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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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年始は実家に顔を出してから近所の祖父母の家に挨拶に行く。そうすると親戚も集まってくるのでわいわいと酒盛りが始まる。


「遥人、舞花《まいか》、ほれお年玉」


祖父が俺と妹の舞花にポチ袋を差し出す。


「うわあ、おじいちゃんありがとう」


「じいちゃん、俺もう社会人だからいらないよ」


「お兄ちゃん相変わらず冷めてる。ありがたくもらおうよ」


「そうじゃそうじゃ。じいちゃんの気持ちじゃ」


舞花は満面の笑みで受け取り、俺は「ありがとう」と遠慮しながら受け取った。入っていたのは一万円。舞花は「おじいちゃん太っ腹」なんて言いながら祖父と楽しそうに会話する。


俺とは違って明るい舞花は、親戚との会話にも躊躇なく入っていってあっという間に溶け込んでいる。俺はそのテンションを遠巻きで見ながら、チビチビとお節料理をつまむ。


「このなます、ばあちゃんが作ったの? めっちゃ美味い」


「なますも黒豆もばあちゃんが作ったで、たくさん食べなさいねぇ」


祖母とゆったり会話をしながら正月を堪能。


ふいに携帯電話が鳴り、矢田さんからのあけましておめでとうメッセージが届いた。マメだなーと思いつつほっこりした気持ちで返信。そうか、そういうのって大事だよなと、結子さんへのメッセージ画面を開く。


【あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。】


書いて思う。味気ない。実に味気ない。さっきの矢田さんからのメッセージは文字に色も付いていたしスタンプも動いていた。俺もそういうの……いやいや、ないわ。なんならやり方も知らない。舞花にやり方を聞くか? からかわれて終わるな、やめよう。


どうしようかぐるりと一周考えてから味気ないメッセージだけ送信した。すぐに既読が付いて返事が来た。スタンプ付きだ。


しばらく結子さんとメッセージのやり取りをする。送ればすぐに既読。同じ時間にお互い携帯電話に向き合っていると思うと嬉しくなった。


「やばっ。お兄ちゃんがニヨニヨしながら携帯触ってる。見て見てお母さん!」


「あらあ、雪でも降るかしら」


「なんだなんだ、彼女か? 遥人も隅に置けないなあ」


「お兄ちゃんもっかいその顔して。記念に写真撮っておくから」


「……なんでだよ」


好き放題言われながらも、結子さんとのやりとりで自分が勝手に笑っていたことが恥ずかしいようなくすぐったいような、変な気持ちになった。

恋愛対象外に絆される日

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