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Dey3 掃除屋の1日
ここは、寝室だろうか。
窓から木漏れ日がさす。
その照らす先に、一冊のノートがあった。
表紙には 「アリスの日記 」と書いてある。おそらく人名だろう。アリスという名前からは質素系のお嬢様のような姿が予想される。
すると、この部屋はそのお嬢様の部屋なのだろうか。
とりあえずお嬢様が木漏れ日で日焼けをしないように、カーテンを閉めた。決して外からの視線をふせいだ訳ではない。あとは、お嬢様が服を選ぶ時に迷わないように、下着を整理しておいた。何故かボクサーパンツとトランクスしか無かったが、お嬢様の趣味に口うるさく文句を付けるつもりはない。むしろ興奮する。あとは、お嬢様の眠る布団に汚れや髪の毛があるといけないと思い、上に落ちている髪を除去した。幸い、私は使った鼻紙をポリ袋に入れて捨てる習慣があり、今日はまだ使っていなかった袋があったので、それに髪を入れておいた。しかし、どれも短い髪の毛ばかりだ。きっとお嬢様は短髪なのだろう。それはそれで良い。個人的には好みである。また、ベッドに寝転がると腰に当たるであろう部分に黄ばみがあったので、写真を撮っておいた後に、汚れの種類を判別するため香りを嗅いだところ、お茶のような苦い匂いがした。私は長年の経験からこの汚れは麦茶をこぼしただけなので、清掃は不要と判断し、役目がなくなったのでしょんぼり帰ろうとしたところ、最初に見た日記を思い出した。
日記を開こうとすると、カチンと金属音がなったので、どきっとして一度周囲を見渡してから、誰もいないことを確認してノートを観察していると、気付きにくいところに鍵があった。
鍵のさし口と思わしきところの下に醜い文字で
と書いてある。
見るな、とはどういう意味なのだろう?
アリスが質素系お嬢様なのは分かるが、この言語は理解できない。
おそらく本人もこの鍵のせいで日記を書き進められず困っているだろう。私はその鍵を壊して、日記を開いた。
1/5 晴れ
名 前を「ア リス」 にする だけ で
こんな に も 簡単に釣 れるとはな
何に期待していたのかは知らんが、俺はおかまいなしに日記を書くからな
明 日 か ら 覚 悟 し と け よ!
ひどく趣が冷めた。
質素系お嬢様ではなかった。
部屋をとぼとぼと去る。
掃除屋の1日はこうして終わる
そうだ、私も彼のように明日から日記でも書こうか…
どうせ続かないか。
?「日記ならここにあるぜ」
完全に疲れている。変な声も聞こえ出した。
しかし、それがかえって有利なときもある。これを言い訳に明日の仕事を休めるかもしれない
?「明日からとは言わない。さぁ、書け… 」
…?なんだこの声
………………
………………………
……私は…
……………私は何をしているんだ?
そうだ…私は日記を書かなくては…
………