この作品はいかがでしたか?
906
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「大丈夫かな……?」
そんな心配は部屋に木霊する
昨日の夜。
アニキから連絡があった
「体調が悪いから明日の会議には行けない。ほんまごめん」
短文。
君が俺たちに連絡する時に、こんなに短文なことがあっただろうか?
隣を見ると青髪はなんか考えてるし
白髪は下唇噛んでるし
赤と水は2人で不安そうにLINE文を見つめてる
とか言う俺も内心めっちゃ心配
顔に出てないだけ
でもアニキだけにはいつもバレてたからな……
やっぱりアニキが心配。
風邪だったら尚更だし、
風邪じゃないにしたらもっと心配
最近のいれいすのコメント欄酷かったもんな
想像がついてしまう
『歌下手じゃね?』
『MIXも大して上手くないし』
『最初から音ズレてね?』
『声からして太ってそう』
『女声キモイ』
最近の君のコメント欄
見ているこっちまで辛くなって、
連絡したら、
そうだよな、w
なんて笑うからさ
余計心配で
君は最近ダイエットを始めたらしい
ボイトレにも週4で通ってるんだって
最近君を見た覚えがない。
予定が合わないから会えなかったし
Twitterも低浮上
やっと会えると思ったら
体調崩すし
馬鹿なのかな?
自分のキャパくらい自分で把握しなくちゃ
すぐタヒんじゃうよ?
君が頑張ってるのは知ってるから
だからさ、
「休めよ」
隣にいる青髪と言葉が重なった
やっぱりみんな思うことは一緒
『アニキの家……、行かん?』
白髪から出た言葉
ちょっとか細くて
アニキが聞いたら直ぐに抱きしめに行きそうで
想像が着く
「行こう」
そう言った
赤髪と水髪も酷く頷いて
青髪は頷くどころか眼力で伝わってくる
みんなの意見が一致
『今から家行くね』
LINEをした
午前9時36分
────ポーン…
ピンポーン────……
「やっぱでえへんな」
「鍵とか開いてたりしないかな…」
「無理。閉まってる」
「合鍵なら持ってる」
なんで持ってんねんと青髪から睨まれる
べつに?やましい事してませんからね?
カチャ
俺らの不安とは裏腹に
軽快な音が鳴った
久しぶりに来た君の家
生活感はめちゃくちゃあった
昨日使っただろう鍋
でも、ゴミ袋にペットボトルのラベルしか無いことに驚いた
ご飯はちゃんと食べているのだろうか?
それとも食が喉を通らないのだろうか?
どっちにしろ、さっきより不安になってきた
1つの扉を開ける
君の部屋
この前来たのは3ヶ月ほど前だろうか
あまり変わっていない様に見える
ベッドの上に、丸々ようにして寝ている
悠佑
アニキのことだから、起きて作業でもしてるのではないかと思っていたが、
全然そんなことなくて安心した
でもやっぱり体調は悪そうで
たまに顔を顰める
「ん……、」
彼が起床
「あれ?なんでおるん……?」
ちょっと呟かれた声は掠れ気味で
大きく開かれた目の下には濃いクマ
髪の毛はちょっと湿っていて……
ん?湿ってる……?
「アニキ。」
「……ん?」
「昨日髪の毛乾かした?」
「昨日は死んでたから乾かしてない」
「まろ」
「用意できてる」
「アニキ一回起きて」
「髪の毛乾かすよ」
「もー、髪の毛乾かさずに寝たら余計体調崩すって」
「ごめん……、」
「まぁ、乾かすからいいけど」
「てかアニキ」
「……ん、」
「LINE見た?」
「……見てないわ」
「てか電源切っとった」
「え?なんでよ」
「まぁ、なんも来ないだろうなーと思ったら来た」
「嘘つき」
「え?」
「本当はコメント見たくなかったからでしょ」
「まぁ、それも一理ある」
俺は、悠佑を後ろから
強く抱き締めた
抱き締め分かった
”震えてる”
あぁ、そっか、
我慢だ。
最年長だから。
みんなから引き離されないように
自分のやるべき事をなるべく多くする
キャパなんて考えないで、後ろも見てしまうから
こうなるんだ
「長い」
お粥の材料を買いに行ったまろが戻ってきた
「おかえり」
「ていや!」
来る途中まで死んでた水髪が勢いよく悠佑に冷えピタを貼り付ける
「はい失礼」
赤髪の彼が素早く悠佑の脇に体温計を挟む
悠佑は一瞬何をされたか分かってないように見えた
ピピッ
そんな音で気づいたらしい
「んー、」
「え、何度だった?」
やばい気がするぞ?
赤髪と白髪、ましてや青髪までもが顔面を青くする
「悠くん。1回寝よう」
「えぇ、」
「昨日も一昨日も寝っぱなしだったからな……」
「え、まって。いつから風邪かかってたの?」
「1週間ちょい前」
待ってくれ。
コイツは本気で言ってんの?1週間も熱出してた?
いやいやいやいや、
「じゃあ悠くん寝られへんのやったらここおいでや」
白髪の彼が自分の太ももをバシバシ叩く
「んー、」
ちょっと考えて彼の方に向かって歩く
ポスッ
なんてことだ。
すっかりハマってしまった
なんだろう。例えるなら、
歯に挟まったもやしが取れるくらいに、
あれれれれれれれ?
悠佑さん?
お眠ですか?
ウトウトしてますよ?
しかも白髪はなんかドヤッてるし
まぁ、説教は元気になってからかな
1人分の寝息が聞こえた
昼の1時半
寝息と共に、5人の腹の虫が鳴きました
「……フッw」
「アニキのハンバーグ食べたーい」
「元気になったら、俺たちを心配させた罪で、いっぱい作ってもらお」
「え何それ天才」
「今日はみんなで雑魚寝しますか」
コメント
19件
うわ、最高👍︎💕続き楽しみにしてます!
黒くんちょっと素直なってて好きww すっぽりハマるの可愛い あ゙ー尊(((
うーん好き私が書く気無くすくらい好き