買った
モンド城内から抜け出し
アカツキワイナリーを目指す
ただ、あの時の神の目の情報頼りだったが
俺の足は軽かった
道中、ヒルチャール達に出くわす
元素スキルを放ってみると
氷の車の兵器?の様な物が作られる
車の前にはよく分からない棒がついているし
変なスキルだな
と思いつつ
その兵器に魅入られている自分もいた
変な気持ちだ
危なげなくヒルチャール達を倒した俺は
また走り出し
アカツキワイナリーへと向かう
ただ、モンド城内からアカツキワイナリーへなんて
たったの一日で行けるものではない
早い馬で駆けても着けるかどうか
やはり急ごう
俺が馬よりも早く走れば良いのだ!
今日も周りない日々だった
ディルックさんの屋敷の掃除をし
ブドウ達が順調に育っているか観察する
ディルックさんの屋敷にある自室へと戻る
素朴だが、ちゃんと生活できる家具は揃っており申し分ない
テーブルの上には少し高価な箱に入った神の目
岩元素を宿しており、暖かい光をほんのり放っている
その神の目を手にとり
腰の辺りに付けてみる
やっぱり似合わない
「プギー!」
声の主はトン
俺の小さな豚の様な形をした元素スキル
岩の様なゴツゴツした感覚はなく
俺と一心同体の存在や!
少しトンと戯れ、その日は眠りについた
朝
今日も快晴
布団を畳み身支度をし
今日も変わらぬ日々が始まる
と、思っていた
「だ…ら、お………トン…会いに」
何だか外が騒がしい
一応でてみるか
ドアを開ける
すると
「トン氏!出てくるのが遅いゾ!」
金髪の髪を靡かせる
見覚えのある少年
しかし俺は
「どなたですか?」
そう返した
会いたくなかったわけではない
ただ、何となく
変わらず輝かしいアイツを見るのが辛かった
「ん?トン氏は神の目は持っていないのか?」
さっきまで対応していたメイド達の話も聞かず
ただ俺を真っ直ぐ見つめる
俺と同じ色のはずなのに
何だか違う
「まぁいいか、トン氏の部屋を見せてくれ!」
「あっ、ちょっ!」
アイツは構わず屋敷に侵入し
手当たり次第部屋を開けていく
そして、とうとう俺の部屋に
大丈夫、俺だとわかるような目印は無い
このまま、やり過ごせば…
グルッペンが俺の部屋を開ける
中に入り、周りを見回した後
「なんだ、やっぱりあるじゃないか」
「は?」
なんでバレた?
今見ても、俺だと分かるようなものは無かったはず
「バレバレだぞ、トン氏。本当は俺の事も他の仲間の事も分かってるんだろ?」
「…………」
「やっぱり、俺にはグルさんは騙せないわ」
少し笑う
やっぱり、“あの時”からまるで変わっていない
「よし、トン氏!旅に出るぞ!」
「は!?」
「いや、無理や!第一俺仕事あるし」
「じゃあ、退職するんだゾ!」
「無理やろ…」
「トントン」
声の方向を向く
グルさんとは違う大人びた声
ディルックさんだ
「旅に出るんだってな」
「あ、はい」
聞かれていたのか
「退職金と今月の給料だ」
差し出されたのは大量のモラが入ったモラ袋
「これは…」
「旅に出るといい。人手は足りてるしな」
「…はい!」
屋敷を出る
一つ頭を下げ
アカツキワイナリーの外へと走る
「そう言えば神の目」
「トン氏が話している間に取ってきたゾ!」
「おん、ありがと」
「はは!今のトン氏、輝いてるぞ、やっぱり俺の右腕はこうでないとな」
俺たちは息が上がるまで走っていた
コメント
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貴方のサムネは貴方が書いたものですか?書いたと言うならすみません...ですがそのサムネと同じ画像を使っている人を見たので貴方が書いたか聞きたいです