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Night’s
アリスを殺した犯人がますます分からなくなった。
帽子屋とインディバーは犯人候補から抜いて良さそうだが…。
「Nightmareも俺に言って欲しかったよ。何でインディバーには言ったのかなー。」
帽子屋が頬を掻きながら呟いた。
「マッドハッターがマリーシャに捕まってばかりだったから言えなかったのよ。アタシだってNight mareが姿を消す前に聞いたんだから。」
2人が淡々と話しているのを黙って聞いていた。
「おーい。アンタも話に入りなさいよ。てか名前は何?」
インディバーがボクの顔を覗きながら尋ねて来た。
「え?ボク?名前はゼロだが…。」
「ゼロね。アタシ達はゼロ側の人間だから安心して良いわよ。」
「え!?」
「マッドハッターもその事を言う為に2人っきりになったんでしょ?何やってんのよ全く。」
そう言ってインディバーは帽子屋の背中を叩いた。
「ゼロの事が気になっちゃったから少し意地悪しちゃったごめんね?」
帽子屋がボクに謝って来た。
「いや…。ん?じゃあボクがアリスじゃないって事はマリーシャ達は知ってるのか?」
ボクは帽子屋に尋ねた。
「いや、マリーシャやズゥーは気付いていない。」
「じゃあ何故、マリーシャにボクの事を調べさせたんだ。」
「マリーシャはアリスが嫌いだからね。それを利用しただけだよ。あの子は俺の命令なら何でも聞くし、ゼロがどんな感じの子なのか知りたかったんだ。」
つまり、マリーシャにボクの事ではなくて城で起きた事を聞いたのか。
だけど、どうしてインディバー達はアリスを殺した側ではないんだ?
「俺達がアリスを殺した側じゃないかって思ってるな?」
「っ!?」
帽子屋にボクの心を読まれた。
ここの世界の奴等は心を読む事が出来るのか?
「俺とマリーシャはNight mareの下に付いてるんだ。」
「Night mare側の人間って事か?何者なんだソイツは。」
「Night mareはね、Trick Cardを作った魔術師なのよ。アタシ達はその魔術師団体の一員って訳。」
帽子屋と話しているとインディバーが入って来て説明をしてくれた。
「Trick Cardを作った?このカードを作ったのか!?そんな事が出来るのか…?」
「Trick Cardはこのカードに魔力を閉じ込めているんだ。様々な魔法を使える魔術師達が集まって作ったんだ。」
帽子屋が分かりやすく説明してくれた。
あの大きな嘴の付いた仮面を被った奴もNight mareの部下か。
「アタシ達は”Night’s(ナイツ)“と言う名前の団体に入ってるの。まぁ、アタシ達以外はNight’sの存在も知らないし、団員の数も少ないからね。」
「そうなのか…。だが、そんな団体を仕切っている団長が何故、ボクの存在を知ったのだろうか。」
ボクはインディバーに尋ねた。
「いつからか分からないけど、この世界が正常に回らなくなったんだ。」
「どう言う事だ?」
「俺達はアリスが死んだ事を知っている。だが、アリスが死んだ事を知らない奴が多過ぎる。」
「それは…、エース達が隠しているからじゃないのか?」
ボクが帽子屋にそう言うとインディバーが口を開いた。
「この世界では誰かが死ねばすぐに広まるのよ。それがただの市民や団員でもね。だけど、アリスが死んだ事はアリスに執着している人間しか知らない。」
だとしたら、アリスが死んだ事を知らない方がおかしいのか。
じゃあマレフィレスは何故、アリスの事を調べていたのか?
「ゼロは城に潜入したんだよな?」そんな事を考えていると帽子屋が話し掛け来た。
「あぁ。」
「そこで何か変わった事はなかったか?マリーシャはゼロの事しか情報がなくてな。」
「それならマレフィレスがアリスの事を調べていたみたいだ。」
「「え!?どう言う事?」」
インディバーと帽子屋の声が合わさった。
ボクは2人にマレフィレス部屋の話をした。
すると2人は何か納得した様子だった。
「だから俺達を呼び出してアリスの話を聞いて来たのか。」
「それなら納得出来るわね。」
ボクの中に1つ疑問が出来だ。
「何故、マレフィレスはアリスの事を調べていたんだ?」
ボクが2人に尋ねると帽子屋が答えてくれた。
「主にジャックが絡んでるからだろうな。」
「ジャック…?」
「マレフィレスはジャックに依存してる。それは異常な程に。アリスと同じくな。」
「アリスはジャックに依存していたのか?」
「ジャックの行動や交流関係を束縛してたな。」
束縛…か…。
独占しようとしていたって事か。
ジャックはアリスの事をそんな風に言っていなかったな。
カツカツカツ!!
ボク達は後ろから聞こえる足音を聞き会話をやめた。
「アリスー!!帽子屋ー!!」
後ろから走って来たのはエースとマリーシャだった。
「遅いわよ!!いつまで散歩するの?」
マリーシャはそう言って帽子屋の腕を掴んだ。
「インディバーもここにいたの?」
「えぇ。」
「何だよそれー。」
エースとインディバーが話してる内容が頭に入って来なかった。
今日は色んな情報を聞き過ぎ頭がパンクしそうだ。スッ。
インディバーがボクに小さなカードを渡して来た。
エースとマリーシャは気付いていない様子だった。
ボクは素早くカードを取りポケットにしまった。
「あら、もう15時じゃない。そろそろお茶はお開きしましょう。」
「えー。残念。」
インディバーが時計を見ながら呟くとマリーシャが溜め息を吐きながら喋った。
「アリス?どうした?」
エースがボクの顔を覗き込んで来た。
「え?あ、あー。何でもないよ。」
「アリスも疲れてるみたいだし早く送ってやれ。」
帽子屋がボクの様子を見てエースに話し掛けた。
「え!?そうなの!?アリス大丈夫?早く帰ろうか。」
「うん。」
「お茶ご馳走様でした。じゃあまた!!」
「あぁ。」
エースがボクの手を引いて帽子屋の屋敷を後にした。
「帽子屋と何かあった?」
「え…っと…。」
エース達が来る前に帽子屋に耳打ちされていた。
「Night’sの事はエースやジャック達には内緒で頼む。」
そう耳打ちされていたのだった。
だからこの事はエース達には秘密しておかないといけない。
「何でもない。少し疲れただけだ。」
「そっか!今日は早く休んでゆっくりして!!早く帰ろう。」
「うん。」
ボク達はロイドの家に向かった。