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ユナ @お嬢様化
44
るーぱ
249
まーや
354
「ガァァァッ!! 往け、我がイバラども!!」
巨漢の幹部が放つ無数の鋼鉄の鞭が、コントロールルームを破壊しながら太陽へ殺到する。
だが、真の『開花』に目覚めた朝野太陽の速度は、すでに幹部たちの動体視力を凌駕していた。
「――そこだ!!」
太陽は鞭の隙間を光の速さで縫い、巨漢の胸元へ飛び込んだ。
「夜桜式格闘術――『剛蓮・朝顔』!!」
内側から爆発するような一撃が巨漢の核を粉砕し、壁ごと彼方をブチ抜いた。
「よくやった、太陽のガキ! 残りは俺たちが仕留める!」
障子壁(ガラス)を突き破り、戦闘服に身を包んだ『F』が狂気的な笑みを浮かべて乱入する。Fは毒の胞子を撒き散らす女幹部の懐へ躊躇なく滑り込み、超至近距離から散弾銃をぶち抜いた。
「なっ……この人間、毒を恐れないの……!?」
「ハッ、憂助が泣いて嫌がるからな、俺が代わりに吸ってやってんだよ!」
怯んだ女幹部の隙を見逃さず、外周から回り込んでいた野崎守が大型ライフルで彼女の眉間を正確に撃ち抜く。
残るはガマスクの指揮官、ただ一人。
指揮官の背後にある「巨大な次元変位装置(タンポポが太陽をこの世界へ引きずり込み、ソメイニンを世界中に拡散するために稼働させていた機械)」が、怪しく緑色のスパークをあげていた。
「おのれ……! だが、この装置が起動すれば、日本中の水は汚染され、同時に異世界への扉も完全に閉ざされる! お前は二度と元の世界へは戻れんぞ、朝野太陽!」
「……そんなこと、させるか!!」
太陽の薬指の指輪が、限界を超えて深紅に輝く。
乃木もまた、脳内で憂助とFの意識が完全に同調し、かつてない集中力に達していた。
「太陽くん、僕が道をこじ開けます……!」
乃木(憂助)の声と同時に、Fの獰猛なトリガーが引かれる。放たれた銃弾が、指揮官が構えた防護障壁の一点にヒビを入れた。
「いっけぇぇぇぇ――ッ!!」
太陽が地を蹴る。その姿は、まるで一輪の巨大な桜が戦場に咲き誇るかのようだった。
「夜桜秘奥義――『満開・桜花絢爛(おうかけんらん)』!!」
太陽の全エネルギーを乗せた拳が、指揮官の胸の核、そしてその後方にある次元変位装置ごと、真っ直ぐに貫いた。
「バ、バカな……我がタンポポの栄光が、このような世界で……」
指揮官の肉体が緑色の灰となって崩れ去る。
同時に、装置がガガガと不気味な音を立てて爆発を始めた。装置の中央に、一瞬だけ、太陽の元の世界(夜桜の屋敷)の景色がホログラムのように揺らめいて映し出される。
「……六美!!」
太陽は思わず手を伸ばした。あの懐かしい世界へ、愛する妻の元へ帰れる。
しかし。
バチィィィン!!という激しい閃光と共に、装置の基盤が完全に焼き切れ、その景色は永遠に黒い煙の中へと消えてしまった。
装置は完全に沈黙し、周囲にはただ、静寂と火薬の匂いだけが残された。
「……あ」
太陽の手が、虚空を掴んだまま止まる。
どれだけ目を凝らしても、もうそこには異世界へ繋がる歪みはひとかけらも残っていなかった。
「太陽……」
野崎が痛ましそうな目を向け、そっと太陽の肩に大きな手を置いた。
乃木もまた、眼鏡をかけ直し、静かに太陽の傍らに歩み寄る。
「……すまない、太陽くん。僕たちの力不足だ。装置を無傷で回収できていれば……」
太陽はしばらく、消えたゲートの跡をじっと見つめていた。
その目から、一筋の涙が溢れる。元の世界には、自分の帰りを待っている最愛の家族がいる。もう二度と、あの温かい手を握ることはできないのかもしれない。
だが、太陽は深呼吸をし、服の袖で乱暴に涙を拭うと、振り返って2人に力強く笑ってみせた。
「……いいえ。これで良かったんです」
「太陽?」
「奴らの陰謀は完全に止められました。日本のみんなを守れた。……それに、タンポポのボスはまだ生きています。あいつらは、政府のさらに上に根を張っていると言っていました」
太陽は、薬指の結婚指輪を愛おしそうに見つめ、強く握りしめた。
「俺は、夜桜家の婿養子です。どこにいたって、六美の夫だ。だから……あいつらを完全に根絶やしにするまで、俺はこの世界で戦い続けます。乃木さん、野崎さん。これからも、俺を仲間に置いてくれますか?」
その言葉に、野崎はハッと目を見張り、次いで豪快に笑った。
「当たり前だ、バカ野郎。お前はもう、俺たちの最高の相棒だ」
乃木も優しく微笑み、太陽の手をしっかりと握りしめた。
「ええ。共に往きましょう、太陽くん。この国の、本当の夜明けまで」
タンポポの日本襲撃計画は防いだ。しかし、真の首領、そして政府の黒幕たちの影はまだ闇の中に潜んでいる。
元の世界へ帰る道を失った最強の高校生スパイは、別班・公安と共に、この『VIVANT』の世界に骨を埋める覚悟を決め、新たなる戦いへと歩み出すのだった。
コメント
1件
読了したわ!「最終話」ってなってるけど、どうやらまだ物語は続くみたいだね。最後の太陽の覚悟のシーン、めっちゃ熱かった。帰る場所を失っても「六美の夫だ」って言い切るところでグッときたよ。異世界から来た主人公がこの世界で戦い続ける決意をする展開、好きだわ。Fと乃木さんの連携もカッコよかったし、次が楽しみになる終わり方だった🔥