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深夜3時。俺は今、孤独という名の夜に呑まれている。
大森「あ”ぁ……ムカつく…..」
死にたいって一言じゃまとめられないくらいの自己嫌悪。
今日は作業が捗らなかった。
収録も、上手くトークが回せなかった。
涼ちゃんをいじりすぎて傷つけたかもしれない。
若井に強く当たりすぎた。
でもそれは”しょうがない”んだ。
大嫌いな言葉だけど、今はそれで片付けてしまおう。
仲間を傷つけたのも、仕事が終わらないのも、誰かに酷く当たるのも、俺のせいじゃない。
しょうがない。しょうがないんだ。
….しょうがない?本当に?
いや違う。ただの最低な俺ってだけだろ。
それでも今だけは許してほしい。
仕方ないこと。仕方ないこと。
余計なことは考えるなって
大森「仕方ないっつってんじゃん!!(机叩)」
何にキレてるのかも分からず、ただ手がジンジン痛みだした。
大森「…もう殺してくれよ…….泣」
藤澤「あ〜元貴?それ言っていいんだっけ?」
ソファーでお菓子を食べてる涼ちゃん。
ここ、俺の家なのに
大森「ごめん…でもなんで来たの、。今日じゃなくても良かったんじゃないの」
こんな言い方しか出来ない自分も大っ嫌いだ
藤澤「今日が良かったのー。あ、ねぇ。まだこれある?」
空になったお菓子の袋を見せつけてくる。
つい30分ほど前だ。
俺がかろうじてスマホを見る元気があった時、ちょうど涼ちゃんから連絡がきた。
“今から家行っていい?”
急用かと思って慌てて涙を拭い涼ちゃんを迎えたが
『まぁ俺は空気だと思ってくれていいから!』
と、ソファーに座りその場に置いてあったお菓子を勝手に食べ始めたのだ。
藤澤「俺ねー、元貴のこと好きだよ。もちろん変な意味じゃなくてね?」
机に突っ伏してると涼ちゃんは俺の隣に座ってきた。
それがなんだかやけに怖く感じて思わず距離をとる。
今君に優しくされると余計に泣いちゃうから。それが怖いんだ
藤澤「頑張りすぎなんじゃない?俺も若井も元貴が思ってるほど無力では無いからもっと頼ってよ」
大森「…別に。頑張ってるのはみんな一緒でしょ。涼ちゃん達が無力だと思ってる訳じゃない。」
藤澤「ん〜。じゃあ元貴はただ頼るのが下手くそなだけだ笑」
それ以上は何も言わず、しばらくすると俺の背中に暖かい手が添えられた。
一定のリズムでトントン…と叩く。
心地よすぎて逆に辛い。だから俺は誰かに縋りたくないんだ。
優しさを知ってしまうと、それに甘えすぎてしまうから。
藤澤「甘えてよ。1人でどんどん先に行かれると、俺達が困っちゃうんだよね。元貴は大丈夫かな〜って。誰が先陣切るとか…もう今は必要ないんじゃないかな」
俺の心を読むように言葉を呟いてから、コップに注いだ水を俺の前に置く。
それはきっと、俺が泣いているからなんだと思う。
頬を伝う涙を認めたくないのは何故だろうか。
藤澤「これ…食べる?めっちゃ美味しいよ」
俺の口元に1枚の煎餅が添えられる。
大森「…いらない、笑。さっきからずっと食べてるねそれ。」
俺は思わず笑ってしまった
藤澤「ほんとに美味しいのこれ、びっくりしちゃった笑。コンビニで買って帰ろうかな」
もう1枚あるってことは、結局もう1袋開けたってことだろう。
大森「食べ過ぎ…。早く帰りなよ、明日朝から仕事でしょ?」
藤澤「はぁい…。あ、でもね。もう1回伝えとく!」
袋を置いて俺の目を見つめる
藤澤「俺、本当に元貴のことが大好きだからね。若井もきっとそうだよ。だから、次また変なこと言ったら怒るからね」
“変なこと”は多分、殺してくれって言った事なんだろうな。
そうなる前に頼りなさいよってメッセージなんだろう。
腫れ物扱いをするんじゃなくて、いつも通りのテンション感で話してくれる彼の気遣い。
なんだか全てが暖かくて気付けば俺はしゃくりあげながら泣いていた。
涼ちゃんは何も言わずにそっとブランケットをかけてくれた。
大森「ありがとう」
そう口を開いた頃には涼ちゃんは居なくて、それと引き換えに朝日が昇っていた
いつの間に眠っていたんだろうか
今日も俺は俺の事が大嫌い。
でもそんな俺を好きでいてくれる仲間が2人もいる。もしかしたら、それ以上。
だったらそれで十分だ。
コンビニで涼ちゃんの好きなお菓子と、若井の好きなマンゴープリンを買って、今日も現場へと向かった。