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※🚗さん喘息設定です
※嘔吐表現注意
くるま「」
ケムリ『』
くるま side
今日はちょっと久しぶりにケムリの家にお邪魔
してるところ!
晩御飯も食べ終えて、 それぞれの時間をのんび り過ごしていた。
「あれ、もう日付変わるじゃん」
「ケムリ〜、今日泊まってっていい?」
『いいよ、遅いもんね』
「ありがと〜………んん”っ、ゲホッ」
『ん、喉?大丈夫?』
「ゲホッ…わかんない、ざらざらする…ゴホッ」
突然喉の奥に妙な詰まりを感じた。
なんだろう…と思いつつ胸をさする。
『のど飴あげる、舐めな』
「ん”、ありがと…」
ケムリはいつだって優しい。
流石は俺の相方、些細なことでも心配してくれる。
だからいつも甘えちゃうんだよなぁ…
情けないという恥じらいはありつつも、
ケムリに頼るのはどこか心地の良いものだった。
「ゲホゲホッ…ごぼっ、ヒュッ…っ、…んん”…」
違和感を拭おうと咳き込んだとたん、
喉が締め付けられるように苦しくなった。
嫌な予感がする。
「…ゴホゴホッ…はぁっ、…ひゅっ、…ゲホッ…ゲッホォ」
『…喘息、かな?』
この不穏な気配をケムリも感じているようだ。
俺も昔はよく発作を起こすことがあった。
しかし歳をとるに連れて頻度は減って、
ここ3年くらいは全く起こらなかった。
「んん”っ…ゲホッゲホッ…げほっ、…ヒュッ、…っは、」
『えちょっと大丈夫?』
「ゴホッ…ヒュッ…はぁっ、…どう、しよ…ゲホゲホッ…」
『発作なんてめっちゃ久しぶりじゃない?』
「きせつの、ゴホッ…かわりめっ…、かな…ゲッホォ」
『吸入の薬とか無いよね?』
「…ヒュッ…はっ…ないっ、…どしよっ…ゲッホゲホ…」
焦れば焦るほど息が吸えなくなって余計に苦しくなっていく。
『温かいお茶でも飲もうか』
『いれてくるよ、待っててな』
「ぁ、…うん、」
立ち上がるケムリを目で追っていたら、
なんとなく取り残されてしまった気分。
気持ちを落ち着かせるためソファに身体を預け
クッションをきゅっと掴む。
「ゴホッ…んん”っ…はあっ…ふぅ…」
『ごめんお待たせ』
『はいお茶、あとブランケット』
そう言って俺の肩にブランケットをかけてくれた。
手のひらからじんわりと伝わるマグカップの熱で、 心が休まっていく感じがした。
『無理に飲まなくていいから、ゆっくりな』
「ん”、ありがと…」
『ひゅーひゅーしてるね、 背中さすっていい?』
「ゴホッ……はぁっ、…ヒュッ…んん”っ、」(コクッ)
背中に優しく触れるケムリの手が心地よくて、
だんだんと緊張が和らいでいく感覚があった。
「ゲホッゲホッ…ゴホッ…っはぁ、……ゲホッ」
『咳でるね、なんかできないか調べてみる』
「…ありがと…っ、ゴホゴホッ…」
『加湿か…なるほどな。よいしょっと』
「んっ、…ゃ…ゲッホゲッホ……ヒュッ…、はぁっ…」
引き止める隙もなく、ケムリはスっと立ち上がってどこかに行ってしまった。
ケムリの手が背中から離れると急に寒くなったような気がして、不安がまた俺を襲う。
「んん”っ、…っはぁ、ヒュッ……ゲホッ……っはぁ、」
鼓動が速まっていくのが自分でもよくわかる。
苦しい……やばいかも…
ケムリ、早く戻ってきて……
「ゴッホゴッホ…ん”っ、…ゲホッ…ゲホッ…はぁっ、」
「…げほっ…っ、ゲホッゲホッ…ゴッホォェ!」ビチャビチャ
あまりに突然で、
手で押えることも出来ずに吐いてしまった。
床に広がった嘔吐物を呆然と見つめる。
やばい、どうしよう……
『わゎ、吐いちゃったか』
「、はぁっ…ゲホッゲホ…んっ、ごめ、ゴホッ」
『いいよいいよ、大丈夫』
異変に気付いて駆け寄ってくれるケムリ。
俺は申し訳なさで頭が一杯になっていた。
「ヒュッ…はっ、ゴホッゴホッ…、…うぇ…」
『まだ吐きそう?』
「…はぁっ、…はぁ……」(コクッ)
『おけおけ、はいゴミ箱。』
『ここに吐いていいから』
「んっ、ありがと…ゲホッ」
「ゴホッ…んん”っ、ゲッホゲホ…お゙ぇぇっ、」ビタタタ
『しんどいな、よしよし』
そう言って背中をさすってくれるケムリ。
「ゲホゲホッ…んっ、はぁっ…ゴホッ、…おぇ」
『もう出ないかな?』
「ん、……ゲホッ」(コクッ)
『じゃあ片付けちゃうから、』
そう言って立ち上がろうとするケムリの服を
咄嗟に掴む。
「ね、…ゲホッ、…やっ、……んん”っ、…ゴホッ」
『どうした?』
「けむっ、…はぁっ、……ゲホゲホッ…やらっ、…」
『まだ吐く?』
「んっ、…ちがっ、………ゴホッ」(フルフル)
そばにいて欲しいだけなのに、
口に出すのは恥ずかしくて上手く伝えられない。
『なに、どうしたいの?』
「…んん”っ、……いかない、でっ…ゲホッ」
『わかったわかった、』
「せなかっ、……さすって、…ゴホッ…はぁっ、」
『ん、よしよし』
俺のわがままにも優しく応えてくれるケムリ。
背中から伝わる温かな感覚で、
呼吸が楽になっていくような気がした。
「…んん”っ……はぁっ、…」
『だいぶ咳落ち着いてきたね』
『そろそろ立ってもいい?』
「…まっ…て、…ん”っ、…ふぅ…」
『でもさ、吐いちゃったの片付けなきゃ』
どこまでもケムリに迷惑をかけてしまっている自分にはっとして、情けなくなった。
「…わかった、……」
『すぐ終わらせちゃうから、待っててな』
そう言って優しく頭を撫でてくれた。
床を掃除してくれているケムリを見つめながら
ぬるくなったお茶を一口飲んだ。
『ズボンと靴下、ちょっと汚れちゃったから』
『履き替えられる?これ、俺のだけど』
「…ん”っ、…ごめ」
差し出してくれたものを受け取って、履き替える。
俺は恥ずかしさと申し訳なさで押しつぶされそうだった。
しばらくして戻ってきたケムリが横に座る。
『ごめんね、お待たせ』
「んーん、…ありがとっ……」
「…あの、ほんとに…ごめん……」
『全然いいよ、』
『くるまが1番大切なんだから』
「……っ、…でも、……」
『こんなにしんどそうな人ほっとけないから』
『俺がやりたくてやってるの、気にすんな』
「……ありがと、…」
『まだ息くるしい?ひゅーひゅーしてるよね』
「ん、…くるしぃ……」
『ぎゅーしてあげる』
そう言って正面から背中に手を回し、
そのままさすってくれた。
そして俺は言われた通りにケムリの肩にあごを乗せる。
ケムリの大きな体に包まれるのはとても幸せで、
この時間がこのまま一生続けばいいのに、
なんて思った。
幸せに包まれながら、
俺は気付かぬうちに眠りに落ちていくのだった。