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これ読み切りなの辛すぎる
※読切です
神✨次の作品待ってます( *´꒳`* )
新作読切。
⚠️御本人様方とは一切関係ありません⚠️
これは、とある国の国王さまのお話。
けれどそれはとても昔で…誰も覚えていない。
[消え去った国王様]
僕が国王サマに出会ったのは、とある夏休みに開催されたお祭りだった。
花火大会直前だと謳われる頃になった午後7時。辺りは夕日に囲まれ、まだあまり人がいない時間帯だった。
どこからかカウントダウンが聞こえる。けれど日が見えるうちはまだ打ち上がらない。
横からボリボリと何かを食い散らかす音が聞こえる。
元々、このお祭りも、一緒に来る予定だった親が[仕事]に追われることで精神を病み、先立ってしまったことで楽しく無かった。
横から聞こえる粗末な音に、深い底からぐっと登ってきた感情が一つになり怒りと変化する。
「ッあの…‼︎」
とうとう限界に達した時、僕は口を開いていた。そこでやっと、横にいる人物と目を合わせることが出来たんだ。
青く綺麗な瞳がパチクリと瞬きをする。
「ふぁい??」
片手で掴み、口の中に放り込んでいたポップコーンを噛み砕きながら答える彼。
初対面の相手に失礼ではないのか?とも考えたが、それを相手に怒りをぶつける方がよっぽど失礼だと感情を押し殺す。
僕は[要件]だけ伝える。
「うるさいんで…やめて貰っても良いですか?」
青い彼が、新しく掴んでいたポップコーンを口の中に放り込もうとしていた動作で固まる。
すると、掴んでいたものを戻し、こちらへと体を向け真剣な表情をする。
その動作に思わず身をのけぞらせてしまう。
「…ッ美味しいポップコーンが悪くない…?」
何かを考える素振りをして、出た答えがそれ。答え終えた彼は、再度ポップコーンを食べ始める。
呆れる程に鈍感だ…と頭を抱えていると、聞こえてきていたカウントダウンが止まったことに気がつく。その事実に驚く。
そういえば、あれだけ神経を尖らせて聞いていたカウントダウンがいつしか聞こえなくなっていたんだと…
次の瞬間、視界に巨大な花が咲き乱れる。
とてつもなく、大きく、綺麗な花が。
「わ…」
思わず溢してしまった声に羞恥心が湧く。けれども、横にいる人物はそんなことを気にするような人間では無かったらしい。
綺麗な青色の瞳が笑う。
「綺麗でしょ?」
まるで自分が上げたように言う彼は、どこか懐かしくて、温かくて、優しくて。
ふとした瞬間、忘れていた兄弟の顔が目に浮かぶ。
小さい頃に亡くしてしまった[兄]の存在を。
「…実は昨日、友人が死にました」
僕は気に病んでいたことを話した。
何かと反論を返してくるだろうと踏んでいた予想も物寂しく、彼は何も言わず、ただただ耳を澄ましてくれていた。
亡くした兄のこと。友人のこと。家族のこと。
最近元気が無いこと。
[死]について考えていること。
一般人からしてみれば、僕の身の回りは死に直面しすぎているだろう。けれど僕からすれば人がいつ死ぬかなんて当たり前で、何十年、何百年と背負ってきたように[生きる]という単語にほとんど腰が動かなくなっていた。
花火の音が、次第に聞こえなくなる。
どこからか嗚咽が聞こえる。
「人間ってどこまでも果てしないのよ」
横にいる人間から重いとか、苦労してるとか…そういう単語ではないものが聞こえてきたことに驚く。
青い瞳は、いずれも花火を眺めていた。
「儚いからこそ無限の可能性を持っていて、けど脳みそを持っているからこそ、未練が他のどの生物よりも強く残ってしまう」
近くに落ちていた一粒のポップコーンに蟻がたかる。それとほぼ同時に、彼の眠そうな瞳がゆっくりと細められていく。
瞼の中に閉じ込められた7色に光る瞳が綺麗で、一瞬見惚れてしまう。
「苦しいよね…本当」
嘲笑ではなく、彼の心からの共感。
それは僕自身が、ずっと小さい頃から望んでいたことなのかもしれない。分からない。
彼が笑う。
「ぽ前は何がしたかったの?」
泣きそうな、けど楽しそうな顔。
「僕は…」
心から、ずっとずっと…
「皆と、一緒にいたかったッ…」
雨だろうか。
いや、今日の天気予報は晴れだったなぁ。
視界が歪んで、仕方がない。
「…なら、もう答えは決まってるね?」
彼の瞳が揺れる。
僕の姿も揺れる。
最後に、僕は聞いたんだ。
君が誰なのかって。
「…俺は…」
意識が途切れる前、僕はハッキリと聞いたよ。
ちゃんと見たよ。綺麗で、優しい世界。
『もし、生まれ変わるのなら』
天界の授業はさほど楽しくない。
生前の記憶は、霧に紛れて見えない。
けど
【同じ世界に生まれ変わりたい】
そう感じさせてくれたカレに、感謝を__
カレを見つけるまで、
あと32761008618日。