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「ただいまぁ〜」
「たっだいまー!」
「た、ただいま?」
玄関も非常に広いため
3人で並んで靴を脱ぐことができる。3人ともちゃんと外を、玄関扉のほうを向いて
靴を脱いだため、靴の向きを整えることはせずに済んだ。
「オレここで手洗いうがいするから、こないだみたいに
2人はあのお風呂場のとこでよろしく」
匠は慣れたように廊下を少し進み、左に入り
洗面台とタオルが置いてあるだけのところで手を洗い始めた。
「マジで洗面台何個あんねん」
と呟く鹿島とリビングに入る。この間のように鹿島とお風呂場へ向かう。
2人でキッチンの奥の廊下を進む。するとすぐ右手に木製の扉があり
その扉はスライドドアで左にスライドさせ、中に入る。
「うわっ!やっぱり洗面台2つ並んでる!」
「こないだ見たろ」
驚く鹿島と隣同士で手を洗い始める。
「うわっ!やっぱお風呂もデカっ!」
洗面所とお風呂場との仕切りはガラスで洗面所に入いるとお風呂場も丸見えだった。
「いや、お風呂もこないだ見て驚いてたろ」
「いや、ワンチャン夢かなって思って」
「リビング入ったとき夢じゃないって思よ」
「たしかに」
2人で笑う。
「まあオレも最初見たとき、高級ホテルか!ってつっこんだ気がするわ」
「だよなぁ〜。ヤバすぎん?」
そう言いながら鹿島と並んで手を洗い、うがいを済ませる。
「これドアノブどこ?あぁ、ここか」
そう言いながらガラス製の扉を押し開ける。
床は暗い色の石をランダムに敷き詰めたような床で
浴槽は1段上がるところがあり、その1段上がった部分に浴槽がはめ込まれていた。
浴槽の形は僕の家や一般のご家庭である一般的な浴槽の形、長方形ではなく
ほぼ正方形で大きな浴槽だった。お湯の張られていない浴槽に入る鹿島。
「え、デカすぎん?3人よゆーで入れんじゃん」
僕も鹿島と対面になるように浴槽に入る。
「オレ1回?2回?入らせてもらったけど、最初はスゲェ〜って浴槽一回りしてみたり
物珍しさが勝ってたんだけど、段々広すぎて1人で入ってると怖くなるんよ」
「あぁ〜わかるかも。しかも夜でしょ?」
「そそ」
「怖いかも」
「なにしてんの?」
匠が洗面所に入ってきた。
「いや、鹿島が物珍しさに入ってたから」
「あぁ〜。飲み物なににする?」
その言葉を聞き、鹿島と浴槽から出て、匠と鹿島と3人でキッチンへ向かう。
両開きの冷蔵庫を開き、各々飲み物を匠がキッチンに並べてくれていたグラスに注ぐ。
鹿島は四ツ葉サイダー。匠はソラオーラ。僕はオレンジジュースを注ぎ、ソファーに座る。
「ハレルヤ、テレビをつけて」
匠がそうスマートスピーカーに頼むと目の前の大きなテレビがつく。
「ハレルヤで起動するのってテレビ?」
「テレビとーあとエアコンか。あと電気。ハレルヤ、電気を消して」
匠がそうスマートスピーカーに頼むとリビングが暗くなった。
「おぉ〜」
「ハレルヤ、電気をつけて」
リビングが明るくなる。
「他の部屋のテレビはつかないの?」
「あぁうん。みんな接続はしなかったらしい」
2人の話を聞きながらオレンジジュースを飲む。
ファミレスのオレンジジュースとは違い、甘さがメインで、ほんのりとオレンジの酸味を感じ
そのほんのりと感じる酸味がまた甘さを引き立てている味だった。
苦味もあった。正確に言うと苦「味」ではなく香りだった。
オレンジの皮の搾り汁も少し加えているのか、苦味の香りがほんのりした。
コンビニのオレンジジュースを飲めるか、心配になるほど美味しかった。
