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莉乃ちゃん
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戸惑う僕に、敦は諭すように続けた。
「責任を感じることと全部自分のせいにすることは別だよ」
敦の言葉が、胸の奥に深く突き刺さった。
「…でも、僕がいたらしゅんが疲れちゃうし…迷惑だって思うこといっぱいあるし……」
「それだけどさ、俺、この同棲生活でひろのこと面倒だとか迷惑だとか思ったこと微塵もないよ?」
「そ、それは…敦が優しい人だからで……」
「…俺が優しいっていうより、ひろはきっと、浜崎みたいな人が当たり前になってるんだと思う」
「どういう、意味…?」
僕が首を傾げると、敦は少し言いづらそうに聞いてきた。
「少し酷なことを聞くんだけど、ひろが浜崎に殴られたり酷い扱いを受けたのは自分のせいだと思ってる?」
「えっ…う、うん。な、殴ってきた浜崎くんも悪いとは思うけど……僕がノロマだから…」
「…そっか、ひろはまずそこから誤認識してるんだと思う」
「誤認識……?」
「うん」
敦は僕の頭に手を置いたまま、穏やかな口調で続ける。
「ひろが殴られたのは、浜崎が悪いんだよ。暴力は絶対に許されることじゃない」
「でも…僕がちゃんとすれば……っ」
「それを前提にしてるのが間違いなんだよ」
敦の声は厳しいけれど、優しさに満ちていた。
「ひろは被害者で、浜崎は加害者。自分の感情をコントロールできずに恋人をサンドバッグにした。どっちが悪いかなんて明白でしょ?」
「……っ」
そう言われると、返す言葉が見つからなかった。
「だからひろは【浜崎】って人間が恋人の例だと思ってる。なにか失敗したら怒鳴られる、殴られるって」
「でも、それが普通じゃないんだよ。人は誰しも失敗するし、ひろはいつもそれを重く受け止めすぎてる」
敦は一度言葉を切り、僕の瞳を真っ直ぐ見据えながら口を開く。
「ひろのさっきの言い方だと…トラウマのせいで、俺もいつか同じになるんじゃないかって思っちゃったんだよね…?」
「う、うん。それもそうだけど、嫌われる未来とか想像しちゃって……」
「俺は全く想像できないけどね。ひろを嫌いになるとか」
「え……?」
思わず聞き返した。
あんを酷いこと言って、迷惑だってかけるどころか、かけすぎているのに
(こんなに情けなくて、醜いところを見せているのに…)
しかし、そんな僕に敦は微笑みながら、力強く言った。
「ひろのこと大好きだからね。それに、いつも俺のために頑張ってくれるし、可愛いから」
可愛い。それは久しぶりに耳にする言葉だった。
「か、可愛い…って、最近は、ダメダメで迷惑かけてばっかなのに……?」