「よお」
お前はそこにはいなかった。
白い床には、一人の足跡が一つの椅子に続いていた。
俺はその足跡の隣を歩く。
冷たい海風が頬を刺し
白い花びらは体温で溶け、水になる。
お前がいるはずの椅子には小瓶が立っていた。
「…メッセージボトル」
開けてみると、紙にはたった三文字
綺麗な字が並んでいた。
お前は海になったのか
左手で掴んでいた紙が灰色に滲み
空を照らしていた陽が海へと沈む。
またね
お前が本当に去っていった。
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