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#嫌太
sakusima
30,187
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⚠️今回は京子ばっちゃんが出てるんですけど一人称と呼ばれ方が分からなくて想像と妄想で書いてます。(いつもそうなんだけど)
今回はいつもよりもひどいので注意
わんく
「これより、夜桜家家族会議をはじめます。まず、みんな、おかえりなさい」
六美が瞳をうるうるさせながら笑顔で言った。皆が帰ってくるまで信じて待ち続けてくれたのだ。あそこまでの危機的状況から誰も欠けず帰ってこれたことに心から喜んでいた。
「今回の任務は数の暴力すぎて手立てがなかったところもあるかもだけど、課題が見つかったり気づいたことがあると思うの。それは次に活かして欲しいわ。」
「あたしの醍醐味のハッキングが効かず足を引っ張ってしまったところがある。申し訳ない。」
「そんなこと言ったら俺だって、指示が出なかったら逃げもできずに何も出来なかった。」
「俺はもっと持久力をつけなければならないと感じた」
各々が反省点、課題を述べていたが、六美の拍手で一斉に静かになった。
「会議を開いたのは、太陽のこと。」
「お兄ちゃん、お願い」
「あぁ、俺も正直何があったか分からなかった。だから質問はあとにして、1度俺の話を聞いてほしい。」
凶一郎は先ほどあったことを全て話した。今回ボスの討伐を行ってくれたのは太陽であること。口調、武器、服装、髪の色が違っていたこと。開花とは違う別の能力を保持していたこと。自分のことを蝶宮茜と名乗っていたこと。蝶宮家は夜桜家と関わりがあること。すべてを。
「とまぁ、こんなものだ。」
「ありがとう凶一郎お兄ちゃん。正直、私たちじゃ何も分からないと思う。太陽は今日中には目は覚ますか分からないし….」
六美は心配そうに太陽を見つめる。太陽が凶一郎に抱かれて帰ってきたときは驚いた。何より、凶一郎が俵もちや脇の下でかかえる持ち方もできたはずなのにお姫様抱っこで帰ってきたことが一番の衝撃だった。自分の胸元に寄せ太陽を護るような抱き方に、やっと自覚してきたのかな、と六美は少しだけ笑みを浮かべた。あれから七悪に見てもらっている間も目を覚まさず、太陽はずっと凶一郎のそばで眠ったままだ。会議にまで連れてくるつもりはなかったが夜桜家関係者は出席が義務付けられており、1人にしてしまうことになる。それは危ないからと凶一郎の自らの申し出で自分の膝の上で眠らせた。起きたら一体どうなるのやら。
「太陽が言うにはおばあちゃんが知っているんだって言ってたの。だからおばあちゃんを呼んだの。」
「おばあちゃん、ほんと?」
家族会議に珍しくおばあちゃんがいるのはそういう事か、と一同納得をしたと同時に疑問の目を京子に向けた。京子はため息をつき、まるで心の準備をしていたかのように険しい顔を顕にした。
「まず最初に、そのことを秘密にしていて申し訳なかったね。このことを知っているのは、私とあなたたちのお母さん、零さんだけよ。」
「おかあさんが…..?」
「えぇ、零さんがあの子を拾ったんだもの。」
「まずは蝶宮家のことをお話するわね。蝶宮家は夜桜家よりも古い代々続く由緒ある家系だったの。」
だった、という言葉に数人が疑問に思ったがそのまま京子は話を続けた。
「初代夜桜家はまだ強い力を持っている人が少なく、当主しか強い力を持っていなかった。だから初代当主は護衛を雇った。それが蝶宮家なの。夜桜家が初代のとき、蝶宮家は5代目だったかしらね。」
「さっ、300年以上前ってこと…..」
「300年前ぇぇ、ってなんだ?えどか?めいじか?安土桃山ってやつか?!」