「で、どうする?素晴らしの湯行く?うちのに入る?」
匠の一言で僕はテレビを見る。報道番組が流れていて画面の左上の時刻表示が出ていた。
17時49分。匠も鹿島もスマホをいじる。
「ねぇ〜。どうしよっか。あ、もうこんな時間か」
「テレビテレビ」
「ん?あぁ、時間出てたんか」
「あ、ちょっと電話してくるわ」
と言いながらスマホ片手に匠が立ち上がり、階段のほうへ向かう。
「お?匠ちゃん彼女か?」
「匠に彼女いねぇーよ」
「いないよ」
匠と僕が同時に喋る。
「あ、夜ご飯お寿司でいいよね?」
階段の手前で立ち止まり、こちらを向き、鹿島と僕に確認する。
「あぁうん。な?」
「お寿ぅー司、大好ぅーき」
「世界一有名な六子の五男か」
「なんだそのツッコミ」
「で何時くらいにする?てかまずお風呂どうするよ。猫井戸行く?うち?」
「みんなで入ろっか!」
「…どっち?匠ん家もみんなで入れるけど」
「そうじゃーん!いや、でもこーゆーとき、ふつーの「みんなで入ろ」は
温泉、銭湯にしよってことだよ。匠ちゃん家がデカすぎて狂うけど」
「じゃ、まぁ、6時半とかに出るか」
「そうね」
「じゃあ、お風呂は猫井戸ってことで。でー…」
と匠がスマホ片手に考える。座れば?と言おうとも思ったが
考えを邪魔するかもしれないのでやめた。
「猫井戸に移動して、お風呂入って、あそこ広いから割と長く楽しめるから…」
ぶつぶつと小声で考えを口に出す匠。
「9時には帰ってるか…な?」
「んん〜っと?」
僕も計算してみる。電車乗って、乗らなくてもいいがとりあえず隣駅、猫井戸に移動して
お風呂入って、鹿島のことだから全部のお風呂入って、サウナも入って
一通り楽しんで、お風呂上がりの牛乳かコーヒー牛乳かを飲んで
帰りもしかしたらコンビニとかにも寄って…。
「んん〜。ギリ9時?」
「だよな。まぁいいや。とりあえずお寿司注文するわ」
「ん。さんきゅ」
「匠ちゃんありがと!愛してる!」
鹿島が匠に投げキッスを送る。鹿島が匠に投げキッスをするときには
匠はこちらに背中を向け、階段を上がっていっていた。
僕はスマホの電源をつける。Hoogleを開き
検索欄に「素晴らしの湯 り」と入れるとすぐ下に
「素晴らしの湯 料金」と出てきたので
タップし、素晴らしの湯の公式サイトに飛び、料金を確認する。
「え。ねぇ鹿島?」
「ん?なに?」
「ゴールデンウィークって祝日?」
「また難しい質問を。あぁ〜。どうなんだろ」
ほんの少し悩んだ鹿島はスマホを手に持ち、恐らく検索をする。
「あぁ〜祝日だって」
「マぁ〜ジかよ」
「なんで?」
「平日980円。祝日1250円」
「マぁージ!?」
「まぁわかるけどね?休日祝日も平日と同じ料金だったら
休日祝日に人押し寄せるだろうからね」
「あぁ〜分散的な?ね?」
「そうそう。はぁ〜マぁージか」
「なんか今日月曜で普段なら平日なのに、損した気分になるよね」
「それ!マジそれ!まぁいっか。旅行と思えば鬼安いしな」
「そーれだぁー!しかも〜夜ご飯お寿司!」
「パーフェクト!」
鹿島と2人で「イェイ」と言いハイタッチをした。
その後電話を終えた匠が2階から下りてきて、ソファーで3人で駄弁ったり
それぞれで飲み物のおかわりに行ったり
スマホをいじったりして過ごしていると18時30分が近づく。
「どする?ちょい早いけどもう行く?」
「行きますかぁ〜」
と鹿島が重い腰を上げるようにゆっくりと立ち上がる。
3人ともソファーから立ち上がり、財布スマホを持ち、匠の家から出た。
外に出ると、もう夕暮れも終わりかけている空だった。
