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花火大会の日から3日がたった。
今日から8月である。
あの日以来、唯と連絡を取る頻度が急激に減った。理由はメールを送ってもなかなか返事が来なかったり既読が着くだけだったりで、なんだか気まずくなって昨日からメールのやり取りをしていない。毎日しつこいくらいにメールを送ってきてた奴が急にメールを送らなくなったら少しは気にすると思ってたけど、唯からメッセージが来ることはなかった。
もしかして、毎日ゲームしようってメールするのは迷惑だと思ってて、心優しい唯はそれを隠してずっと付き合ってくれてたのか……!?
「はぁぁ…」
隙あらばこんなことを考えてしまう。そのせいで勉強も集中できない。
「気分転換に外でも散歩するかぁ…」
俺は散歩がてら〖水田湖公園〗に来ていた。適当にブラブラ歩いて湖を一周して、ベンチに座った。
唯が頭に浮かんでは振り払ってを繰り返していた。
(なんとなく、このままじゃダメな気がする…自分がモヤモヤするし)
(とにかくもう一度唯に好きだって言おう)
そう思って家に帰ることにした。
その帰り道、少し遠回りしようと思って細い道を通った。道がボコボコな場所なので誰かが通ってるところを見たことがない。そんな場所を歩いていく。そしてそこに─御三沢 愛菜がいた。
彼女は地面にうずくまっていた。バレないうちにそのまま通り過ぎようとしたが、愛菜が邪魔で通れず、どうしようかと思っていた時、ふと彼女が顔を上げ目が合った。
彼女は酷く顔色が悪かった。今にも倒れそうだ。なんだかそのまま放っておけなかったので、声をかけることにした。
「愛菜…?大丈夫か?」
「……」
「愛菜…だよな?」
「…」
(なんで喋らねぇんだ…?もしかして人違い…とか!?だったらめちゃはず……)
「……あの」
「は、はい」
「あなた誰ですか?」
(うぉぉお!まじで人違いだったー!)
(ちょー恥ずい!!)
「え、あ、すいません!人違いでした…」
(ああぁぁ、恥ずー。でもこんな顔色悪い人放っておく訳にはいかないよな)
「えぇ…と、あの、大丈夫ですか?」
「まぁ、大丈夫です…」
「その顔色で?」
「…大丈夫です」
(うーん、どうしようとりあえずなんか飲み物でもやるか)
「ちょっとまってて」
「……え?」
近くにある自販機で水を買って愛菜のそっくりさんに渡した。
「はい、これ」
水を差し出す
「え、いえ大丈夫です」
「いや貰ってくれよ、せっかく買ってきたんだから」
「ぅ、もらいます…」
「おう」
そう言ってゴクゴクと水を飲む。
少し顔色が良くなったな
「君、名前は?」
「…えっと、私は………咲奈です」
「咲奈、さき、な…?」
(なんだろう、この名前どこかで…)
「…?なんですか?」
「あぁ、いや…なんでもない」
「咲奈はどうしてこんな所に?」
「それは…えっと、散歩してたの。そしたら道に迷っちゃって…」
「じゃあ、この辺に住んでるってわけじゃないんだな」
「はい、えっと…親戚の家に遊びに来てて」
「そっか、そういや君何歳?」
「見ず知らずの女の子に年齢聞くとか、デリカシーないですねあなた 」
「う、興味本位で聞いてみだだけだっつの」
「私は14歳、中3。そっちは?」
「俺は古城寛太、中3だ」
「なんだ、同級生か。ならタメ語でいい? 」
急に本性出してきたなこの女。
「もうタメ語じゃん、いいよ」
「じゃあ、改めてよろしくね寛太 」
「おー、よろしく」
こうして、俺とこの謎の少女、咲奈との夏休みが始まった。