晴天の日、蝉がミンミーンと一斉に鳴き出す。
風が気持ち良く寝てしまいそうになる。
窓を全開にして、大の字になって目を瞑る。
汗がタラッと流れ扇風機を強にする。
「おはよう。湊斗」
何度も何度も聞いた事のある声。
高い声で優しい声。そして、落ち着きのある声
「もうお昼すぎだよ?まーだ寝てやんの」
目を開け、声のする方に頭を傾ける。
髪が茶色っぽく、チャック柄のワンピースを
着た、遥香だった。
「何?…母ちゃんなら畑だけど、」
眠く、いつもより一段と低い声になる。
そんな事を気にせずまた、喋りを始めた。
「あっそうだった、」
「これ、アイス、ガジガジ君だよ」
「…それ溶けてない、?」
「あっ….まぁ食べれるでしょっ!」
溶けたアイスを二人で食べ始める。
俺はソーダー味、遥香は梨の味
遥香の腕にアイスが垂れる。それを舌で舐める
そんな仕草がエロく感じた。遥香なのに、
「あらっ?」
遥香の後ろから いつも嫌になるほど聞いた
おばさんの声が聞こえた。
遥香と比べ物にならないガラガラな汚い声。
シワ、シミ、ホウレン線、隈、と言う醜い顔
そんなおばさんが俺の母ちゃん。
「遥香ちゃんいつの間に来てたの?
んもぉっ来てたなら言ってよね。
アイス貰ったん?湊斗、遥香ちゃんにお礼
言いいなさい。
あっそうだ梅干し作ったんだけど持ってって!
遥香ちゃん家のおばあさんみたいに上手に
作れんかってんけどねぇー
遥香ちゃんのおばあさんには手も足も出んわあ
て言うか遥香ちゃん見ん間に大きくなったねぇ
べっぴんさんになってもーて、湊斗のお嫁に
なってもらいたいわーwあっでも
他にいい男居るから探した方が良いよー、
絶ッ対いい男おるんやから
あっあと遥香ちゃんのお母さんとお父さん前
喧嘩したんだってー?大変だったねー」
「うっさいな、いい加減黙って、遥香も
困っとるやん」
喋り出すと止まらなくなる
こーゆ所も大嫌いだ。
「あらやだ、もー困るわぁ、あっ梅干し」
「困るのはこっちやし、…」
「元気なお母さんやね!」
「湊斗のお嫁さんになれるって」
「やめろ」
無理矢理なフォローに俺は真顔になる。
でも遥香はニコニコしたままだった。
数分間の沈黙が生まれた。母ちゃんのせいで、
「はいっ!これ」
「えぇ!こんなに貰って良いんですかー?」
「とっても嬉しいです!」
俺の母ちゃんに媚び売っても鼻クソしか
貰えねぇぞ…と心の中で思う。
「もぉやーねぇwゴマすり上手なんやからw」
「褒めても鼻クソしかあげないわよー」
…….最悪だ。
「あっは要りませんw」
こんなしょうも無い話が青春だった。
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