「何を望もうにもその全てが私から最も離れた場所にある。」…言い訳だ。
静かに光が差し込む部屋。時計を見れば午後2時33分、どうやら寝過ごしたらしい。朝昼はとてつもなく鬱蒼とした気分になるが今日は何時も以上に苦しくなる、それは恐らく友人のsnsの書き込みのせいだろう。
「バズってる!!」その言葉に私はおめでとう、とは言えやしなかった。相手のプロフィール欄に移り、最初に目に止まった固定の書き込みにはイラストが張り付けてあった。何の変哲も無いようなそれが、皆の目には荘厳に見えたらしく私の書き込みでは取れなかった様な数値を取っている。
「凄いよ!良い絵じゃん!!神絵師!!!」あの頃が懐かしい。純粋に誰かの幸せを願い、喜べた幼き頃の私が。今となってはその私とは正反対の私だ、誰かに自分の意見をひん曲げられ続けて卑屈な性格になったからであろうか?普通に他人の幸せを喜べるというのはとてつもなく難しい、自分が一番じゃなきゃうんざりしてしまうから、でも私はこの態度を変えるつもりはない。さっきの言い訳も撤回しない、どうせまたこれも忘れてまた言っちゃうんだから。ベッドの上に縮こまる私の体にはボサボサの髪の毛、対して整っていないであろう顔、水太りした腹、浮腫んだ足。容姿に対しても優れてはいない、だがしかし説明の際に”あろう”とつけたんだからある意味認めてないと言うわけだ。
そんな私は常に相手を笑わせる事で一杯だ、それが異常なまでに疲れる。なぜこうなったか…キャラ設定を間違えた。私は以前の私とは変わろうとした結果、愚かな事に道化師になってしまった。くそったれ。
「どうせ嗤われてるんだ~そうだそうだ~」一人の時は思ったことを口に出しても誰にも知られないから炎上しそうなことを言っても自分一人でバズってる。
案外楽しいもんだ、まじで
一人でひとしきり嗤ったあとには背を伸ばして、鼻をほじりながら冷蔵庫に向かう。この際に鼻くそを口に入れると言うのも付いてくる、「免疫力あがるって言うし良いでしょ。」と本当かも分からない事だが今さえよけりゃそれで良い。
冷蔵庫には対したものは毎回ない、あったとしても洗い物が散乱した流し場を見るとどうしよ~もなく面倒になる。んで結局またベッドに潜って一人で妄想劇。だけれど私はこの生き方を悪いとは思わない、気が向いたら動けばだるい感情も湧かないし。ぼーっとしてる時間も悪くはないだろう。