(((辛三(兄さん)計算はやっ)))
(((嫌五(兄さん)…………)))
「続けるわよ。そのあと夜桜家が力を手に入れてから護衛は解雇したけど、変わらず良い関係を築いていたの。でも、先代夜桜家のとき、蝶宮家は滅んだ。」
「えっ、どうして……」
「原因は蝶宮家壊滅を狙った大規模な襲撃。そこで蝶宮家は全滅したの。いや、全滅したと思っていた。」
「でも事件の後、終代の子どもである太陽だけ奇跡的に生きていたの。きっと蝶宮家は、太陽だけは生かすと決めていたのね。」
衝撃の事実に部屋が重い空気に包まれた。いつも笑顔でいた太陽の裏にはそのような壮絶な過去があっただなんて検討もしていなかった。
「……なんで太陽は、俺たちに教えてくれなかったの?」
「あの子は、蝶宮家のことを覚えていなかったの」
「そうなの?」
「ええ、私と零さんは何度か見たことがあったから知っていたけど、太陽はたぶん衝撃で記憶が飛んでいたの。」
あのときの衝撃は忘れもしなかった。蝶宮家が殺されたと聞いた時、絶望の底に突き落とされたようだった。仲もよく、何百年も交流をしていたあの蝶宮家が、と。しかし、あの絶望から数日後に彼を見つけた。
『京子さん…….あれって、』
零さんが震えた声で呟く。指をさした方を向くと小さな子どもが。…….ちがうあの顔と赤い髪は
『………茜くん?』
『茜くん?!なんでここにいるの?!どうして…..生きてたのね!!!』
「…………おねぇさんたち、だれですか?」
「本当は家で引き取って育てるつもりだった。でも、蝶宮家を壊滅させた敵がいる以上、きっとまた命を狙われてしまう。だから頭上は誰にも教えず名前も変えて養子に出した。このことは私と零さんの秘密にしよう、って。だからこの家にある蝶宮家関連の書物も奥に封印して、その代から関係を絶って、蝶宮家も途絶えたということにしたの。」
これが私の知っていること全てよ、と話しを終えた。暗い空気が漂う。だれも声を出せなかった。太陽にはそんなに辛い過去があったのか。そして私たちにもそのような過去があっただなんて、
「おばぁちゃん、話してくれてありがとう。…….みんな、いま私たちにできることは過去を鑑みた上で太陽をいつもと変わらずに接すること。変に話さずおかえりを言うこと。それだけよ。」
さすが当主といったところだ。このような空気でも負けずに自分のできることに集中し冷静に受け止める。それが六美の良いところであり、六美が太陽に今できる最大の配慮だと判断したのだろう。
「とりあえず太陽の過去の事は大体把握出来たわね。他に話したいこと、聞きたいことなどある?」
各々疑問、聞きたいことはあるだろう。しかし京子も詳しくは分からないようであったし、太陽が目覚めたとしても質問攻めにするのは身体的に良くない。皆質問は出ず、会議が終わりそうな雰囲気が漂っていたそのとき
「…..じゃあ、おれから、能力についてわかることをはなしたい」
皆が一斉にこちらを向く。静寂を破ったのは他でもない太陽であった。まだ怠さが残るのか万全な体調では無さそうだったが意識はしっかりしていた。
「「「「「太陽!!!!!」」」」」
「はい、太陽ですッ」
身体を起こそうとする太陽を凶一郎が背中を支える。眉間に皺を寄せながら少し辛そうにゆっくりと起き上がった。
「無理はしなくていい。」
「ありがとうございます。」
ニコリと微笑んだ笑顔がとても儚く見えた。
ぱたぱたと七悪が太陽の前まで来るとしゃがみ込み、軽い検査と問診をはじめた。
その間、会議室内では緊張がほどけたのか安堵の息をつく者、肩の力が抜けた者、胸を撫で下ろす者様々だった。
「うん、問題なさそうだね。でもまだ無理は禁物だよ。終わったあとはゆっくりしててね。」
