テラーノベル
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『さよならの朝に、君が好きだと言った』
tg視点
公園には、昨日と同じベンチ。
昨日と同じ時間。
昨日と同じ風景。
けど、俺のポケットの中には、
昨日と違う「手紙」があった。
──1年前の自分が書いた、
1日遅れてしまった“好き”の言葉。
ぷりちゃんは、もう座っていた。
制服のジャケットを脱いで、白いシャツのまま。
なんだろう、昨日より少しだけ寂しい横顔。
pr ……来てくれると思ってなかった
tg 俺も、来るつもりなかった
ふたりの声は静かだったけど、
内側では嵐みたいにぐしゃぐしゃだった。
tg 昨日、ありがとう
tg 俺、あんなん言っといて、帰ってからずっと泣いてた
ぷりちゃんが小さく笑った。
pr 俺も……言うの、めっちゃ怖かった
tg 知ってた。震えてたもん
ふたりで笑って、
でも笑いながら、俺はポケットの中に手を入れた。
tg これ、渡したくて来た
差し出したのは、しわくちゃの1枚の紙。
丁寧に、でも少し震える指で、ぷりちゃんがそれを受け取った。
pr これなに?
tg 年前の俺が書いたやつ。“卒業の日に、ぷりちゃんに渡す”って決めてた手紙
ぷりちゃんは黙って、それを開く。
一文字、一文字、目で追っていくたびに、
目が少しずつ赤くなっていった。
読み終わったあと、手紙をぎゅっと握って、
ゆっくり、顔を上げた。
pr やっぱちぐはずるいな、ぁ
tg わかってる
俺も、笑った。
tg でも、どうしても渡したかったの
しばらく、ふたりとも何も言わなかった。
春の風が、髪をふわっと揺らす。
時間だけが静かに進んでいく。
やがて、俺が立ち上がる。
tg ……じゃあ、ほんとに行くね。これで最後にするから
ぷりちゃんも立ち上がる。
そして、まっすぐ俺の目を見る。
pr ちぐ
pr …俺、今なら言える気がする
tg なに?
一歩だけ、近づいた距離。
その空気の中で、ぷりちゃんはふっと笑って、こう言った。
「俺、今でも──お前のこと、好きやわ」
俺は、一瞬だけ目を見開いて、
でもすぐに、笑った。
泣きそうな顔で、
でもちゃんと、笑った。
tg ……ありがとう
ほんとうに、それだけだった。
ふたりはそのまま背中を向けて、
それぞれの道を歩き出した。
──言えなかったことはたくさんあった。
でも、最後の最後で、ちゃんと伝えられた。
届かなかったわけじゃない。
結ばれなかっただけだ。
それでもきっと、
あの日、あの瞬間だけは、確かに「好き」が重なってた。
──これが、ふたりの恋の、終わりで始まりだった。
──ふたりがまた笑い合う季節が、
あと少し先で待っていることを、まだ誰も知らないのだった。
🌸完結🌸
短いけどっ‼️無事完結したにょ~ん!
♡お願いしますっ!!書いて欲しい物語とか合ったらコメント💬お願いします🙏
コメント
2件
わぁぁぁぁ〜〜! 最後まで神すぎました…