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狐の嫁入り

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狐の嫁入り

1 - 第1話

♥

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2025年09月26日

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・d!様の二次創作です。御本人様とは関係ありません。


・shpci要素があります。


・めちゃくちゃ短い上に、オチ弱&もどかしい終わり方です


・独自の設定が入っています



大丈夫な方だけお進みください!






わんくっしょん








**





夜の森は静寂に包まれ、ところどころに漂う霧が月明かりに銀色に輝く。


ciは狐の姿で、木々の間をしなやかに駆けていた。


ふわふわな毛並みは夜の闇に溶け込み、足音一つ立たない。普段なら人目を避け、山野の奥深くで一人過ごすことが多い。



しかし、その夜は違った。心の奥底がざわつき、どこか知りたくもない、未知の何かに引かれるように歩を進めていた。




ふと、視界の端に人影が見え、足を止めた。



月明かりに照らされたその人物は、普通の人間。


──まだ若く、穏やかで、どこか温かみのある顔立ちをしていた。





「…え、狐?珍しいな」


男が少し目を見開く。




「…あんた、誰や」




「…えッ、…えっ!?」


「狐が喋っとるッ!?!?」


男はさっきよりも更に目を見開いて、驚いたように声をあげた。



「あ…すまん、驚かすつもりは無かったんやけど…」



「えッ、……な、何で…喋れるんや…、?」



「…あー…俺は、普通の狐とはちょっと違うんや」



ciは尾を揺らしながら視線を外す。



「あ、あれすか?化け狐的な…」



男の口元に浮かぶ興味と恐怖が混じった笑みを、ciはじっと観察していた。



「まぁ、間違ってはないな」



「えぇ…すごい、… 面白いやん、化け狐が見られるなんて」


「お前、名前はあるんか?」



「俺はciや。すまんが、人間とは関わんのはあんま好まんで」



「えぇ、…面白いのに……俺はshp。よろしくな」




とても神秘的で、不思議な出会いだった。





「ちょ、ci、尻尾モフらせてくれよ」


「はぁ?やだよ」



「えぇ、えーやんちょっとだけ」


「ぅわッ、ちょ勝手に触んなッ!?」





**





「へぇ、ciって人間にもなれるんや」



「まぁ、化け狐やからな。」




二人は毎晩会うようになっていた。


夜が更けては、shpは山野の奥へ向かい、ciと他愛もない話をしていた。



化け狐であることがバレかけた話、山野が好きな理由、人間の躰で歩くのはまだ慣れないという話。


その他にも、たくさん。



気づけば森の静寂と狐火の光の中で、shpはciの小さな仕草に目を奪われるようになっていた。


尾を揺らすたびに、胸の奥が少し熱くなるのを感じた。




「なぁ、ci」


「お前って、なんで人間を好まへんの?」




「…別に俺が好んでへんわけちゃうけどな」



「?どういう…」




「…うーん、お前ら人間の中にもボス的存在がおるやろ?」



「…まぁ、一応?」



「俺らも、一緒なんよ」



「上から、人間と深く関わることを禁じられてる。」



「…え、でも今俺と話とるやん」



「…まぁ、そやな」



shpの頭にははてなマークが浮かんだままであった。


ciと話すとこういうことが多くある。


狐と人間だから感覚が違うのか、なんなのか。




「…ま、もう今日はこの辺にしとこうや。」



「そやな、そろそろ帰るわ」



「おん、ほなまた明日な」




**



次の日も、その次の日も、変わらずshpはciと会話を交わした。



気づけばciに対するその恋心は、無視できないくらいに膨れ上がっていた。




「…ほな、今日はこの辺にしとくか。」




「…ちょっと、待ってや…ci。」


「?どないしたん」





「…あの、…俺、ciのことが好き。」



shpの瞳は真っ直ぐにciを貫いていた。



「…え」



ciは明らかな戸惑いを見せ、数秒間固まっていた。



ようやくciの瞳がshpの方を向き、口を開いた。





「……ごめん、shp、付き合うことは、出来へん。」





「……え、なんで…」



shpは思い出した。


いつの日かciが話していた、人間と関わらない理由を。



「…禁じられてるから、?」



「…ちゃう、よ。ただ…」





「…shpとは、ずっといたいから」



その言葉の意味を、shpは理解できていなかった。



ずっと一緒にいたいなら、恋人同士だっていいはずだ。



「…ごめん、shp。今日はもう帰って」



「……分かった」





**





「…ci、今日こそ…」


「無理や、付き合うのは」



「…なんで……」




あの日からずっと、shpはアプローチを続けた。


いつか、付き合えることを願いながら。



まぁ、その願いはまだ叶いそうにないが。




だが、ciも毎晩山野から顔を出してくれることから、この時間が嫌ではないのだろう。



暗闇からひょっこりと顔を出すciの姿は、より愛らしさを感じるものだった。






そろそろアプローチし続けて、5か月程経っただろうか。



このアプローチに飽きないciもなかなかの物好きではあるが、化狐なんかに恋してしまう自分は、きっとそれ以上に物好きなんだろう。





不意にciが顔をあげた。






「………shp」






「……もし、俺が付き合うの許可しても、絶対に後悔せぇへん?」



「…えッ、後悔なんかするわけないやん!!」



するとciは柔らかく微笑んだ。




「………じゃあ、ええよ。付き合おう」




人生で初めて願いが叶った日だった。





**




その日から、ずっと特別な日々が続いた。



恋人同士じゃないときも幸せだったが、恋人同士になったことで


よりciが本心をさらけ出してくれてる気がして、それがとても嬉しかった。




「…こんな日々がずっと続いたらええのにな」



ciが何かを思い出すようにそう言った。



ciはどこか遠い目をしていて、自分ではない何かを見ているようだった。




「…ずっと一緒に居れるやろ、今後も」



「…そやな」




**





shpはいつものように山野へ向かおうと準備していた。



shpの家は山のすぐ麓にあるため、ciと会うために、いつも高いとはいえないくらいの山を登っていた。





だが、今回は少しいつもと違っていた。




外がいつもより騒がしいのだ。



よく見てみると、近所の人たちが山を見上げながら声をあげている。




shpは外へ出て近所の人たちと同じく山を見上げた。






shpが見たのは、山野全体を赤く染める炎だった。



「…は、なんやあれ」



shpの瞳はそこに釘付けになったように動かなかった。


風に乗って立ち上る煙の匂いが、記憶の奥のciの体温と混ざり、胸を締めつける。



「……ci?」



声に出した瞬間、喉の奥がひりついて言葉が途切れた。


炎の向こうに、誰かの尾がゆらめいた気がした。


それは、何度も撫でたあの橙の尾と同じだった。




**




後に、地元ニュースで原因不明の発火と報じられた。


だが、sh pは知っている。

あれはきっと、狐の嫁入りだと。



ciが最後に見せた笑顔と、あの夜の光景が胸に焼き付いたまま、もう二度と消えない。




それでも、ciにまた会いたいと、何度も何度も祈り続けた。


神様は2度も願いを叶えてくれやしないと分かっていながら。






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