千鶴と架那の絶対的な関係は変わってしまった。架那は先輩に媚びを売り、レギュラーメンバー入りをした。千鶴はまだ、試合にすら出られていないというのに。
そこで千鶴は港先輩に一通の連絡をした。思い立ったが吉日。それが彼女の座右の銘だ。
千鶴:来月、東京へ遊びに行きます。その時に良ければ会いませんか?
元々、家族で東京に行く予定があった。父の商品が新しく入荷したことで東京に尋ねることになったのだ。その間は、母がエステサロンに行くので遊ぶ予定があったのだ。東京ほど栄えた街は知りもしない。夜になっても、辺りの照明や巨大液晶モニターによって星が見えない。虫の声も聴こえてこない。聴こえるのは、クラクションやバイクのエンジン音、人々の足音、電車の汽笛だ。だが、その中に弓道場があることを知っている。港先輩はそこに毎日通っている。通信制の高校に行ったことによって相当暇な時間を過ごしているらしい。そもそも、両親の転勤さえなければ港先輩はこの高校で卒業出来た筈だ。
港先輩とは毎日、連絡を取っていた。体調について、勉強について、部活について、時には港先輩の恋愛相談について。(あんな美人に、彼氏がいない方がおかしいんだけど。)
千鶴は気がつくと眠ってしまった。港先輩からの返事はこうだ。
港:え!?千鶴、会いに来れるん!?え!会お会お!詳細は後ほど送ってね~♪え…?ちょっと、服装見直してみる!またねっ!追伸、夜遅くにごめん!気づいてくれたら返信しなくて大丈夫だから!またね。
本当に優しい。千鶴は心が暖かくなった。架那から自主的に離れていたため、久しぶりに人の暖かさに触れた。
「会いたいな……」
なんて、ついつい思ってしまう。千鶴は港先輩のことが大好きだから無理を言ってしまったことに後悔していた。だが、文面では好印象だ。戸惑いつつ、会いたいと行ってくれた。千鶴はそれだけで嬉しい。心が晴れやかになるのだ。
「なんて…なに期待してんだろ笑」
続く。.:*・゜
港先輩は実際に好きな先輩をパロります!
お楽しみにー!!!(´。✪ω✪。`)✧*。