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『それでは、実況をお送りしていきます! 出場者が武舞台へ!! 初期の配置に何か決まり事などはあるのでしょうか!?』
五楼と雷門が解説者として仕事をする。
『代表者が1名ずつ、審判の元へ行く必要があるな。その2名は試合開始から1分間は攻撃されないルールだ。他は真ん中で区切ってある線の内側ならばどこでも好きな場所に立っていて構わん』
『初期の配置が大切です。例えば、南雲くんのところは遠距離攻撃を得意とする椎名さんを下げている。逆に、全員が潜伏機動部隊でもある楠木さんのところは、ほとんどが最前線に構えていますね』
『なるほど! つまり、戦いの開始を知らせるゴングよりも先に、戦略上の闘いが始まっている訳ですね! では、武舞台の真ん中で反復横跳びしている逆神Dランク探索員の狙いはなんでしょう?』
『私には分かりませんが、きっと高度な作戦の一環だと思います』
『いいや。逆神は何も考えていない。あいつ、バカなんだ。父親と一緒で』
雷門は自分の育てた加賀美政宗にほとんど勝利していた六駆を高く評価しており、五楼は逆神流の脅威を理解した上で「痴れ者の子は痴れ者だ」と断言する。
武舞台の脇では、南雲が大きな声で指示を飛ばしていた。
「おおい! 山根くん! 逆神くんを止めるんだ! なんですぐに悪目立ちしようとするの、あの子!!」
山根は無言で頷いた。
六駆の肩を叩き「なんか南雲さんがうるさいっすよ」と伝えた。
「山根さんもやります? 意外と良い準備運動になりますよ! はい! 『貸付・瞬動』!!」
「あはははっ! これはすごいっすねー! テンション上がるなぁー!!」
「やーまーねぇー!!! 君ぃ! なんで始まる前から逆神くんと乱痴気騒ぎしてるんだ! やーめーろーよぉー!! 五楼さんがこっち見てるんだよー!!」
この戦いは南雲以外の全員が武舞台の上にいるため、脱落者が出ない限りはツッコミとリアクションの両方を南雲がこなさなくてはならない。
彼は「誰か早いところ落ちてくれないかな」と不埒な事を考えた。
「げふっ、げふんっ。はい、代表者の人ー。こっちに来てください」
和泉Sランク探索員の号令で、チーム莉子からは小坂莉子が、潜伏機動部隊選抜組からは屋払文哉が武舞台の中心に歩み寄る。
「あの、よろしくお願いします!!」
「ぐぉぉっ! 若さが眩しい! しかし、その分キャリアはうちが一枚上手なんで! まだまだひよっこには負ける気はないんで!! 特にそっちの逆神って野郎には絶対に負けないんで! そこんとこをちゃんと理解してもらえるとよろしくぅ! それから」
「はい。げほげほっ。屋払さんはこれ以上喋ると遅延行為として1人メンバー減らしますよ? では、両代表者の立ち合いを確認しました。制限時間はなしで、決着がつくまで試合は続きます。ごっほ、げふ。両名、質問あります?」
「ありません!! 頑張ります!!」
「もう喋りたい事は山ほどあるんですけどね。オレ、普段は潜伏ばかりしてるもんだから、こうやって人前でスキル使える機会なんてなかなかなくって。だからやっ」
「はい。それでは、試合を開始します。げふんっ。小生はここで横になっています。ちゃんと全体を見ているのでご安心を。はい、スタート」
和泉Sランク探索員が横になる瞬間がゴングの代わりとなり、準決勝が始まった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「西山! 外崎! 私に続いて! まずはセオリー通りにシューターを落とす!!」
「了!!」
「青山さんは人遣いが荒いなぁ」
開始と同時にクララ目掛けて3人が駆けだした。
「うわわー! 敵さんに注目されるのは嬉しいけど、いきなりピンチだにゃー!!」
クララも迎撃態勢を整えるべく、銀弓『ディアーナ』を構える。
目標は3人。誰を狙うか。
相手がモンスターであれば、群れのリーダーを撃ち落とすのがセオリーである。
だが、潜伏機動部隊にそれが当てはまるのか。
「考えるだけ無駄だにゃー! 『七色の孔雀羽』!!」
クララの判断は正しい。
無為な思考に時間を割くくらいならば、下手な鉄砲の数を増やすのが良策。
ここで炎・風・土の複合スキルをチョイスしたセンスも光る。
「外崎! ガードは任せる! 西山は私と一緒に直行!!」