「ありがとう七悪、」
太陽が七悪の頭を撫でるとえへへ、と顔を赤らめ、自分の場所へ戻って行った。
「太陽、おかえり」
六美の言葉を筆頭にあちこ同じ旨の言葉が飛び交った。その顔に先程までの緊張感は何一つなかった。
「ありがとうございます。ただいま戻りました。」
「では、本題に入らせていただきます。」
「俺は蝶宮家の人間です。詳しいことは先程京子さんが仰ったことで間違いないです。」
「そして能力の話です。俺は蝶宮家に代々伝わる【五色】の力からいただいています。ここで言う【開花】と同じと解釈して大丈夫です。能力は【蝶】です。」
「五色の力か。聞いたことないな。」
「元々俺の家は夜桜家とその他数家としか関わりがなくて隠密に動いていると教えてもらったことがあります。聞いたことがないのは当然だと思います。名前が上がったとしてもこんな名前の家がある、という噂程度だったと思います。」
「その蝶と言われる力について聞いてもいい?」
「うん。でも、先に約束して欲しいことがあります。」
はぁ、と一度息を吐き、再び皆の方を見る。
「俺の力のことは、絶対に秘密にしてほしい。」
キョトンとする皆の反応とは違い、凶一郎と京子は納得したような顔をした。
「だから私も養子に出す時は信用できるスパイ協会に連絡して直属の施設に送らせて貰ったわ。能力も一定の年齢を越すまで出ないように封印する術もかけていたの。もちろん、一部以外には内密にね」
「あの力は世界レベルで最高峰だ。この力が政府へ伝わるとおそらく国家の監視下が必要になるだろうな。」
凶一郎が腕を組み替え、足を組む。
「おそらく、そうなります。俺の言葉と思考ひとつで夜桜家どころじゃない。日本が滅びます。」
その言葉にゾッとした。彼は一体何歳でその力を得たのか。その力を代々受け継ぐ蝶宮家はどのような家だったのか。
「見てもらった方が早いと思います。」
太陽は手を差し出す。すると指の腹あたりから小さな蝶が生成される。それは、翡翠の色に輝く小さなものだった。
「わぁ!きれい」
「小さくてかわいいねー」
「太陽ーーーこれって触れるの?」
「はい、触れますよ」
太陽は中を開ける形で拳をつくり、頭上でその手を開く。すると、十匹ほどの蝶が一斉に舞い上がった。
「すごーーい!触れたぞ!!!」
キラキラさせた目で太陽を見る四怨。ツンツンと遠慮気に触りながらまじまじと観察していた。
「ほんとだーー!かわいいね」
「色もきれい!」
「なかなか興味深いものさね」
「生きた蝶をそのまま持ってきたかのようだな」
「ふしぎーーー」
「さぁーーーて、俺もさわろっかなっと……….ア゛ギャァァ!!!!!!!」
嫌五が蝶に触れた瞬間、まるで静電気のようにスパークが起こった。いたい〜、と指を摩る嫌五に太陽はクスリと笑う
「こういうこともできちゃうんです。」
「太陽これおもしろいな!!!他は!他は!」
「これすごくおもしろいさね?!?!」
「これは気になっちゃうよ!!!」
「どんなのがあるの?!」
「(´。✪ω✪。 ` )キラキラ」
四怨と二刃、辛三、六美、七悪が食いついてきた。なんだかとてもうれしいな、と太陽は楽しくなり、先程のように握った手から蝶を部屋に放ち嫌五の周りに飛び回らせた。
「あとは水とか、」
「へビシッ」
「炎とか」
「アチアチあちちっ」
「氷とか?」
「ツメタイツメタイツメタイ」
「花とか?」
「あらきれい」
嫌五の周りを飛んでいた蝶たちが次々と変化する。悲鳴をあげる彼に四怨はずっと笑い転げていた。
「刀とか!」
「イ゛ヤァァァ」
嫌五の顔の前にいた蝶が突如刀へと変化した。気づいた時にはあと2センチと言ったところに刃先があった。驚きで嫌五は白目を向き後ろに倒れた。
