コメント
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言葉の引っかかりが無くてスラスラ読めるのに内容がぎゅっと詰まってる感じがする。後単純に面白いです 流石👍️
めちゃくちゃ良いです⭐️⭐️ さすが我流丸さん!! ここに出てくる表現が凄く好きです!! 面白い✨️ 読むのにいつも夢中になります😁
自己紹介的なやつだけで1話消費しちまったぜ……orz
――七月十三日、月曜日。
僕はベッドの上で仰向けに寝そべりながら、天井の染みを眺めて数えたりしていた。その行為は特に意味を持たないものだが、ただ大人しく目を瞑る事だけは出来なかった。悪夢のような現実、仮に悪醒とでも呼ぼうか。背後から迫る影から逃げようとするのに足が鉛のように重くなり、永遠に絶望と無力を味わうあの感覚が。視界を遮った僕だけの世界では無慈悲なほどに牙を向けてくる。
僕は夏が嫌いだ。小説なんかじゃあ輝いた素敵な未知で溢れた季節のように書かれるが、あそこの世界の住民は汚い汗なんかは絶対に掻かないし、苦労もなしに綺麗で正しい生き方をするし、意図も簡単に努力をする。結局は作者様の御都合で成り立たされた非現実。好きな子と同じ高校に行きたいから勉強だとか、死んだ仲間の無念の為に強くなるだとか。これほどまでに馬鹿らしい事があるだろうか。僕は今日まで努力などした事は無い。別に何でもできる才能人なんかでは無いが、何も成せない無能とも違う。ただ大抵の事を人並みかそれ以上にこなせる。僕はそういう、つまらない人間なのだ。
嗚呼、蝉が鳴いている。時計の針は既に二十五時を回っているというのに、まだ彼らは鳴いている。一体その鳴き声の何が僕をそうさせているのかはわからない。ただ不思議とその音に呑まれるうちに、自分がミジンコ同然の実に小さな存在のように思えてくる。何か悩みがある時、人は壮大な自然を味わおうとする。環境を大きくする事で自分やその悩みを相対的に小さなものに見えるよう、自らを無意識のうちに騙そうとするのだ。これももしや、それと同じなのだろうか。もしそうなのであれば、騙すも何も僕という存在は本当に小さなものだ。蝉なんかで小さく感じられるような悩みで、自分の生き方を疑っている。滑稽で憐れで、まあ実に可愛げの無いちっぽけな存在。そんな僕を救うヤツなんていないし、救えるヤツもいない。
僕には一つ、ある確信がある。僕はその生命終えるまで、このまま何も変わらず変えられずに孤独と共に死ぬ。この世の中には才能だとかをほざいて何もしない愚民がいるがソイツらは僕と同じく、きっとそれを一生果たす事はできない。行動もしなければ、意志を持っているのかすら危ういのだから当然である。僕はまだそのような愚民では無い。ただ、捉えようによっては彼ら以上に僕は愚かだ。変わりたいと願いながらも、願うだけ。人間としての最底辺、ド屑。そう。これから何も成さない、死んだも同然の生き物。それが僕――孤城暗夜なのだ。