「了解! 『ソニックシールド』!! 広域展開!!」
外崎Aランク探索員の繰り出す防御スキルは発動までのスピードに特化しており、耐久値はそれほど高くない。
だが、わずかな時間でも盾として機能すれば、速度に超特化した彼らには充分。
「スタイルの良いお嬢さん! 悪いけど、最初に落ちてもらうわよ!」
「久しぶりの出番なのに! いきなりあたしを狙う事ないと思うぞなー! 助けてー! 小鳩さーん!!」
青山仁香の武器は短剣。
それを両手、さらには口に咥えている。
「先手必勝! 『ブラックダーツ』!!」
短剣を器用に投げつける青山。
煌気に包まれたその一投は、ダーツと呼ぶには余りにも強力である。
しかし、ガキンと言う金属音と共に、彼女の放った『ブラックダーツ』は地面に落ちる。
「わたくしのぉ! お、お、おお、お友達に手を出すなんて、許しませんことよ!! お下がりにならなければ、容赦はいたしません!! 『銀華』!! 十六枚咲き!!」
「にゃー! 小鳩さん、さすがですぞなー! 助かったー!!」
塚地小鳩。大事なものは友達。
最近になって急に増えた大事なものの数に比例するように、彼女は強くなる。
「くっ! 久坂さんのところの子か! 言っとくけど、潜伏機動部隊には1対1を順守する騎士道はないから! 西山!! 回り込んで椎名さんを落として!」
「了! 『空気速射砲』!!」
繰り返すが、潜伏機動部隊のスキルは速さと隠密性に特化している。
クララとは相性があまり良くない。
だが、チーム莉子にはオールラウンダーがいる。
「『瞬動』!! それからぁ! 『風神壁』!! 風属性ならわたしに任せてください!!」
「小坂さん! 助かりますわ!!」
小坂莉子、武舞台の中央から自陣の端まで『瞬動』で一気に移動。
機動力ならば逆神流も負けてはいない。
「小鳩さん! 『銀華』を攻撃態勢にしてください!」
「ええ! 分かりましたわ! ですけど、どうするんですの!?」
「合体スキルですよっ! わたしのスキルが『銀華』の推進力を担当しますから!!」
「が、合体……スキル……!! 聞いたことがありますわ……! 都市伝説かと思っていましたのに……!!」
「小鳩さん、お願いだから拗らせないで欲しいにゃー。あたしよりも深刻な気配を感じてしまうのは相当ですぞなー」
感動に打ち震えながらも、『銀華』の切っ先は青山と西山に向けて準備完了。
「行きますっ! 『太刀風』!!」
「おうふ……! わたくし、お役に立てていますのね!! 『銀華・変刃』!!」
「「やぁぁぁっ!! 『銀華・乱れ花吹雪』!!」」
「まずい! 西山! 回避行動を優先!! 当たるとヤバいよ、これ!!」
「了!! 『ソニックダンス』!!」
莉子と小鳩の合体スキルを被弾寸前で回避する青山と西山の山コンビ。
数秒前まで2人がいた場所には、無数の爪痕が刻まれていた。
「……甘くないわね。ノーマークでここまで上がって来られているから、情報が少ないのもこちらが不利。でも、ここで退いたら戦線が下がってしまう!」
「青山小隊長! 外崎、追いつきました!」
「よし、3人でかかるよ!」
「了!」
「承知!!」
開戦とともに火花が散る武舞台の端。
一方、ちょうど3人の反対側では。
「逆神だな? オレが相手をさせてもらうので! よろしくぅ!!」
「なんか強そうなのが来ましたよ! 山根さん!!」
「しまったっすねー。今や注目株の逆神くんの近所は危険地帯だったっすよ」
屋払文哉が逆神六駆と対峙していた。
いきなり最高戦力がぶつかり合うのか。
コメント
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第241話、読み終えたよ〜!バトロイ開始のワクワク感がすごかった🔥莉子と小鳩の合体スキルとか、予想外すぎて「えっ!?」ってなったんだけど、小鳩が拗らせてるところにほっこりした(笑)。青山と西山の連携もカッコよかったし、逆神くんと山根さんの自由っぷりも最高。五楼さんの「痴れ者の子は痴れ者」に思わずクスッときた。次が気になるよ!
裏五条
16,178
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大正
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