私は知っている、 神様は存在することを。
私は知っている、全て神様の思い通りであることを。
私は知っている、神様が私を笑い者にしていることを。
雨が降り、じめじめとしたその日。
遅刻しそうで必死に走っていたら、深い水溜まりを踏んだ。
クラスメイトに下を見ながら笑われた。
テスト中に消しゴムを落とした。
チャイムが鳴るまで拾えず気づかれず伝えれず、平均以下の点数だった。
弁当にトマトが入っていた。
いつものように我慢した。
放送で職員室へ呼び出された。
周りの視線が怖かった。
ボーっとしていた。
車に轢かれるところだったらしい。
玄関の段差で躓き倒れた。
倒れる音だけが響いた。
寒かった。
誰かに首を斬られる夢を見た。
首があるか確かめ、繋がっていることに後悔した。
不運。
運。
全て神様のせい。
神様が私を笑いものにする日がある。
人間を、いや、私を下に見ている。
『進路は決まっていますか。』
私の将来。
「専門学校に行きたいです。」
嘘。
『志望校は決まっていますか。』
こういう時の為に、
「〇〇か△△で迷っています。」
一応調べた。
真面目。
こういう嘘をつくのだけは。
社会不適合者は働くことができない。
故に私は働けない。
「趣味を仕事に…?」
特技がなかった。
得意なことがなかった。
消去法で私に採用されたのは、絵だった。
頑張れなかった。
努力の仕方が分からなかった。
ペンが持てなかった。
ずっと天井を眺めていた。
そんな私を、ぬいぐるみが見つめてくる。
神様は存在する。
神様が私をこうした。
神様が私を不運にする。
神様が全て悪い。
神様の責任である。
「私は何も悪くない。」
その日は快晴だった。
心地よい風が背中を押してくれた。
少し早く学校に着いた。
まだ教室には誰もいなかった。
得意な国語のテストだった。
好きな先生の姿を眺めた。
お米に鮭が乗っていた。
誰よりも早く弁当を食べ終えた。
廊下で先生が話しかけに来てくださった。
国語のやる気が増した。
困っているお年寄りを見かけた。
談笑しながら一緒に帰った。
「ただいま。」
『おかえり。』
気がついたら朝だった。
深い9時間睡眠。
私の神様が守ってくれた。
全て私だけの神様のおかげ。
全ての神様から守ってくれる日がある。
絵なんて描かない。
未来なんかどうだっていい。
私だけの神様がいたらそれでいいの。
私だけの神様は存在する。
私だけの神様は私のことだけ見てくれる。
私だけの神様が私を幸せにする。
私だけの神様が私の全て。
私だけの神様のおかげである。
「私は何も悪くない。」
私だけの神様が目の前にいらっしゃる。
話しかけてくださっている。
ひれ伏しては全てを吐く。
吐き終え見上げるとお姿は無く、この世界に私一人。
また謁見すべく目を閉じる。
ここが私たちだけの世界。
ずっとここに居たい。
ずっと、永遠に。
現実なんていらないから。
その為に、また目を開いた。
曲がった世界で、私たちだけの世界に繋がる扉をつくった。
頭からくぐる。
私だけの神様。
どれだけ時が経とうと永遠に。
ああ本当に、
都合の良い脳で良かった。
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