## 第四話 家族との再会
玄関の前で、夜空夢はため息をついた。
「はぁ……。今さら、母さんのところに行くのか……。行きたくないな……」
戸口の向こうに広がる気まずさを想像して、足が止まる。けれど、もう戻ってきてしまったのだ。覚悟を決めて、彼は手を伸ばし、戸を開けた。
「……帰って来たものの、なんて言い訳しよう……。……入るか」
扉が軋む音とともに中へ入った瞬間──
「**おかえりなさい💢**」
玄関に響き渡る怒気を帯びた声に、夢はビクリと肩を震わせた。
「……ただいま……」夢は小声で答える。
「**今までどこに行っていたの💢**」
凍るような視線。彼女──八雲紫は微笑んでいなかった。
「えっと……」
「**もう一度聞くわよ💢 今まで、どこにいたの💢**」
詰問に観念して、夢は正直に答えた。
「……外の世界にいました」
「……はぁ……」紫は深くため息をついた。その肩は、怒りというよりも疲労で揺れていた。
「幻想郷を最初に探しても、見つからないはずよね……。外の世界に行ったのかと思って、必死で探したのよ💢。でも、いくら探してもどこにもいないの……。……死んでしまったんじゃないかって、思っちゃったでしょうが💢!」
次の瞬間、\*\*ゴン!\*\*という音と共に、紫のげんこつが夢の頭に命中した。
「いたっ……!」
「げんこつだけで済ませてあげたこと、ありがたく思いなさい💢」
「(ノД\`)・゜・。」
けれど、次の瞬間、紫の態度は一変した。
「……でも……生きていてくれて、よかった……」
ぽろぽろと涙を流しながら、彼女は夢をそっと抱きしめた。
「……どうして泣いてるの?」夢が問いかけると、紫は静かに答えた。
「あなたも……親になれば、わかるわよ……」
と、その時。
「紫様……」
「紫しゃま……」
背後から、懐かしい声が聞こえた。八雲藍と橙だった。
驚いて夢から手を放し、紫は顔を赤らめた。
「えっ……/// いつから……?」
「紫様が“おかえりなさい”って言ったところからです」
「そうなんです」
「ほぼ最初からじゃないの……! いるなら言いなさいよ!」
「会話に入れる雰囲気じゃなかったもので……」
「……そう」
藍が微笑みながら言った。
「でも、よかったですね。無事に帰ってきて」
「う、うん……///」
橙がクスリと笑った。
「紫しゃま、照れていますね~」
そんなやりとりに、夢はふと微笑んだ。
「久しぶり、藍姉さん」
「久しぶりね、夢。今まで、どこに住んでいたの?」
「外の世界の……いろいろな国かな」
「最初はどこに?」
「日本。……まぁ、昔は“日本”って名前じゃなかったけど」
「どれくらい滞在してたの?」
「数十年くらい……」
「他には?」
「東の上の方……うまく説明できないけど、その辺にも少し。……結局、全部の国に行ったと思う」
藍は目を見開いた。
「……そうなのね」
紫は、その話に少し呆れたように、でもどこか嬉しそうに目を細めて言った。
「ほんと、いろんな国に行ったのね……」
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