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👻🔪視点
救出作戦が急速に練られ3人で潜入することになった。ライを連れ去った敵のアジトと向かい合い気持ちを整える。
「よし、行くぞ」
「「了解」」
機械的な敵のアジトの中にいるのは雑魚ばかりで敵を倒すのに苦労はしなかった。しかし一向にライが見つからない。敵の1匹を捕え尋問するが言う気配はなく死にそうである。万事休す、どうしたものか。
「おい、最後のチャンスだ。ライはどこだ」
「ボスなラ…知っテる」
歪な日本語で答えた敵はその言葉で意識を失った。
「おい、ライの居場所、ここのボスなら知ってると」
ライの作った性能の優れた通信機で連絡を取り、ライを早く見つけなければ、という気持ちが一層強くなる。
『ボス?』
「らしい。だがボスがどれかはわからん」
『それなら捕らえましたよ』
『タコナイス!』
「じゃあそいつにライの居場所吐かせろ。今からそっち行くわ」
『了解です』
「星導」
「小柳くん、カゲツ」
「ライはどこだって?」
「ここの上みたいです」
「どうやって行くねん!」
「んなもん壊しゃいいだろ」
抜刀
「おいオオカミぃ!合図なしに壊すなぁ!!」
「ライ!!」
そこには意識が朦朧としているライがいた。ボロボロで傷だらけのライ。
「ライ!ライ!」
「とりあえずこいつ連れて本部に戻るぞ!敵が来てる」
「俺が持っていきます」
「カゲツ、星導と一緒に行け!俺は足止めする!」
「…わかった、帰ってこいよ」
「当たり前だ」
「…やめ…も…」
伊波は精神攻撃によりこうなった、のだろうか。早く助けられなかったのが悔しくて仕方がない。こんなところを昔の自分が見たらどう思うかな、なんて。そうして数えられないほどの敵を屠っていく。
💡視点
誰かが助けに来てくれたのだろうか。外の音が大きくなった。オレの優れた聴覚はそれを聞き逃さなかった。が、オレはもう限界、自分でわかるほどに。もう泣き疲れて思考がはっきりしないし頭に霧がかかっているようだ。それでもまだオレに対する罵声は止まない。耳を塞いでも頭に直接響くように聞こえてくる。その声はDyticaだけではなく、oriensの声に変わる。これが敵からの精神干渉なのではないか、と分かり始めていると同時に限界を訴える心身はもう何も考えられなかった。
「…イ、ライ」
聞き慣れている声。星導だ。先程までの夢か、否、現実かも分からない事を思い出す。手の震えが治まらない。
「ほしるべ、」
なんとか名前を呼んでみる。声も少し震えている気がした。
「ライ、良かった…みんなー!ライ起きたよー!」
星導がみんなを呼んだ瞬間ドタドタ、と騒がしい足音が聞こえてきた。それでもまだ震えは治まらない。心做しか少し呼吸もしづらくなってきた。胸が苦しい。息を吸っても吸っても酸素が足りない。
「っは、はあっ、はっ、げほっ、」
「ライ!?過呼吸…?」
苦しい、苦しい、
「小柳くん!カゲツ、どうしよ…ライが、」
「ライ…」
「伊波、聞こえる?息ちょっと吸って、ゆっくり吐いて」
「っは、はーっ!は…はぁっ」
「げほっ、げほ」
「治まってきたな」
「…あ、りがと」
かろうじて言えたその言葉もまた、か細く震えたものになってしまった。またみんなを心配させてしまっただろうか、またみんなに迷惑かけただろうか。
誰が心配してくれるんだ?
何を勘違いしているんだ?
オレのことを仲間と思ってくれているのか?
弱いオレなんかいらないと思っているんじゃないか?
伊波の頭はそれらを否定する。みんなは仲間なんだ、と。しかし今までの楽しかった日々を思い出せない。これほど苦痛なことは無い。
そうだ、あれは夢であって現実じゃないんだ。そう思い込もうとするが、もう身体は恐怖を鮮明に覚えていた。
怖い、こわい、こわいこわいこわいこわい
そんな強すぎる恐怖の感情が伊波の頭を支配する。
「おい、伊波?」
「っう…?」
「怖いか、俺らのこと。なにがあったのか話せるか?」
話したい、話さないと。でも声が出ない。喉が震え体は痺れて動かない。話せない。
また、迷惑をかけてしまう?
怖かった。オレを待っているこの静かな場に居るのが。またオレやオレの大好きな物を罵倒する声が聞こえるんじゃないかと。ここから逃げたかった。だからオレは力をふりしぼり無理矢理立とうとした。その瞬間、ぐわんと頭が揺れた。視界がぼやけて見えない。またあの時と、おんなじ光景。
「伊波!安静にしとき」
「そうですよ、あなた結構な怪我してるんですから」
彼らの声が聞こえるのが怖い。視界はモザイクがかかったようにいつもの鮮明な見え方をしない。
またあの罵声が聞こえそうで怖い。
「また迷惑かけやがって」
「あなたなんかどうでもいいのに」
「役たたずが」
「お前なんかDyticaにはいらねぇんだよ」
前と同じようにまた言うんでしょ。もう、聞きたくないよ。
「もうやめてよ……オレ、もういらない、?」
「そんなわけないだろ!!」
刹那、視界が明るく開ける。俺の耳にも届いた、彼の低い声。どうやら俺はいらないわけじゃないらしい。
「必要に決まってんだろうが…バカかお前…」
「みんなのスーパーヒーローなんでしょう?」
「…うん、そうだね。
オレはみんなのスーパーヒーローの伊波ライだからね!」
今度こそは震えずしっかり声に出せた。
もう、大丈夫だ。