コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
修学旅行が終わり、いつもの日常に戻った。でも、悠真と私の関係は**今までとは少し違う**ものになっていた。
「華恋、おはよ。」
朝、教室に入ると悠真が自然に声をかけてくる。前までだったら何気ない挨拶なのに、今は少し照れくさい。
「……おはよ。」
小さく返事をすると、玲奈がすかさずニヤリと笑った。
「ふふっ、恋人らしくなってきたじゃん?」
「う、うるさい!」
私は慌てて玲奈を押しのける。でも、悠真はそんな私の様子を見て、いつものように笑っていた。
**——だけど、私たちには時間がなかった。**
中学最後の冬、受験シーズンに突入し、会う時間がどんどん減っていった。私は県外の進学校を目指し、悠真は地元の高校に進む。お互いに勉強に追われながらも、できるだけLINEをしたり、電話をしたりしていた。
**「華恋、ちゃんとご飯食べてる?」**
**「悠真こそ、夜更かししてない?」**
そんな何気ないやりとりが、すごく大事なものに感じていた。
——そして、運命の**合格発表の日**。
私は第一志望の高校に合格し、悠真も無事に地元の高校に受かった。
「やったね!」
「うん、悠真もおめでとう!」
合格を報告し合ったときは嬉しかった。でも、その後に訪れたのは**“離れる”という現実**だった。
**「これからは遠距離だけど、大丈夫だよね?」**
そう言った私の声は、どこか不安げだった。
「……もちろん。」
悠真は迷いなく答えてくれた。
「離れても、俺たちなら大丈夫。ちゃんと連絡するし、休みの日には会いに行く。」
「……うん。」
悠真がそう言ってくれたから、私は安心できた。
でも、このとき私はまだ知らなかった——。
“好き”だけじゃ乗り越えられない壁が、これから待っていることを——。
ーー続く。