「茜くんやりすぎですよ。」
「京子さんすみません、たのしくなっちゃって…..」
太陽は嫌五を拾い上げ近くのソファで寝かせた。彼は変わらず白目を向いていた。ごめん、嫌五兄さん
「とまぁ、こんな感じです。何か聞きたいこととかありますか?」
「……….ちょっと一度に情報がありすぎてパンクしそう。 」
きゅるきゅると目がうずまきになっている七悪。ほかの面々も苦笑いしており思いつかない様子であった。
「ききたいことがあればいつでも聞いてください。分かる範囲なら答えますので。」
俺からは以上です、と太陽は話を締めた。その後は特に大した話はせず、10分程度で解散となった。
その後少し騒がしくなってから各々が部屋へと戻る。凶一郎も部屋に戻ろうと立ち上がる前にポスッと肩に重みがきた。見るとそこには凶一郎の肩にもたれ掛かり眠る太陽の姿があった。
「まったく、手間のかかるやつだ。」
部屋につれていくために彼をひょいと持ち上げる。心做しか顔色も悪く見えた。
(七悪の部屋に連れていくか)
「おばあちゃんあれってどう思う?」
太陽をお姫様抱っこし、何事も無かったかのようにそのまま部屋を出ていった凶一郎。
昔はうるさいくらい六美のことが大好きでベッタリだった。今もそれは変わらないのだが、膝枕といい先程のお姫様抱っこといい、彼はあれこれ言いながら最終的には太陽の面倒を見ている。いや、面倒を見るのレベルではない。とはいえ太陽に助けられて恩を感じているというのもそれは違かった。
「無自覚ってやつね。凶一郎が娘離れする日も近いかもしれないね。」
「やっぱり〜!おばあちゃんもそう思うよね!!」
「俺もそれ思ってた!!!」
「私も思ってたんさね。」
「うむうむ、やはりこやつらはそうなのか。」
「早くくっつけよリア充が。」
「2人ともお似合いだからねーー。」
部屋に戻ったと思われた辛三、二刃、嫌五、四怨、七悪がひょこりと顔を出す。
これをきっかけに話が盛り上がり、【凶一郎と太陽くっつけ隊】が発足したのは言うまでもない。
「七悪ー、いるか?」
「七悪ーーー?いないのか。」
「……..ッんー、」
太陽がもじもじと身動いでいるが抱き上げられているからかあまり動けていない。頭の良いポジションを見つけると、先程のようにまた眠りに落ちた。
「………仕方がない、1人にするのも億劫だ。部屋に連れて行くか」
凶一郎と太陽くっつけたい隊(No,6 七悪)
実は超絶ファインプレーをしていました。
ー設定備忘録ー
・太陽は蝶宮(チョウミヤ)家の生き残り。
・初代夜桜家がまだ当主しか力を得てなかった時代、当時から最強だった蝶宮家の人間を護衛として雇っていた。
・その後夜桜家は蝶宮家と互角or少し弱いくらいの力を得た。(そもそも蝶宮家が強すぎるから、夜桜家は蝶宮家よりも下だが世界トップ1.2の実力である)
・護衛の契約を破棄してからも関係はとても良好だったが蝶宮家一族が殺されてしまった。
・そこで奇跡的に太陽【蝶宮家名:蝶宮 茜(アカネ)】が生き残り、当時の夜桜家当主(零さん)が拾ってくれた。
・茜が生き残っているとバレたら殺されてしまうので蝶宮家は途絶えたということにして太陽は養子に出した。夜桜家と蝶宮家に交流があったという痕跡も全て消して蝶宮家を知っているのは零さんと京子さんと関係者数人のみに。
・太陽はその事を事件の衝撃で忘れてしまっているが、ふとしたタイミングで思い出すっていうお話。
コメント
1件
わあ、今回は過去編の核心がドーンと来たね…!太陽が蝶宮家の生き残りで、しかも能力が世界レベルっていうスケール感に震えたわ。でも何より、辛い過去を抱えながらも家族とふざけ合える強さが本当にかっこいい。凶一郎との距離が縮まってるのも胸熱🔥 くっつけ隊発足は草w