(語り 舞香)
私は繰り返し見てしまう悪夢がある。悪夢って言っても、ただの夢とか何かを暗示している夢ではない。
ただ淡々と、“あの時”の事が映画のように映し出されるだけなのだ。
この夢は、妖神になってから定期的に見るようになった。
現代の、インターネットというものが普及しているこの文明とは違う、あの文明の時。
当時は、「平安時代」だった。なぜそんな昔に生まれ、現代で、18歳なのかって?だって、私は、一度死んでいるのから。それも18歳で。基本、妖神は、生命の宿った何かの器に、妖怪と神が取り憑いた存在。死んだ者の魂でもその器になれる。だけど、条件がある。それは、「自分の生きた世に、未練があるかどうか」。私は、こんな所で人生を終わりにしたくなかった。だから、なんとか第二の人生を歩もうと、妖神になる道を選んだ。
生命の宿った器で妖神になることはなかなか難しい。なれた事でメリットもあるけれど、そもそも、「命」の入った身体でなるのは至難の業。失敗すれば廃人になりかねない。成功する確率も低い。
それになれた人もいたかもしれない。だけど、あまりお勧めはしないかな。
私がいつも見る夢は、私が当時、難病だった病気で死ぬ時、家族のあの悲しそうな顔。思い出すだけでも辛いのに。なぜ何回も見るのか理由がわからない。
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