六月の陽は、暖かくて、優しい包みこんでくれるような優しい光。
木漏れ日が足元をチラつかせてた。
僕はいつもの散歩道を歩きながら、ぼんやりと空を見ていた。
????「……フランス」
声がした。
聞き間違えかと思って振り向くと、そこにいたのは――あいつ。
仏「……イギリス? なに、久しぶりじゃん。ストーカーでも始めた?」
英「は? 違いますけど。たまたまですよ、たまたま。」
口ではそう言いつつ、イギリスは手に持った小さな花束をそっと差し出してきた。
少し照れたように目を逸らしながら、顔は赤くもないくせに挙動が妙にぎこちない。
英「これ、フランスに……あげます。受け取ってください」
仏「は? なに、急に。なんの罰ゲームだよ」
そう言いながらも、僕はその手から花を受け取った。
包みの中から顔をのぞかせていたのは、アネモネ――濃い赤。
仏「……まさか、花言葉とか狙ってんの?」
英「狙ってません。……いや、ちょっとだけ狙いましたけど。黙っててくれると助かります。」
仏「ツンかデレかはっきりしろよ、お前。……で、意味は?」
英「秘密です。気になるなら、自分で調べてください」
口では素っ気ないのに、なんでちょっと嬉しそうな顔してんの。
そう思いながら、僕はふっと笑った。
仏「ふーん。じゃあまあ……ありがと、って言っとく」
英「……はっきり言われると、逆に気持ち悪いですね」
仏「……僕の気持ち返せ」
英「ダメです。」
そんなやり取りのあと、僕らは軽く世間話をして、それぞれの方向へ歩き出した。
帰り道、僕はその花を何度も見つめた。
“はかない恋”――アネモネの意味。
お前が僕にそんなの渡すってことは、どういうつもりなんだよ。
胸の奥がざわついて、息が少しだけ甘くなる。
……やめてくれよ、こういうの。僕のほうが、ずっと昔から、
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好きすぎて気付いたらニヤニヤしてました