テラーノベル
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暗い路地に。 ひとり、取り残された人がいる。
震える手で、空を掴む。
もう、届かないとわかっていながら。
それでも、手を伸ばす。
「……返してよ」
かすれた声。
「俺、まだお前にちゃんと好きって言えてない…」
返事は、ない。
ただ。
白い光だけが、静かに灯っている。人は、痛みを消したくなる。
後悔も、記憶も、感情も。
でも、それを全部失くした先に残るものは、救いなんかじゃなくて、ただの“空白”なのかもしれません。
あとがき
この物語の中で、本当に怖かったのは自販機ではなく、“楽になる選択”をしてしまえる人間の方でした。
実はこの話には、少しだけ自分自身の感覚も混ざっています。
過去に傷ついた時、何も感じないようにしたくて、記憶も感情も消してしまいたいと思ったことがありました。
嫌なことを忘れていくたび、本当に少しだけ楽になれるんです。
でもその代わりに、大事なものまで一緒に薄れていく。
気づいた時には、“自分だった何か”だけが残っている。
それでも最後に涙が残ったのは、完全には消えきれない何かがあったからだと思っています。
あ、そうそう、
もし、あの自販機を見つけても。
最後のボタンだけは、押さないでくださいね?笑
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