「ふぅー!なんか上がるぅ〜」
「なにが」
「この空の感じ?仲良い3人で外出て
この後も、夜も一緒の家に帰って、まだまだ騒げるこの感じ?上がるわぁ〜」
「まあわかる」
「わかるわかる」
「行きまーっしょい!」
「しょい」
「しょーい」
駅につき、結局電車で1駅を移動した。
「あぁ、あれあれ」
ホームから見える「素晴らしの湯」の看板を鹿島に教える。
「わーお!またなんか上がるわ!」
「また?」
半笑いで聞く。
「なんかない?旅行先でもさ、旅館とは別で温泉あるとこ」
「あぁあるね」
「へぇ〜あるんだ?」
「あんのよ。その感じがする。あの感じ」
「まあわからなくもないけど、オレはもうこの景色見慣れてるしなぁ〜」
「オレも怜夢と何回か来てるしなぁ〜」
「くそぉー!なぜオレは2人と同じ高校じゃなかったんだっ!」
改札を出て階段を下りる。
「まあまあ。今仲良いんだし、結果オーライだろ」
「そそ」
鹿島はあからさまに嬉しそうな顔をし、僕と匠の肩を抱く。
「なんだよ」
「へへへぇ〜」
イケメンの笑顔。悔しいがこちらも口元が緩む。匠を見ると匠も
「急になした」
と言いながらも笑顔だった。青春を感じた。
堂々たるトンネル状の入り口を入り、階段を上がる。空気感というか香りというか
この雰囲気が鹿島の言う通り、旅行先の温泉のようで内心僕も上がっていた。
自動ドアが開き、中に入る。100円の下駄箱があり、それぞれ100円を入れて靴をしまう。
券売機でそれぞれ入浴料、タオルを持っていなかったので、フェイスタオル
バスタオルのレンタル料も払らい、券を買い、それを受付に持って行き
受付の方からフェイスタオル、バスタオルを受け取り、男湯の青の暖簾をくぐる。
そして脱衣所に入る。3人横並びのロッカーで着替える。
「うわぁ〜マジヤバいね」
「上がるな」
「旅行気分だな」
「あ、匠ちゃん大丈夫?タトゥーとか」
「入ってねぇわ」
「あ、そうなんだ?ワンチャンあり得ると思った」
「わかる」
「わかるなよ」
「てかいつの間にピアス変えたんだね?」
「あぁ。デザインピアス?だと耳洗い辛いから全部ファーストピアスに変えた」
「あぁ、電話で2階行ったとき?」
「あぁそうそう」
3人とも服を全部脱ぎ、ロッカーの鍵を閉める。
鍵にはバネ状の輪っかがついており、手首や足首につけられるようになっている。
僕はロッカーの鍵を腕につける。3人お揃いで腰にタオルを巻く。
パウダールームと呼ばれる、髪を乾かしたりする場所を通り過ぎ、大浴場への扉を開く。
「おっほー」
さすがに声を抑えた鹿島が驚き、声を漏らす。
「オレもゆーてひさびさだわ」
「オレもだなー」
まずは体、頭を洗うことにした。3人横並びになる。
「おぉ〜怜ちゃんご立派様〜」
「おま、バカじゃねーの?こーゆーとき、ふつーそこ触れねぇだろ」
と鹿島のバカな発言に半笑いで言う。
「え、ふつー触れるっしょ。あ、触るって意味じゃないからね」
「知っとるわ」
「でも高校の修学旅行とかで、こんな会話しなかった?」
「した?」
「したかもしれんけど覚えてない」
「記憶ないわぁ〜」
「マジ?オレら露天風呂囲んで腰に手つけて、夜空に向かって見せてたよ」
「夜空と星々と月に謝れよ」
「なんでだよ」
「あんな綺麗な夜空に汚ねぇもん見せやがって」
「そんな夜空の下でー僕たちはードスケベ行為をしてるんですー」
「あれは聖なる行為だから」
「じゃあ、オレのも聖具じゃん」
「そっか…。あぁダメダメ。聖具に失礼すぎる」
そんな中学生のような会話を終え、髪を洗い始める。モコモコと泡が立ち
