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R side
K「…ほんとにごめんなさい……」
R「もういいから」
カノンの頭をポンポンと叩く。
噛みつき事件のあとずーっと謝ってるんだよね…。
R「いや、でも…応急処置ありがと」
血が止まるまでタオルで圧迫して洗って冷やしてーって、 イった直後とは思えないほどの動きだった。初めてカノンがイケメンに見えた…笑
R「あと俺もごめん」
意地悪しすぎちゃったよね…カノンに噛まれて我に返ったような感覚。逆に良かったのかも…。
K「あ、もう行かないと…っ」
時計を見ながら、裾の余るズボンに慌てて足を通している。
R「ちょっと…っ…首…」
K「あ!」
跡が大きくて襟のある服でも見えてしまう。
カノンは 俺の怪我に気を取られて忘れていたようだ。
R「おっきめの絆創膏あるよ?」
引き出しの奥から引っ張り出してくる。
R「ジッとしてて…」
他の奴に見られないよう、慎重に隠す。
K「ありがと」
R「ふふ…っ 」
K「…なに?!」
R「だって、俺も口に貼ってるからお揃い♪」
口の端を指差す。カノンが作ってくれたガーゼの絆創膏が貼ってあるのだ。
K「ん〜…それはお揃いとは言わないような…申し訳ない気持ちにしかならない…」
R「もう、気にしすぎ!」
切り替えるようにさっさと家を出た。
カノンを仕事に送り出すと、電話がかかってくる。
……アダムだ。
R「はい…」
頭に血が昇っていくのが分かる。
A「おつかれ〜、ルイさぁ、昨日からずっと着信入ってて怖い」
俺は腹の虫が治まらず、合間を見てはずっと電話をかけ続けていた。
R「お前何したか分かってんの?」
A「あーカノンくんのこと?傷つけちゃったかなぁ…いつもだったら、皆んな喜んで寝取られてくれるから、調子狂っちゃった笑」
悪びれもしない口調。
あれだけカノンのこと傷付けておいて、よく飄々と話せるよな…。
R「今度お前の部署に乗り込んでぶっ飛ばしに行くから、覚悟しといて」
怒りに満ちた低い声でそういう。
A「あー、それ。ごめん、明日から仕事で海外行くんだわ、しばらく」
R「は?嘘つくな…っ」
A「嘘じゃないよ?俺、海外事業部に異動になったじゃん?で、アメリカ支店に配属になった、さすがエースでしょ?」
ふふっと笑い声がする。
R「アメリカに高飛びする前に俺らに嫌がらせしたってわけ…?」
A「そんな計画的じゃないよ?思いつき♪」
ふざけんな!と怒鳴り声を上げようとしたところで、
A「ルイさぁーさっきから被害者ぶってるけど、それ、俺だから。」
R「は?」
アダムが被害者?ふざけんな。
冷笑する。
しばらく間があって、
A「俺さ……ルイのこと本気だった…」
R「…っ」
アイツらしくない弱々しい声。
予想していなかった言葉に、何も言えなくなってしまう。
A「ルイが嬉しそうにカノンくんの話してたからさ、仕方なく身を引いたけど…本当は別れたくなかった。……ねぇ、俺の気持ちをちゃんと考えたことあった…?」
アダムの気持ち…?正直考えた事はない。
てか俺らってノリの付き合いだったよね。
飲み屋で飯してたら、付き合ってみる?って言われて…。恋人いなかったし、クリスマス前だったし流れで…。
R「…俺は友達の延長としか思ってなかったよ」
罪悪感が湧いてくる。
A「そっか…」
思えば、アダムって変わった奴に見られてたけど、優しい所もあったよな。同期同士で何やかんや助け合ってたし。
入社してからの思い出がフラッシュバックする。
R「アダム…………ごめん」
A「もういいよ…あ、また日本に戻った時にフリーになってたら付き合って♪」
またいつもの調子のアダムだ。
R「それはない!!俺はカノンと幸せになるのっ」
A「ふーん、あっそ。じゃあ…バイバイ、ルイ」
R「うん…」
すぐに電話が切れる。
俺の頭の中は少し混乱している。
休日の朝のビル街はいつもより空気が澄んでいて、でも気持ちは重たい。
R「なに、もぉ…」
天を仰ぐと飛行機雲が目に入る。それを眺めながら、アダムの事を少し思った。