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その少年は、下を向きながらふっと立ち上がった。さっきまで騒々しかったクラス内が一気に静まり、視線がその少年に向いた。
名前は___木下くん。
彼が名前を言う前に、周りよりも彼が誰なのかを先に自分が知っている事に、
何故か、嬉しさを覚えた。
「…木下 奏(そう)です。八重中からきました。…よろしくお願いします。」
淡々と言い終えると、下を向いたままふっと席に座った。彼の言動は、その場にいた全員を虜にするほどの儚さがあった。
ハッとしたように、次の番の子が立ち上がった。周りの視線が一気にその子へ向いた。
とても緊張して少し震えている。…可哀想だ。
「…あっ、かっ、神崎 恋莉ですっ…!篠田中からきました…!!よっ、よろしくお願いします…!」
生まれたての子鹿のような声で言い放つと、即座に座 り、下を向いたまま震え続けているようだった。…可哀想だ。
…次は私か。
________
「…河上 美桜です。月下中からきました。よろしくお願いします。」
…噛んでいない。声もそこまで震えていないし、小さくもない。
私は言い終えると何事も無かったかのようにポーカーフェイスを作り、前を向いた。
私が言い終えると、さっきの調子を取り戻すように次々と自己紹介をして行き、ついには全員の自己紹介が終わった。
男子比率と女子比率はそこまで大差はないようだが、ヒエラルキーというものには大差がつきそうなほど、既にグループが出来ているようだった。