柔らかい泡の感覚と濡れてまとまった髪のしっかりとした感覚が指の間に伝わる。
すると鹿島が
「こーゆーときってさ。無限シャンプーしたくならない?」
と言う。泡が目に入るのが嫌なので目を瞑り、下を向いたまま
「したくなるけど、お店に迷惑だからやめろよ?」
「はぁーい」
止めなかったらやったの?と思う。
シャンプーを流し、コンディショナーをつける。匠を見る。匠はまだ髪を洗っていた。
「髪長いの大変だな」
「そーなのよ。シャンプー大量に使うし、シャンプーすると髪色落ちるし」
「あぁ〜長さだけじゃなくて髪色もね」
「この髪色楽よぉ〜」
鹿島が自分の髪を見せる。匠は髪を洗っていて、鹿島のほうを見ることはなかった。
「いや、オレのほうが簡単だから」
そう言いながらコンディショナーを落とす。
シャワーの水圧を感じ、コンディショナーを洗い流す。
なんとなく髪がトゥルントゥルンになったのを感じる。
鹿島も一通り終わったが匠がまだシャンプーをしていた。
しかし、洗い場2席をこのまま占領するのもどうかと思ったので
「匠ー先入ってるわー」
と声をかけ、フェイスタオルを持ち、浴槽に向かう。
「オレも先入ってるね」
と鹿島もついてくる。
「まずは?」
と鹿島に聞く。
「まずはオーソドックスからでしょー」
と言い室内の露天風呂が見えるガラス側の浴槽に入る。
「ふぁー!い、い、ね!」
僕も足からゆっくりと湯船に入っていく。
「あっ、あぁ〜たしかにいいわ」
この温泉に入るときの独特の感覚。足先を湯船に入れ、少し熱いと思うけど
お湯がまとわりついてくるような、お湯が足を包むような感覚。
そして気づけば胸から下をお湯に包まれている。
「あぁ、怜ちゃんタオル縁の置くタイプ?」
タオルを浴槽の縁に置くと鹿島がそう声をかけてくる。
「おん。鹿島はー」
と鹿島を見ると鹿島はタオルを頭に巻いていた。
「巻くタイプぅ〜」
「なんか建設業やってそう」
「あぁ〜無理。腕折れる」
「なんか鉄骨担いでるイメージだもんな」
「ポシェモンか!」
「なにがだ…あぁ、いたな。鉄骨担いでるポシェモン」
「あの子意外と顔可愛いのよ」
「レギュラーで使ってたん?」
「格闘タイプ使うときはメインで使ってたかな」
「マジか。オレはー…」
と話そうとすると
「おーまた」
と言いながら匠が入ってくる。水面が揺れる。
「おぉ匠ちゃんは頭の上置くタイプね」
匠を見ると濡れて光沢の出た綺麗な白い髪の上に畳まれたタオルが乗っていた。
そしてその白い髪が水中で揺らめいている。
「そそ。2次元に行ったときに溶け込めるように」
「2次元行っても目立つだろ」
「てか2次元には行かんでねぇ〜」
アホみたいな会話をした後、その浴槽から出た。
その後は背中からスゴい水圧のお湯が出てるジェットバスに3人横並びで入り
室内の浴槽にはすべて入り、露天風呂への扉を開く。
春の夜らしい少しひんやりも感じるが暖かさも感じる気温の外に出る。
空はもう完全に暗くなっていた。露天風呂に設置されたライトが周囲を照らす。
「うぉ〜上がるぅ〜」
叫ぶような言い方だが、お客さんに気を遣ってか小声で言う。
石が敷き詰められた床に足を出す。冷たく硬い感覚が足の裏に伝わる。
「露天風呂に行く」というのがまた旅行感を増させる。
「上がるのわかる」
「うんうん」
手前の屋根のないほうの湯船に入る。チャプン。足を入れる。
また足にまとわりつくような、足を包むような感覚がする。
足首が包まれ、ふくらはぎが包まれ、胸の下までが温泉に包まれる。
「かぁ〜」
「ふぇー!」
「おぉ〜」
各々の違うリアクションだが気持ち良いのは伝わる。浴槽の縁の石の上にタオルを置く。
「いやぁ〜」
「上がる?」
「上がるってのもあるけど、いやぁ〜エグいわ」
「エグい?」
「旅行感エグい」
「まぁ〜わかるわ」
匠もうんうん頷く。
「この露天風呂に3人で入ってる感じ?」
「あぁ」
3人なにも言わずにその場の空気感を味わう。ジーという虫の鳴き声。お湯の流れる音。
胸から上に春風のあたる感覚。春特有の香り。温泉の香り。湯気の香り。石の香り。
お湯を掬い顔を洗うように顔にかけ、そのまま両手で髪を撫で付ける。
体のすぐ近くで、僕の掬い上げたお湯たちが浴槽にダイブする音が聞こえる。
「ふぁー。いいね」
「な」
「ふぅー」
その後、すぐ隣の屋根付きの浴槽に入ったり
露天風呂の横にあったなぜか入り口の扉が非常に低いサウナに入って
我慢比べ…などはせず暑くなったら出て、露天風呂に入り直したり
室内の大浴場のサウナに入り、水風呂で「いろいろ」縮こまったり
素晴らしの湯を楽しみ尽くした。
「そろそろ出るか」
そう言ってフェイスタオルを思い切り絞る。
フェイスタオルから絞られた温泉の子供たちが床に打ち付けられる音が響く。
よく絞ったフェイスタオルで体を拭き、脱衣所へ向かう。
手首につけたロッカーの鍵を外し、その鍵でロッカーを開け
開けたロッカーの部分にフェイスタオルをかける。
ロッカーの中からバスタオルを出し、体を拭く。
下着のパンツを履き、かけていたフェイスタオルを取り
ロッカーの中に入れ、もう一度ロッカーの鍵をかけ、鍵を手首につける。
パウダールームと呼ばれる場所に行く。匠と鹿島も下着のパンツ姿でついてくる。
「髪ちゃんと乾かす派?」
「あぁ〜オレはパパッとだな」
「オレも。匠ちゃんは?その長さだと大変でしょ?」
「うん。だから普段はドライヤーせんよ?」
「そうなんだ?でもどうすんの?」
「タオル巻いて過ごしてる」
「なーるほどね」
ドライヤーの電源を入れる。ブオォオーンという轟音が鳴り響く。
熱風を髪にあてる。髪が靡く。左手を使って髪をグシャクシャする。
しばらくして今度は左手にドライヤーを持ち替え、右手で髪をグシャクシャする。
しばらくしてドライヤーの電源を切る。ドライヤーを元あった位置に立て掛け、鏡を見る。
鏡を見ながら髪を触る。まだ湿り気はあったが7、8割乾いたし、いいかと思う。
鹿島も僕とほぼ同じタイミングでドライヤーを止めた。
ワックスで固めた髪ではなくなり
トゲトゲしたイケメンからマイルドなイケメンになっていた。
「まだ乾いてないけどいっか」
僕と鹿島がドライヤーを止めたからか、匠も少ししてからドライヤーを止めた。
「匠ちゃん全然乾いてないじゃん」
と笑う。
「まぁこれでいいかな。てか京弥こそ誰だよ」
と笑いながら手首につけたヘアゴムで髪を結う匠。ポニーテールにする。
「誰って京弥くんですよ」
「まぁとあるアニメ、マンガネタなんだけどね」
3人でロッカーに戻る。ロッカーを開き、Tシャツを着て、Gジャンは腰に巻くことにした。
3人とも着替え終え、出口付近で使ったタオルを返却するところにタオルを入れ
暖簾をくぐり、外に出た。下駄箱の鍵を開ける。100円が返却される。
「おぉー!良心的ぃ〜」
「書いてあったけどね。100円リーターンどうこうって」
「じゃっあぁー!100円得したところでー!この100円で飲み物でも買いに行きますかぁー!」
匠の言葉を無視して、鹿島は100円を親指でコイントスし
落ちてきた100円を右手で握りしめる。
「じゃ、コンビニだな」
靴を履き、素晴らしの湯を後にした。